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四章 予想はよそう、第四層
80 愛して止まないICカード
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42日目。
何だか無駄に時間を使ってしまった気がする。恐ろしいことに、後ろからリコッテが近づいてくるのが確定してしまった。早々に先に進まなければならない。前門の虎、後門の狼。進もうが立ち止まろうが、僕には死地しか残されていない。
第三層から第四層への道のりは、装甲車のおかげで早々に通過することが出来た。転移の水晶は始発の町の入り口に設定したままになっているので、帰りに以前のようなことが起こる心配は無い。
そして第四層を進む。まず向かうのは、イナゴ大量発生地帯だ。今回はノートPC側でアクセスポイントデータを蓄積し、デバイスに命令を送るように改善してある。何匹出ようが瞬殺してみせる。
しばらく装甲車を走らせていると、予定通りイナゴ群を発見した。このために作ったプログラムを起動し、片っ端からイナゴ型ジャンクを停止させ管理者権限を書き込んでいく。僕は蟲師と化した。
ゲットしたイナゴタイプのジャンクは256匹。どうやらこの数で1グループを形成するようになっているらしい。素晴らしくキリの良い数だ。これだけ数が揃えばその戦闘力はアイボウすらも上回る。そして数が多すぎるので個別に名前を付けるのは諦め、安直にイナゴンズと呼ぶことにした。
イナゴンズの能力を解析してみた結果、小さいながらも鉄すら腐食させる強力な酸を生成することが分かった。さらに恐ろしいことに、どうやら人間に対してはその酸を血液中に流し込むという必殺技使うようだ。これ、戦ったら死ぬよ? 第四層に来た冒険者達はどうやってこいつらを回避してるんだ? 対処は無理だよね?
新たに仲間に加わったイナゴンズには、僕の護衛を設定しておいた。索敵にも使えそうなんだけど、既にその仕事はスバードが行っている。一匹の能力は当然スバードの方が上なので、役割はこの形に落ち着いた。
イナゴンズ達256匹を全て出しておくとさすがに鬱陶しいので、5匹だけを警戒に当たらせる。これである程度の非常事態にも対処できるだろう。
そしてセンコウシャをゲットしに行くかどうかもちょっと考えたんだけど、やっぱりやめておくことにする。アレを出して戦う姿を想像した結果、またまたとんでもない通り名が付きそうだからだ。ヤツを使うとなると、口封じのため目撃者を抹殺してまわらねばならない。
さて、ついにボス部屋があると思われる巨大ドームへ到達した。装甲車があるおかげで数時間の道のりで済んだのだけど、徒歩なら下手をすると日付をまたいでしまう距離だ。とにかくだだっ広い。階層を下るにつれて、その広さが拡大しているように思える。ゲームの世界にもフィールドがだだっ広いものがあるけれど、中身がスッカスカだと移動時間がかかるだけで大抵の場合不評なんだよね。なんだかそれに近いものがある。
巨大ドームに到着した。僕は装甲車から降りてドームの入り口の前に立つ。今回、扉は壊れていない。周囲を確認しつつ扉を開く方法を探した。そして、たぶんこれだというものを見つけた。それっぽいマークが描かれていて、何らかの仕掛けがあるようだ。残念ながら鍵穴は無い。SFとかだとカードキーっぽいものを差し込んだりするというのもある。しかしカードを通すような部分も無い。
ふと考えてある結論に至った。たぶん非接触型のICみたいな仕組みなのだろうと。何故その結論に至ったかというと、電子マネーでよく使われるマークとよく似ているからだ。日本とごく一部の国でしか使われていない、日本企業のローカル規格マークだ。
さて困った。途中でICカードっぽいものは拾っていない。いっそウーナのレーザーで扉を焼き切るか? いや、その前に試してみることがある。
僕はイナゴンズの1匹を呼び寄せ、それをマークの前に近づけてみた。
グイーンンンン
モーター音のようなものが聞こえ扉が開き始めた。ビンゴ。どうやら第四層のジャンク達が鍵の役割を果たすようだ。たぶん最低1匹は生け捕りにしないと、この扉を開けることは出来ないのだろう。普通に戦ったら凶悪としか言いようのないジャンクを捕獲するのは、正攻法で攻略している冒険者にとって、かなり難易度の高いミッションだ。いいのかな、僕だけこんな楽ちんで。
中に入るとしばらく通路が続いた。途中に扉は無い。突き当たりまで行ったものの、そこは行き止まりだった。そのまま壁に向かって近づいてみる。
グイーングーゥゥゥ
再びモーター音だ。さっきと微妙に音が違う。どうやら奥は自動ドアになっていたらしい。開いた扉からさらに奥へと進む。突然開けた場所に出た。
グイィィィン、ガッツンガッツン、シューシュー
色々な音が混じっている。そこは工場だった。どうやらジャンクの生産施設のようだ。ボス部屋はどこだろう? このドームだと当たりを付けてやってきたのに、もしかしたら外したかもしれない。
とにかくまずはこのジャンク製造工場を探索してみよう。ボス部屋が無いと決まったわけではないし、なにか攻略に有利になるようなものが見つかるかもしれない。
何だか無駄に時間を使ってしまった気がする。恐ろしいことに、後ろからリコッテが近づいてくるのが確定してしまった。早々に先に進まなければならない。前門の虎、後門の狼。進もうが立ち止まろうが、僕には死地しか残されていない。
第三層から第四層への道のりは、装甲車のおかげで早々に通過することが出来た。転移の水晶は始発の町の入り口に設定したままになっているので、帰りに以前のようなことが起こる心配は無い。
そして第四層を進む。まず向かうのは、イナゴ大量発生地帯だ。今回はノートPC側でアクセスポイントデータを蓄積し、デバイスに命令を送るように改善してある。何匹出ようが瞬殺してみせる。
しばらく装甲車を走らせていると、予定通りイナゴ群を発見した。このために作ったプログラムを起動し、片っ端からイナゴ型ジャンクを停止させ管理者権限を書き込んでいく。僕は蟲師と化した。
ゲットしたイナゴタイプのジャンクは256匹。どうやらこの数で1グループを形成するようになっているらしい。素晴らしくキリの良い数だ。これだけ数が揃えばその戦闘力はアイボウすらも上回る。そして数が多すぎるので個別に名前を付けるのは諦め、安直にイナゴンズと呼ぶことにした。
イナゴンズの能力を解析してみた結果、小さいながらも鉄すら腐食させる強力な酸を生成することが分かった。さらに恐ろしいことに、どうやら人間に対してはその酸を血液中に流し込むという必殺技使うようだ。これ、戦ったら死ぬよ? 第四層に来た冒険者達はどうやってこいつらを回避してるんだ? 対処は無理だよね?
新たに仲間に加わったイナゴンズには、僕の護衛を設定しておいた。索敵にも使えそうなんだけど、既にその仕事はスバードが行っている。一匹の能力は当然スバードの方が上なので、役割はこの形に落ち着いた。
イナゴンズ達256匹を全て出しておくとさすがに鬱陶しいので、5匹だけを警戒に当たらせる。これである程度の非常事態にも対処できるだろう。
そしてセンコウシャをゲットしに行くかどうかもちょっと考えたんだけど、やっぱりやめておくことにする。アレを出して戦う姿を想像した結果、またまたとんでもない通り名が付きそうだからだ。ヤツを使うとなると、口封じのため目撃者を抹殺してまわらねばならない。
さて、ついにボス部屋があると思われる巨大ドームへ到達した。装甲車があるおかげで数時間の道のりで済んだのだけど、徒歩なら下手をすると日付をまたいでしまう距離だ。とにかくだだっ広い。階層を下るにつれて、その広さが拡大しているように思える。ゲームの世界にもフィールドがだだっ広いものがあるけれど、中身がスッカスカだと移動時間がかかるだけで大抵の場合不評なんだよね。なんだかそれに近いものがある。
巨大ドームに到着した。僕は装甲車から降りてドームの入り口の前に立つ。今回、扉は壊れていない。周囲を確認しつつ扉を開く方法を探した。そして、たぶんこれだというものを見つけた。それっぽいマークが描かれていて、何らかの仕掛けがあるようだ。残念ながら鍵穴は無い。SFとかだとカードキーっぽいものを差し込んだりするというのもある。しかしカードを通すような部分も無い。
ふと考えてある結論に至った。たぶん非接触型のICみたいな仕組みなのだろうと。何故その結論に至ったかというと、電子マネーでよく使われるマークとよく似ているからだ。日本とごく一部の国でしか使われていない、日本企業のローカル規格マークだ。
さて困った。途中でICカードっぽいものは拾っていない。いっそウーナのレーザーで扉を焼き切るか? いや、その前に試してみることがある。
僕はイナゴンズの1匹を呼び寄せ、それをマークの前に近づけてみた。
グイーンンンン
モーター音のようなものが聞こえ扉が開き始めた。ビンゴ。どうやら第四層のジャンク達が鍵の役割を果たすようだ。たぶん最低1匹は生け捕りにしないと、この扉を開けることは出来ないのだろう。普通に戦ったら凶悪としか言いようのないジャンクを捕獲するのは、正攻法で攻略している冒険者にとって、かなり難易度の高いミッションだ。いいのかな、僕だけこんな楽ちんで。
中に入るとしばらく通路が続いた。途中に扉は無い。突き当たりまで行ったものの、そこは行き止まりだった。そのまま壁に向かって近づいてみる。
グイーングーゥゥゥ
再びモーター音だ。さっきと微妙に音が違う。どうやら奥は自動ドアになっていたらしい。開いた扉からさらに奥へと進む。突然開けた場所に出た。
グイィィィン、ガッツンガッツン、シューシュー
色々な音が混じっている。そこは工場だった。どうやらジャンクの生産施設のようだ。ボス部屋はどこだろう? このドームだと当たりを付けてやってきたのに、もしかしたら外したかもしれない。
とにかくまずはこのジャンク製造工場を探索してみよう。ボス部屋が無いと決まったわけではないし、なにか攻略に有利になるようなものが見つかるかもしれない。
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