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7章 次への引き継ぎと暗躍の者達
193 トイトイ二役の問い
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「何かしら?」
私はそう言ったが、エスフェリアの問いが何なのか、なんとなく予想はできる。
「オキス様のことです。
前世の事情はギスケから、そしてオキス様が死に至った過程はジキル様から伺っております。
アリスはこの世界を恨んではいないのですか?」
やっぱりその話だった。
私は何度も自分に問い、そして答えを出している。
「・・・恨んでいるわよ。
滅ぼしてしまいたいとも思っているわ。
でも一番大切なのは彼の意志を継ぐことなの。
彼がアストレイアの思惑を知ってなお、この世界を救おうとしていた。
そして彼の周りにいるお人好しな人達。
そんな人達がいる世界なら、このまま続いていってもいいのではないかしら。」
「そう・・・ですか。
もし世界に平和が訪れたら、前世でのオキス様のお話をお聞かせいただけませんか?」
「おかしなことに興味があるのね。
別に構わないわよ。
ついでにギスケの話も聞かせてあげるわ。」
「楽しみにしております。
その時は、本当のあなたとお話ができたらと願っております。」
エスフェリアの最後の言葉に私は虚を突かれる。
どこまで見抜かれているのか。
そしてエスフェリアから通信機を託される。
これも彼が残していった遺産だ。
私は通信機を受け取り魔領へと戻った。
一人になったところで、不意に体がふらつく。
私は何も無い状況で床に手と膝を付く。
『アリス姉ちゃん、大丈夫?』
ルディンが心配して声をかけてくる。
賢者の杖を繋げっぱなしにしていた影響か、杖を握っていない状況でも会話が出来るようになっている。
「そろそろ不味いかも知れないわ。
シーリと一緒になってから、なんとか引っ張られないようにしていたけれど、だいぶ無理が出てきたみたい。
それでもクルセイダーズとの決着が付くまで、何とか耐えてみせるわ。」
『それ以上無理に耐えようとしたら、心が壊れちゃうよ。
僕がサポートするから、無理はしないで。』
「音楽が好きで、絵が多少得意なだけの天然ボケの性格に戻ったらさすがに困るでしょ。
まだこの状態を維持しないと、戦いにならないわよ。」
『アリス姉ちゃん・・・。』
シーリと一つになってから半年以上が経過している。
油断をすれば前世の私の性格に戻ってしまう。
そうなれば人殺しを命令することなど出来ないだろう。
例え心が壊れようとも、耐えきるしか無いのだ。
私はサブオーレンに挙兵の指示を出し、魔領全土に真実の布告を行った。
神と人間と魔族の歴史についてだ。
それは今頃、帝国でも行われていることだろう。
本当の敵が誰なのか、それを明らかにしなければ、人間と魔族が一緒に戦うことなど出来ないからだ。
今回の遠征では、四天王のうち二名を伴っていく。
総兵力二十五万。
帝国の動員兵力を合わせれば、クルセイダーズを上回る数だ。
遠征の目標はフェイベル王国。
帝国軍と協力し、クルセイダーズの本拠地となっているフェイベル王国を解放する。
魔領からフェイベル王国はかなりの長距離遠征だ。
食料などは帝国から供給を受けることが可能でも、魔晶石などはこちらから持っていかなければ調達が難しい。
綿密に計画を立てていかなければならない。
しかし時間をかければそれだけクルセイダーズの戦力の増強を意味することになる。
難しい舵取りだが、細かいことはサブオーレンとルディンに任せれば問題は無い。
後戻りの出来ない戦いになるだろう。
天然ボケ無双はマズすぎる。
私はそう言ったが、エスフェリアの問いが何なのか、なんとなく予想はできる。
「オキス様のことです。
前世の事情はギスケから、そしてオキス様が死に至った過程はジキル様から伺っております。
アリスはこの世界を恨んではいないのですか?」
やっぱりその話だった。
私は何度も自分に問い、そして答えを出している。
「・・・恨んでいるわよ。
滅ぼしてしまいたいとも思っているわ。
でも一番大切なのは彼の意志を継ぐことなの。
彼がアストレイアの思惑を知ってなお、この世界を救おうとしていた。
そして彼の周りにいるお人好しな人達。
そんな人達がいる世界なら、このまま続いていってもいいのではないかしら。」
「そう・・・ですか。
もし世界に平和が訪れたら、前世でのオキス様のお話をお聞かせいただけませんか?」
「おかしなことに興味があるのね。
別に構わないわよ。
ついでにギスケの話も聞かせてあげるわ。」
「楽しみにしております。
その時は、本当のあなたとお話ができたらと願っております。」
エスフェリアの最後の言葉に私は虚を突かれる。
どこまで見抜かれているのか。
そしてエスフェリアから通信機を託される。
これも彼が残していった遺産だ。
私は通信機を受け取り魔領へと戻った。
一人になったところで、不意に体がふらつく。
私は何も無い状況で床に手と膝を付く。
『アリス姉ちゃん、大丈夫?』
ルディンが心配して声をかけてくる。
賢者の杖を繋げっぱなしにしていた影響か、杖を握っていない状況でも会話が出来るようになっている。
「そろそろ不味いかも知れないわ。
シーリと一緒になってから、なんとか引っ張られないようにしていたけれど、だいぶ無理が出てきたみたい。
それでもクルセイダーズとの決着が付くまで、何とか耐えてみせるわ。」
『それ以上無理に耐えようとしたら、心が壊れちゃうよ。
僕がサポートするから、無理はしないで。』
「音楽が好きで、絵が多少得意なだけの天然ボケの性格に戻ったらさすがに困るでしょ。
まだこの状態を維持しないと、戦いにならないわよ。」
『アリス姉ちゃん・・・。』
シーリと一つになってから半年以上が経過している。
油断をすれば前世の私の性格に戻ってしまう。
そうなれば人殺しを命令することなど出来ないだろう。
例え心が壊れようとも、耐えきるしか無いのだ。
私はサブオーレンに挙兵の指示を出し、魔領全土に真実の布告を行った。
神と人間と魔族の歴史についてだ。
それは今頃、帝国でも行われていることだろう。
本当の敵が誰なのか、それを明らかにしなければ、人間と魔族が一緒に戦うことなど出来ないからだ。
今回の遠征では、四天王のうち二名を伴っていく。
総兵力二十五万。
帝国の動員兵力を合わせれば、クルセイダーズを上回る数だ。
遠征の目標はフェイベル王国。
帝国軍と協力し、クルセイダーズの本拠地となっているフェイベル王国を解放する。
魔領からフェイベル王国はかなりの長距離遠征だ。
食料などは帝国から供給を受けることが可能でも、魔晶石などはこちらから持っていかなければ調達が難しい。
綿密に計画を立てていかなければならない。
しかし時間をかければそれだけクルセイダーズの戦力の増強を意味することになる。
難しい舵取りだが、細かいことはサブオーレンとルディンに任せれば問題は無い。
後戻りの出来ない戦いになるだろう。
天然ボケ無双はマズすぎる。
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