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5章 希望の家と集う仲間

138 ゆかりの無い床

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 僕達は侵入口のクリアを確認すると、上空で旋回しているブリューデンを呼び寄せた。
 人化するブリューデン。
 彼がやられると逃走手段を失うことになる。
 作戦の結果にかかわらず、生きて帰れなければ意味が無い。
 その為、ブリューデンの護衛にはパメラを付けている。

 瓦礫で塞がっている経路を吹き飛ばすカシム。
 単純に攻撃力が高いだけでは無い。
 力の調整が絶妙だ。
 僕が魔法で吹き飛ばしたら道が出来るどころか、また瓦礫の山になってしまう。

 要塞の屋内へ入ったところで僕は魔力探知を行う。
 兵力の配置と封印解除の端末を探すためだ。
 そして端末の場所が判明する、よりにもよって地下だ。
 現在位置は四階に相当する。

 敵兵力は一階に集中していた。
 団体でこちらに向けて移動中のようだ。
 敵兵力は二百というところだ。

「さへ、目的地は地下ふぁ。
 階段を探ふぉう。」

 僕はそう言った。 
 誤字でも文字化けでも無い。
 団体での歓迎に備えて催涙弾をプレゼントする予定だ。
 だから僕達はマスクを装備している。

「そんな必要ふぁねふぇよ。」

 カシムがそう言うと剣を振り上げる。
 まさか・・・と思ったけれど、それを口に出す暇も無くぶち壊される床。
 下のフロアへのショートカットが出来た。
 これは酷い。

 僕達は三階へたどり着く。
 ついに敵兵とご対面だ。
 相手は三人、そのうち一人は瓦礫に挟まれていた。
 ジキルとリプリアが動く。
 突然のことに行動が遅れた兵士達、瞬殺だった。
 ブリデイン王国の精鋭達も、さすがに状況と相手が悪すぎた。

「もしかしてまたやるふぉ?」

 僕が聞く。

「当たり前だふぉ。」

 カシムが再び床をぶち破る。
 倉庫っぽいところに繋がった。
 今回は誰もいない。

 さらに床をぶち破るカシム。
 とうとう一階に到着した。
 大逆鱗か?
 このネタが分かる人も少なそうだけど。

 ついに一階だ、僕は催涙弾に手をかけ準備する。
 辺りを見渡すと・・・誰もいない。

「ふぁ?」

 僕は魔力探知を行う。
 兵力が上の階へ移動していた。
 カシムが無茶苦茶するから行き違いになったのだ。
 僕は催涙弾から手を離す。
 立てた作戦が無駄にされた瞬間だった。







 経路破壊無双だった。 
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