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4章 神の雷光と裏切りの花

83 鳥の命を取りました

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『あれは神の力。
 さっき賢者の杖を持っていたオルドウルという人が、神の遺物の一つを持ち出したんだ。
 神の力には魔法は効かない。』

 賢者の杖で最強レベルの魔法を手に入れた瞬間、魔法が効かない敵を相手にするとは。
 つくづく僕は無双に向いていない。

「魔法が効かないなら、やることは決まってるよねー。
 やっちゃえ!」

 シーリが話に割って入ってくる。
 というか括弧の形がおかしい。
 なんで僕の隣から声が聞こえてくるんだろう?

 恐る恐る、横を向く。
 いましたよ、僕と同い年ぐらいの女の子が。
 残念なことに、とうとう僕のユニークスキルが外に出てきてしまった。
 賢者の杖による能力の底上げが原因だろう。

 僕の魔法が消滅させられるのを見ていた隊長格の男が、弓兵に射撃の指示を出す。
 神鳥に向かって矢が雨のように降り注ぐ。
 神鳥は避けもせず矢を受ける。
 しかし矢が羽や体毛を貫くことは無かった。
 あっさりと体から弾かれてしまった。

 隊列を編成して突撃する兵士達。
 突撃に成功し槍を突き立てるものの、表面に少し刺さっただけで終わった。
 次の瞬間、暴風によって吹き飛ばされる。
 あっという間に隊列は散り散りにされてしまった。

 そして神鳥は息を吸い込む。
 そして何かを吐き出した。
 街の外壁を吹き飛ばし、弓兵の一部が配置されている建物を倒壊させる。
 ソニックウエーブみたいな物を出したのだろう。

 早くなんとかしないとヤバい。

『兄ちゃん、なにか作戦があるみたいだけど。』

「秘密道具よ、秘密道具。
 ちゃんと持ってきてるでしょ-。」

「・・・やるしかないか。」

 僕は魔法で地割れを引き起こし、さらに岩を浮かび上がらせる。
 それを神鳥のいる方向へ叩きつける。
 しかし岩は神鳥に接触する前に力なく地面に落ちる。
 間違いない、神鳥の魔法無効は魔法だけでは無く、魔法によって生じた結果すらもキャンセル出来る。
 つまり魔法によって生じた物理攻撃も無効化可能なのだ。
 神の力とはいえ無茶苦茶だ。

 しかし僕はそれをある程度予測していた。
 岩はただの目くらましだ。
 魔導力を発動させ、急いで神鳥に接近する。
 そして持ってきたアイテムのピンを引き抜く。

 投げようとした瞬間、力が抜ける。
 魔導力がキャンセルされた。
 まずい、魔導力も魔法の一種扱いだった。
 僕はバランスを崩しコケる。
 アイテムが手から離れ転がっていく。

 神鳥は僕をターゲットに入れる。
 クチバシを開き食らいつこうとする。

「だめー。」

 シーリが両腕を広げ、僕と神鳥の間に立ち塞がる。
 そしてシーリが神鳥に食われ・・・無い。
 神鳥のクチバシをスルーするシーリ。
 なるほど、シーリには実体は無いようだ。

 もう一度クチバシでシーリに襲いかかる神鳥。
 僕は転がったアイテムを拾い上げ、口の中にたたき込む。
 そのままアイテムを飲み込む神鳥。

 次の瞬間、神鳥の喉が破裂した。
 僕の作った手榴弾が爆発したのだ。
 
 神鳥は転げ回り痙攣を起こす。
 そして動かなくなった。






 僕のユニークスキルは囮無双だった。
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