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四章 予想はよそう、第四層
62 能のある脳が欲しいのう
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36日目。終着の村での収集した物の解析作業を開始した。
僕はエンジンをもう一つ作って発電機にしようと思っていたんだけど、装甲車のエンジンを流用すれば良いだけだと気づいてそちらの改造に取りかかった。元の世界でも、車は移動する発電機なんだよね。
作業場の設備をダンジョンでの移動中でも行えるように、ディメンジョンハウスの方に移動させた。ちょっと名前が長いから、これからは箱庭と呼ぶことにする。第四層で手に入れた工具なども整理し、作成可能な物の幅も広がった。
整理が終わったところで、手に入れたPCの解析を進める。CPUの型番は見たことがないものだったんだけど、実行バイナリの数値をニーモックに置き換えると、見事にx86系の命令コードだった。つまり元の世界で一般的に使われているCPUと同じコードで動いているということだ。入手したリーダ/ライタをPCに接続し、ジャンク屋で手に入るチップの内容を確認すると、PIC系と同じコードが入っている部分があった。これなら内容が書き換えられる。
いくつかのチップを解析した結果、おおよその特徴が分かってきた。ロボットの全体の動作を司っている部分はブラックボックス状態でまったく手が出ない。さらにそこから核(コア)に繋がっていると思われる部分なんだけど、そこだけジャンク屋に存在しなかった。構造的に発電している部分と思われるんだけど、まったくドロップしないらしい。そもそもこのダンジョン内の魔物のドロップって、ランダムに身体の一部が残る形なんだけど、その規則性がまったく分からない。たぶんランダムなんだろうけど、残ったり残らなかったりでちょっと気持ち悪い。
魔物は今まではほとんどが生物の形を取っていた。しかし第四層のロボットタイプだ。ならばデータを上手く書き換えれば制御できるんじゃ無いか? 終着の村ではサンプルが安く手に入る。おかげで解析が順調に進む。そしてさらに短距離無線のチップらしい物も解析してみる。規格的にはBluetoothに近い。無線で外部からの接続を受け付けるということは・・・。
クラック出来る?
僕は核が供給していると思われる電力を供給するため、発電機からいったんバッテリーを通して通電する。そしてパーツを組み合わせ、最低限の動作を行う装置を仮組みした。そこから無線のアクセスを試みて挙動を確認する。
「・・・セキュリティー薄っす!」
僕は声に出てしまった。無線接続に対して暗号化どころか認証すらやってない。せいぜいエラー訂正のチェックが入ってるぐらいだ。これ、外部からコントロールできる。 上手くいけば第四層、超あっさり終わる!
僕は無線から制御コマンドを送るプログラムを組むことにした。これで魔物のロボットが使役できるはずだ。そんな姿を周りが見たら、もしかして通り名はハッカーとかになるのかな? 早くヨクジョーという不名誉極まりない名前を卒業したい。
しかし・・・作業しながら思ったんだけど、僕は元の世界でいったい何をやってた人なんだろう? 自分で言うのもなんだけど、色々詳しすぎる。特にプログラムの作成なんて、ほとんど思考をせずにやっている。呼吸をするかのごとく必要なコードを打ち込んでいるのだ。
人間の脳というのは特定の分野で使い続けると、その分野に特化して最適化される。例えば将棋のプロ棋士なんかは、対局中の脳の使い方が一般人とまったく違う。脳内に専用の回路が構成されて、通常の思考を行う場所とは別領域を使用するようになるのだ。
そんなこんなで集中して作業していたら、あっという間に一日が終わってしまった。なんだか前の世界では、こんな生活をずっと続けていたような気がする。
僕は何かを作って、そして何かを育てていた。
いったい・・・何を?
もう少しで思い出せそうな気がする。
僕は何かを見つけて、それを使って作ったんだ。
何を見つけて、何を作った?
そして僕が作った物をさらに誰かが使って、それを確認するために・・・。
何とか思い出そうと、雑巾をしぼるかのごとく記憶を吸い出していく。しかしそれを遮るかのごとくやってきたのは突然の睡魔だ。僕は意識を保てなくなり、そしてその場に倒れた。しかし目を閉じているはずなのに、目の前には何かの光景が広がっていた。
見覚えがある場所だ。ソルトシールダンジョンの第一層。どうやら夢を見ているらしい。何故ならダンジョンの中にいるはずの無い人物を見つけたのだから。
リコッテ。
彼女の持っているあの杖、最近似たような材質の混を見たなぁ・・・ってアダマンタイト! 纏っている衣装もなんだか凄まじい力を感じるぞ。まあ、夢だからね。こっちに来てから時々リコッテの夢を時々見るけれど、もしかして僕の中にけっこうな罪悪感が残ってるのかな?
そしてなかなか終わらない夢。なんかリコッテがコボルトの集団に囲まれている。 夢とはいえ、もしかしてヤバいんじゃない? 彼女が魔物に襲われる夢とか、さすがに夢見が悪いから勘弁して欲しい。
僕はエンジンをもう一つ作って発電機にしようと思っていたんだけど、装甲車のエンジンを流用すれば良いだけだと気づいてそちらの改造に取りかかった。元の世界でも、車は移動する発電機なんだよね。
作業場の設備をダンジョンでの移動中でも行えるように、ディメンジョンハウスの方に移動させた。ちょっと名前が長いから、これからは箱庭と呼ぶことにする。第四層で手に入れた工具なども整理し、作成可能な物の幅も広がった。
整理が終わったところで、手に入れたPCの解析を進める。CPUの型番は見たことがないものだったんだけど、実行バイナリの数値をニーモックに置き換えると、見事にx86系の命令コードだった。つまり元の世界で一般的に使われているCPUと同じコードで動いているということだ。入手したリーダ/ライタをPCに接続し、ジャンク屋で手に入るチップの内容を確認すると、PIC系と同じコードが入っている部分があった。これなら内容が書き換えられる。
いくつかのチップを解析した結果、おおよその特徴が分かってきた。ロボットの全体の動作を司っている部分はブラックボックス状態でまったく手が出ない。さらにそこから核(コア)に繋がっていると思われる部分なんだけど、そこだけジャンク屋に存在しなかった。構造的に発電している部分と思われるんだけど、まったくドロップしないらしい。そもそもこのダンジョン内の魔物のドロップって、ランダムに身体の一部が残る形なんだけど、その規則性がまったく分からない。たぶんランダムなんだろうけど、残ったり残らなかったりでちょっと気持ち悪い。
魔物は今まではほとんどが生物の形を取っていた。しかし第四層のロボットタイプだ。ならばデータを上手く書き換えれば制御できるんじゃ無いか? 終着の村ではサンプルが安く手に入る。おかげで解析が順調に進む。そしてさらに短距離無線のチップらしい物も解析してみる。規格的にはBluetoothに近い。無線で外部からの接続を受け付けるということは・・・。
クラック出来る?
僕は核が供給していると思われる電力を供給するため、発電機からいったんバッテリーを通して通電する。そしてパーツを組み合わせ、最低限の動作を行う装置を仮組みした。そこから無線のアクセスを試みて挙動を確認する。
「・・・セキュリティー薄っす!」
僕は声に出てしまった。無線接続に対して暗号化どころか認証すらやってない。せいぜいエラー訂正のチェックが入ってるぐらいだ。これ、外部からコントロールできる。 上手くいけば第四層、超あっさり終わる!
僕は無線から制御コマンドを送るプログラムを組むことにした。これで魔物のロボットが使役できるはずだ。そんな姿を周りが見たら、もしかして通り名はハッカーとかになるのかな? 早くヨクジョーという不名誉極まりない名前を卒業したい。
しかし・・・作業しながら思ったんだけど、僕は元の世界でいったい何をやってた人なんだろう? 自分で言うのもなんだけど、色々詳しすぎる。特にプログラムの作成なんて、ほとんど思考をせずにやっている。呼吸をするかのごとく必要なコードを打ち込んでいるのだ。
人間の脳というのは特定の分野で使い続けると、その分野に特化して最適化される。例えば将棋のプロ棋士なんかは、対局中の脳の使い方が一般人とまったく違う。脳内に専用の回路が構成されて、通常の思考を行う場所とは別領域を使用するようになるのだ。
そんなこんなで集中して作業していたら、あっという間に一日が終わってしまった。なんだか前の世界では、こんな生活をずっと続けていたような気がする。
僕は何かを作って、そして何かを育てていた。
いったい・・・何を?
もう少しで思い出せそうな気がする。
僕は何かを見つけて、それを使って作ったんだ。
何を見つけて、何を作った?
そして僕が作った物をさらに誰かが使って、それを確認するために・・・。
何とか思い出そうと、雑巾をしぼるかのごとく記憶を吸い出していく。しかしそれを遮るかのごとくやってきたのは突然の睡魔だ。僕は意識を保てなくなり、そしてその場に倒れた。しかし目を閉じているはずなのに、目の前には何かの光景が広がっていた。
見覚えがある場所だ。ソルトシールダンジョンの第一層。どうやら夢を見ているらしい。何故ならダンジョンの中にいるはずの無い人物を見つけたのだから。
リコッテ。
彼女の持っているあの杖、最近似たような材質の混を見たなぁ・・・ってアダマンタイト! 纏っている衣装もなんだか凄まじい力を感じるぞ。まあ、夢だからね。こっちに来てから時々リコッテの夢を時々見るけれど、もしかして僕の中にけっこうな罪悪感が残ってるのかな?
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