魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

文字の大きさ
200 / 262
7章 次への引き継ぎと暗躍の者達

201 空からそら来た他人の空似?

しおりを挟む
 魔術師部隊が神鳥に魔法で迎撃をかける。
 もちろん魔法はかき消えて何のダメージも入らない。
 ゴブリン部隊が弓を射かけるものの、ほとんど当たらない。
 多少当たったとしても、ほとんどダメージになっていない。

 神鳥は急降下し、魔領軍を吹き飛ばしていく。
 そのままクルセイダーズが攻勢をかけてくるかと思ったら、いったん引いて完全に陣形を組み直していた。
 ゴーレム達もこちらを包囲するように移動する。
 そして神鳥が退却するためのルートを塞ぐ。

 詰んだ。
 もはや逃げることすら不可能だ。
 相手は私を誘い出して逃げ道を塞げばそれで勝ちだったのだ。
 まんまと策に填められた。

 神鳥が甲高い声で鳴いた。
 それを合図とするかのように、ゴーレムを先頭にしてクルセイダーズが突撃を開始した。

 突然聞こえる爆発音。
 音のした方向を見ると、神鳥の一匹だったものが原形を止めること無く破裂していた。
 そしてクルセイダーズの方へ笛のような・・・ロケット花火のような音が聞こえる。
 しばらくするとバタバタと倒れ出すクルセイダーズ。
 何が起きたのか全く理解できない。

 再び爆発音が続く。
 ゴーレムの足が粉々に吹き飛ばされ、稼働不能になる。
 雷のように轟音がとどろき、雨のように落ちていく神鳥。 

 魔領軍でもクルセイダーズでも無い複数の人影が見えた。
 迷彩服のようなものを着ている。
 破裂音をまき散らしながらこちらに近づいてくる。
 凄まじい剣撃でゴーレムを砕いている人物もいた。

「味方・・・なの?」

 気が付くと空には飛行船のようなものが浮かんでいた。
 本当に何がどうなっているのか分からない。
 一つ確実なのは、敵軍が完膚なきまでに掃討されているということだ。

 迷彩服の一人がどんどんこちらに近づいてくる。

「魔王アリス、クルセイダーズの所にいる魔領軍を風上に撤退させて。
 このままだとそっちにも被害が出る!」

『エリッタ!』

 ルディンが頭の中で叫んだ。

「ルディン、彼女は知り合いなの?」

『うん、味方だよ。
 アリス姉ちゃん、エリッタの指示に従って。』

 私は味方に対して、クルセイダーズから風上に距離をとらせた。

 ゴーレムはことごとく破壊され、神鳥は半数が討伐され半数が逃げ出し、クルセイダーズはほぼ壊滅状態だ。
 気が付くと三百人程度の迷彩服の人物達が辺りに展開していた。
 魔領軍には迷彩服には攻撃しないように指示を出してある。

 何が何だか分からないうちに勝った。
 負けると思っていただけに、半端ではない脱力感だ。

 ふと見上げると飛行船からパラシュートが見えた。
 一人の人物が降りてきた。
 そして不格好に墜落する。
 その人物は私の姿を確認すると、微笑みかけてこう言った。

「ははは、お待たせ。」

 私は目を見開いた。

「そんな・・・嘘。」

 知っている人物だった。
 あまりの驚きに心臓が止まるかと思った。
 しかし私の心臓は、止まるどころかその動きを激しくする。

 彼だ、転生する前の彼だ。



 



 逆転無双だった。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...