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幕間
115 カンゾウ、それではいかんぞう
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サドンがその場を離れると、サルミアキがカンゾウに駆け寄った。
「カッチェを先に治療しろ。あっちの方が命に関わる。」
カンゾウは片腕を切り落とされている。それにも関わらず意識ははっきりしており、自分で自分の腕を拾いに行った。凄まじいとしか言いようがない。サルミアキはカッチェの傷を取り出した布でいったん押さえ、その上から回復魔法をかけ始めた。
カンゾウの方は、拾い上げた腕を元の位置に押し当てていた。そのまま瞑想でもするかのように目を閉じる。それでくっついたら苦労は無い。私はサルミアキの方を見る。カッチェの傷は想像以上に深刻なようで、まだ治療が終わらない。再びカンゾウの方を見た。すると彼は押さえるのに使っていた左手を離していた。もしかして、くっついてる?
あまりの出来事に私は、完全に傍観者と化していた。しかし私でもポーションを飲ませるぐらいのことは出来るはずだ。
「リコッテ様、申し訳ありません。不覚を取りました。」
「そ、そんなこと言っている場合じゃ無いでしょ。腕は大丈夫なの?」
「はい、すぐに自由とはいかないまでも、応急的に自己治癒する程度の心得はありますゆえ。」
とんでもない男だった。そのとんでもないカンゾウを圧倒したサドン。私は井の中の蛙だった。今までの相手は雑魚ばかり。そんな経験しか無かった私は、強敵が現れた途端に何も出来なかったのだ。
「私は・・・。」
「リコッテ様、お気になさらずに。元々は私が仕掛けたのが原因。責任は全て私にあります。」
「話は後で聞くわ。とにかくカッチェの応急処置が済んだら町に戻るわよ。あの様子ならサドンから攻撃を仕掛けてくることは無いはずよね?」
「残念ながら、実力差がありすぎて見逃されたというところでしょう。はたまた、何か別の思惑があるのかも知れませんが。」
そうこうしているうちに、カッチェの応急処置が済んだようだ。
「命に別状はありません。しかし首の傷は想像上以上に深く、もう少し深ければ即死していたレベルです。治療院へ行って集中治療をしないと後遺症が残ってしまいます。」
「分かった、そうしよう。」
「カンゾウ様、腕の方を見せてください。いかに自己治癒能力があるとはいえ、そのままでは傷口が化膿するかもしれません。」
カンゾウはカッチェを早く町に連れて行きたかったようだけど、サルミアキに促されて渋々腕を彼女に見せた。
「これで大丈夫です。治療院に行ったらもっときちんと治療しましょう。」
そう言われたカンゾウが渋い顔をしている。怪我をするのは平気でも、怪我の治療をされるのは苦手なようだ。カンゾウはカッチェを担ぎ上げ、私達は町の治療院へと移動した。
そしてカンゾウとカッチェの治療が一段落する。カッチェはしばらくの間入院することになった。カンゾウは入院こそしなかったけれど、しばらくは絶対安静だ。本人はもう大丈夫だと言っていたけれど、サルミアキに懇々と絶対安静の意味を説明され涙目になっていた。
「絶対安静でも話ぐらいは大丈夫かしら?」
「はい、少しであれば問題ありません。」
私はサルミアキに確認した。カンゾウは私に過保護だけど、サルミアキはカンゾウに過保護な気がする。今まではよく分からなかったけど、こういう状態になって初めてカンゾウが無鉄砲気味なことに気づいた。
「カンゾウ、サドンと何があったのか教えてくれる?」
「・・・はい。」
カンゾウはサドンについて話し始めた。サドンとはアーマレッリで初めて会ったらしい。サドンはアーマレッリダンジョン踏破者のボロティアとなんらかの情報を共有していた。カンゾウはそれを知るため、仲間達と力尽くで内容を聞き出そうとしたようだ。しかし反撃に遭い、あっさりと仲間が殺されてしまう。
「だから復讐しようとしたの?」
「あの時のことは自業自得、仲間に申し訳ないという気持ちはありますが、サドンを恨んではおりません。」
「じゃあ、何で?」
「・・・申し訳ありません。それ以上は口にすることが出来ません。」
カンゾウは切腹でもしそうな表情をしていた。これは私が立ち入ることでは無いのだろう。
「仕方が無いわね。これ以上は聞かないわ。でも次にああいう強敵と戦うときは、私に相談してからにして。」
「はい、必ず。」
そしてカンゾウが戦闘に踏み切った理由について説明を始める。気配を消して私の護衛をしていたカッチェを使えば勝てると考えたらしい。私はカッチェがいたことにまったく気がついていなかった。
「風呂、覗かれてたりしないわよね? 変な気配を感じたときがあったんだけど?」
「そんなことはしないように、重々申しつけております。それとカッチェは男色家ゆえ、そういう心配には及びません。」
想定外のとんでもない暴露だった。
「カッチェを先に治療しろ。あっちの方が命に関わる。」
カンゾウは片腕を切り落とされている。それにも関わらず意識ははっきりしており、自分で自分の腕を拾いに行った。凄まじいとしか言いようがない。サルミアキはカッチェの傷を取り出した布でいったん押さえ、その上から回復魔法をかけ始めた。
カンゾウの方は、拾い上げた腕を元の位置に押し当てていた。そのまま瞑想でもするかのように目を閉じる。それでくっついたら苦労は無い。私はサルミアキの方を見る。カッチェの傷は想像以上に深刻なようで、まだ治療が終わらない。再びカンゾウの方を見た。すると彼は押さえるのに使っていた左手を離していた。もしかして、くっついてる?
あまりの出来事に私は、完全に傍観者と化していた。しかし私でもポーションを飲ませるぐらいのことは出来るはずだ。
「リコッテ様、申し訳ありません。不覚を取りました。」
「そ、そんなこと言っている場合じゃ無いでしょ。腕は大丈夫なの?」
「はい、すぐに自由とはいかないまでも、応急的に自己治癒する程度の心得はありますゆえ。」
とんでもない男だった。そのとんでもないカンゾウを圧倒したサドン。私は井の中の蛙だった。今までの相手は雑魚ばかり。そんな経験しか無かった私は、強敵が現れた途端に何も出来なかったのだ。
「私は・・・。」
「リコッテ様、お気になさらずに。元々は私が仕掛けたのが原因。責任は全て私にあります。」
「話は後で聞くわ。とにかくカッチェの応急処置が済んだら町に戻るわよ。あの様子ならサドンから攻撃を仕掛けてくることは無いはずよね?」
「残念ながら、実力差がありすぎて見逃されたというところでしょう。はたまた、何か別の思惑があるのかも知れませんが。」
そうこうしているうちに、カッチェの応急処置が済んだようだ。
「命に別状はありません。しかし首の傷は想像上以上に深く、もう少し深ければ即死していたレベルです。治療院へ行って集中治療をしないと後遺症が残ってしまいます。」
「分かった、そうしよう。」
「カンゾウ様、腕の方を見せてください。いかに自己治癒能力があるとはいえ、そのままでは傷口が化膿するかもしれません。」
カンゾウはカッチェを早く町に連れて行きたかったようだけど、サルミアキに促されて渋々腕を彼女に見せた。
「これで大丈夫です。治療院に行ったらもっときちんと治療しましょう。」
そう言われたカンゾウが渋い顔をしている。怪我をするのは平気でも、怪我の治療をされるのは苦手なようだ。カンゾウはカッチェを担ぎ上げ、私達は町の治療院へと移動した。
そしてカンゾウとカッチェの治療が一段落する。カッチェはしばらくの間入院することになった。カンゾウは入院こそしなかったけれど、しばらくは絶対安静だ。本人はもう大丈夫だと言っていたけれど、サルミアキに懇々と絶対安静の意味を説明され涙目になっていた。
「絶対安静でも話ぐらいは大丈夫かしら?」
「はい、少しであれば問題ありません。」
私はサルミアキに確認した。カンゾウは私に過保護だけど、サルミアキはカンゾウに過保護な気がする。今まではよく分からなかったけど、こういう状態になって初めてカンゾウが無鉄砲気味なことに気づいた。
「カンゾウ、サドンと何があったのか教えてくれる?」
「・・・はい。」
カンゾウはサドンについて話し始めた。サドンとはアーマレッリで初めて会ったらしい。サドンはアーマレッリダンジョン踏破者のボロティアとなんらかの情報を共有していた。カンゾウはそれを知るため、仲間達と力尽くで内容を聞き出そうとしたようだ。しかし反撃に遭い、あっさりと仲間が殺されてしまう。
「だから復讐しようとしたの?」
「あの時のことは自業自得、仲間に申し訳ないという気持ちはありますが、サドンを恨んではおりません。」
「じゃあ、何で?」
「・・・申し訳ありません。それ以上は口にすることが出来ません。」
カンゾウは切腹でもしそうな表情をしていた。これは私が立ち入ることでは無いのだろう。
「仕方が無いわね。これ以上は聞かないわ。でも次にああいう強敵と戦うときは、私に相談してからにして。」
「はい、必ず。」
そしてカンゾウが戦闘に踏み切った理由について説明を始める。気配を消して私の護衛をしていたカッチェを使えば勝てると考えたらしい。私はカッチェがいたことにまったく気がついていなかった。
「風呂、覗かれてたりしないわよね? 変な気配を感じたときがあったんだけど?」
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