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7章 次への引き継ぎと暗躍の者達
194 川の氾濫のような反乱
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帝国と魔領の軍事同盟が結成され、クルセイダーズを主力とする神側との戦いは好転するかに思えた。
しかし実際は状況が悪化している。
帝国国内で真実の歴史と神との戦いを布告し、魔領と同盟を結んだことを伝えると、各所で反乱が起こり始めた。
今まで敵だった魔族と手を結んだのだ、やはりタダでは済まない。
各所で起こった反乱は小規模なものが多い。
しかし最悪の場所で最大の反乱が起こった。
大聖堂のあるエンプティモの街が反旗を翻し、クルセイダーズ側に味方したのだ。
エンプティモの街は、対クルセイダーズ戦の要所になっている。
そして街を守るために展開していた帝国軍は、後方の反乱によって撤退を余儀なくされた。
挟み撃ちにされる状況になったからだ。
もし反乱の鎮圧を行えば、背中をクルセイダーズに刺されることになる。
情報は通信機経由で行軍準備中の私の元にもたらされた。
ルディンの分析では、反乱はエスフェリアの布告の前から準備されたものらしい。
あまりにタイミングと手口が出来すぎているのだ。
そして大聖堂の人間は、最初から神側に付いていたのだろう。
教会が神側というのは、考えてみれば当たり前か。
そしてサブオーレンから一つの情報がもたらされる。
以前私の父がエンプティモに死霊術を使う精鋭の魔族を派遣し、街を潰そうとしたのだ。
その時サブオーレンは、試しの剣の破壊もしくは奪取を目的に命令したのだと思っていたそうだ。
今にして思えば、神側の人間を倒すことが目的だったのかも知れないと言っていた。
計画は勇者ジキルと彼によって失敗に終わる。
このタイミングは偶然だろうか?
教会は父の計画を知って、タイミング良くエンプティモに勇者を送り込んだのかも知れない。
ルディンの意見は、偶然と故意どちらの可能性もあると言っている。
ただし故意だと考えた場合、神側の情報網や情報伝達手段は想像していたよりも遙かに優れていることになる。
これから戦う上で、それを前提としなければ危険だということだ。
出発の準備が整い、魔領の軍は北側迂回ルートを目指す。
途中で案内を務める帝国軍の大隊と合流することになっている。
監視の意味もあるのだろうけれど、帝国の町や村を通るときにいてくれないと困る。
話が分かる指揮官を回してくれていることを期待したい。
「陛下、これを。」
出立前にサブオーレンが一振りの剣を差し出す。
「遅ればせながら、先王陛下の形見の剣でございます。」
私はその剣を手に取った。
かなり強力な魔力を感じ取れる。
「先王陛下が勇者と戦うときに用いたものでございます。
わずかな傷でも付けることが出来れば、その者は心臓を呪いの鎖で縛られることになるのです。」
サブオーレンはそう言った。
物騒極まりない魔剣だ。
私と戦ったときに使わなかったのは情をかけたと言うより、時間を戻されたら無意味だからだろう。
私はその剣をサブオーレンに渡した。
そして魔剣で魔領を守るのに使うようにと命じた。
ようやく始まった行軍中、さらに情報がもたらされる。
帝国周辺の国に入り込んだクルセイダーズが反転し、エンプティモ方面へ集結しているとのことだった。
帝国の神の遺跡はエンプティモから南西方向にある。
おそらく戦力を集中し、そこへ向かうつもりなのだろう。
クルセイダーズが反転したのは、作戦上の理由だけでは無いらしい。
遺跡街レイネスの部隊が各国で戦闘を行い、クルセイダーズと次々と敗走させている。
どうやらレイネスの部隊は空から降りてくるらしい。
そして他国の地上戦力と協力し、奇襲による攪乱や殲滅を行う手法をとるという。
兵の数は少ないものの、一人一人の火力が高レベルの魔術師に匹敵する能力を有しているらしい。
そして戦闘を終えると素早く次の戦場へ移動し、兵力の少なさを補っているようだ。
未だに敵であるという疑いが捨てきれないけれど、味方なのだとすると頼もしい限りだ。
魔領と同盟関係を結んだことによって、帝国軍の主力はエンプティモ周辺に展開し、クルセイダーズと睨み合う格好になっているようだ。
しかし反乱の鎮圧にも少なからぬ兵力を割くことになってしまったため、運用が上手くいっているとはいえないようだ。
長引く前に勝負を付けなければマズい。
クルセイダーズは時間が経過と供に、どんどん力が増強されているのだ。
魔領の軍が間に合うかどうか、微妙な状況になってきた。
ただでさえ遠回りしているのだ。
あとは魔神ギスケの力を信じるしか無いのだろう。
焦っても行軍速度は速くならない。
そして行軍中、一人の魔族が私との面会を求めてやってきた。
名をブリゲアンと名乗ったのだった。
最終的に誰が無双することになるのか。
しかし実際は状況が悪化している。
帝国国内で真実の歴史と神との戦いを布告し、魔領と同盟を結んだことを伝えると、各所で反乱が起こり始めた。
今まで敵だった魔族と手を結んだのだ、やはりタダでは済まない。
各所で起こった反乱は小規模なものが多い。
しかし最悪の場所で最大の反乱が起こった。
大聖堂のあるエンプティモの街が反旗を翻し、クルセイダーズ側に味方したのだ。
エンプティモの街は、対クルセイダーズ戦の要所になっている。
そして街を守るために展開していた帝国軍は、後方の反乱によって撤退を余儀なくされた。
挟み撃ちにされる状況になったからだ。
もし反乱の鎮圧を行えば、背中をクルセイダーズに刺されることになる。
情報は通信機経由で行軍準備中の私の元にもたらされた。
ルディンの分析では、反乱はエスフェリアの布告の前から準備されたものらしい。
あまりにタイミングと手口が出来すぎているのだ。
そして大聖堂の人間は、最初から神側に付いていたのだろう。
教会が神側というのは、考えてみれば当たり前か。
そしてサブオーレンから一つの情報がもたらされる。
以前私の父がエンプティモに死霊術を使う精鋭の魔族を派遣し、街を潰そうとしたのだ。
その時サブオーレンは、試しの剣の破壊もしくは奪取を目的に命令したのだと思っていたそうだ。
今にして思えば、神側の人間を倒すことが目的だったのかも知れないと言っていた。
計画は勇者ジキルと彼によって失敗に終わる。
このタイミングは偶然だろうか?
教会は父の計画を知って、タイミング良くエンプティモに勇者を送り込んだのかも知れない。
ルディンの意見は、偶然と故意どちらの可能性もあると言っている。
ただし故意だと考えた場合、神側の情報網や情報伝達手段は想像していたよりも遙かに優れていることになる。
これから戦う上で、それを前提としなければ危険だということだ。
出発の準備が整い、魔領の軍は北側迂回ルートを目指す。
途中で案内を務める帝国軍の大隊と合流することになっている。
監視の意味もあるのだろうけれど、帝国の町や村を通るときにいてくれないと困る。
話が分かる指揮官を回してくれていることを期待したい。
「陛下、これを。」
出立前にサブオーレンが一振りの剣を差し出す。
「遅ればせながら、先王陛下の形見の剣でございます。」
私はその剣を手に取った。
かなり強力な魔力を感じ取れる。
「先王陛下が勇者と戦うときに用いたものでございます。
わずかな傷でも付けることが出来れば、その者は心臓を呪いの鎖で縛られることになるのです。」
サブオーレンはそう言った。
物騒極まりない魔剣だ。
私と戦ったときに使わなかったのは情をかけたと言うより、時間を戻されたら無意味だからだろう。
私はその剣をサブオーレンに渡した。
そして魔剣で魔領を守るのに使うようにと命じた。
ようやく始まった行軍中、さらに情報がもたらされる。
帝国周辺の国に入り込んだクルセイダーズが反転し、エンプティモ方面へ集結しているとのことだった。
帝国の神の遺跡はエンプティモから南西方向にある。
おそらく戦力を集中し、そこへ向かうつもりなのだろう。
クルセイダーズが反転したのは、作戦上の理由だけでは無いらしい。
遺跡街レイネスの部隊が各国で戦闘を行い、クルセイダーズと次々と敗走させている。
どうやらレイネスの部隊は空から降りてくるらしい。
そして他国の地上戦力と協力し、奇襲による攪乱や殲滅を行う手法をとるという。
兵の数は少ないものの、一人一人の火力が高レベルの魔術師に匹敵する能力を有しているらしい。
そして戦闘を終えると素早く次の戦場へ移動し、兵力の少なさを補っているようだ。
未だに敵であるという疑いが捨てきれないけれど、味方なのだとすると頼もしい限りだ。
魔領と同盟関係を結んだことによって、帝国軍の主力はエンプティモ周辺に展開し、クルセイダーズと睨み合う格好になっているようだ。
しかし反乱の鎮圧にも少なからぬ兵力を割くことになってしまったため、運用が上手くいっているとはいえないようだ。
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クルセイダーズは時間が経過と供に、どんどん力が増強されているのだ。
魔領の軍が間に合うかどうか、微妙な状況になってきた。
ただでさえ遠回りしているのだ。
あとは魔神ギスケの力を信じるしか無いのだろう。
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