魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

文字の大きさ
74 / 262
4章 神の雷光と裏切りの花

75 平気ではいられない兵器

しおりを挟む
 魔族の男の名前はペイストン。
 周辺地域の諜報活動と攪乱工作が仕事で下っ端だと自称している。
 今回の件は、フェイベル王国の研究施設襲撃の訓練のためらしい。

 研究施設を襲撃する理由を問うと、興味深い情報が出てきた。
 研究施設は神の遺跡に建設され、そこから放出される魔力を利用して強力な兵器を作ろうとしているらしい。
 その兵器は神魔砲と呼ばれている。
 開発が最終段階に進むと射程距離は隣国を狙えるほどのロングレンジ、威力は一個師団に致命的な損耗を与えるレベルになるという。

「教会の立場からすれば許せない話です。
 神の遺物は神聖なもの。
 それを兵器に利用するとは許せません。」

 話を聞いたメリクル神父は憤った。
 ちなみに教会が神の遺物と呼んでいる遺跡はブリデイン王国にもある。
 首都ロブルトンの神聖区の中なのだけれど、教会が厳重管理しているため結局僕は近づけなかった。
 フェイベル王国の遺跡は王家の管轄下で管理されている。
 兵器として流用可能なのは、教会の影響力が低いからだろう。

「その兵器開発の話ですが、ブリデイン王国も一枚噛んでますよね。」

 僕が思ったことを口にした。

「ちょっと、フェイベルとブリデインは中立関係だよ。
 同盟も結んでないのに、開発協力なんかするわけが無いよ。」

 エリッタがムキになって反対意見を唱える。

「なんだ、知ってたのか。
 お前、何者だ?
 あ、いや、知ってらっしゃいましたか。
 さすがですね。」

 リプリアの冷たい眼光がペイストンを威圧する。
 彼は蛇に睨まれた蛙だ。

 ブリデイン王国のやろうとしていることが読めてきた。
 帝国に侵攻しようとしている理由は、帝国にある神の遺跡が目的だろう。
 そこで神魔砲を建設し、魔領にいる魔族達と戦うつもりだ。
 距離的に考えるとフェイベル王国の神魔砲は、帝国軍と戦うのに使うつもりなのだろう。

 帝国と一緒に魔族と戦わない理由も分かった。
 もし帝国に神魔砲を建設した場合、帝国に強力な戦力を与えることになる。
 その砲撃が自分の国に向けられるのを警戒して、国ごと乗っ取ろうとしているのだ。
 師匠はそれを最善だと考えたのか。

「研究施設を襲撃したとしても、結局開発が遅れるだけですよね。
 また作り直せば良いのだし。」

 僕が疑問を口にする。

「そうなったら、また襲撃を繰り返すつもりだったんだ。」

「行き当たりばったりですね。
 もう少しマシな作戦は無かったんですか?」

「遺跡の封印を解いてしまえば、魔力を流用ができなくなるはずなんだ。
 上から聞いた話によると、全ての遺跡の封印を解かない限り神は降りてこないんだと。
 俺が、だったら一つぐらい封印を解いても問題ないって上に言ったんだ。
 そうしたら魔王様から封印には絶対に手を出すなと厳命されてるって。」

 ペイストンの言っている魔王は、現魔王のことだろう。
 母は封印解除派、叔父は封印解除反対派だ。

 封印を解けば兵器の使用は不可能になる。
 人間同士の戦争が阻止できるかもしれない。
 僕はリプリアを見る。

「まずは帝国へ。
 今の私たちでは遺跡に関しては何も出来ません。」

 リプリアはそう意見を述べた。
 なるほど「今」は無理だ。
 封印の解除に賢者の杖が必要だとブリゲアンは言っていた。
 杖は帝国にある、最初からの目的地だ。

 次の瞬間、リプリアがペイストン体に剣を突き立てる。
 そして凄まじい光が剣から放出される。
 ペイストンは一言発することも無く絶命した。

「オキス様、目的は達成しました。
 一度、村へ戻りましょう。」

「・・・ああ、そうだね。」

 ギグウロフを操っていた者はもういない。
 きっと山奥へ帰っていくことだろう。
 僕達は無残に転がった魔族を残して、村へ戻ることにした。






 リプリア無双中。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤

凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。 幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。 でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです! ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~

スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」 王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。 伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。 婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。 それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。 ――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。 「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」 リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。 彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。 絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。 彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。

【完結】転生したら断罪イベントの真っ最中。聖女の嘘を暴いたら、王太子が真っ青になりました

丸顔ちゃん。
恋愛
王太子は私――エリシアに婚約破棄を宣言し、 隣では甘ったるい声の“聖女”が「こわかったんですぅ♡」と泣き真似をしている。 だが私は知っている。 原作では、この聖女こそが禁術で王太子の魔力を吸い取り、 私に冤罪を着せて処刑へ追い込んだ張本人だ。 優しい家族を守るためにも、同じ結末は絶対に許さない。 私は転生者としての知識を武器に、 聖女の嘘と禁術の証拠を次々に暴き、 王太子の依存と愚かさを白日の下に晒す。 「婚約は……こちらから願い下げです」 土下座する王太子も、泣き叫ぶ聖女も、もう関係ない。 私は新しい未来を選ぶ。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

処理中です...