能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

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六章 熱血沸騰、第六層

121 肩身の狭い形見

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 草原フィールドでリコッテは侍擬きと戦っていた。いや、稽古をつけてもらっているのか。侍擬きは左手に刀を握り、リコッテの杖による攻撃を裁いているようだ。断定できないのは早すぎて見えないからだ。夢の中ぐらい見えるように補正がかかっても、罰(バチ)は当たらないと思うんだけどなあ。

 リコッテの身体は薄らとした光で覆われている。おそらく光魔法のエンチャントだろう。その状態で凄まじい速度の攻撃を繰り出している。さらに移動速度もとんでもない。侍擬きの背後に、ほとんど瞬間移動と言っていいほどの素早さで回り込む。それに反応して杖を叩き落とす侍擬き。

「ちょっと、右手は使っちゃいけないんでしょ。治りが遅くなるって、サルミアキに怒られるわよ。」
「いやいや、そう言われましても右を使わなければ別の怪我が増えて、結局怒られますゆえ・・・。短期間でここまで腕を上げるとは、さすがとしか言い様がありません。」
「とにかくスピードが必要なのは、この前の件で実感したわ。二度と同じ轍は踏まないわよ。」

 スピードってもしかして・・・。僕がウーナに乗って逃げた件かぁぁぁ!!!

「不意さえ付けばダメージは与えられる。つまり攻撃力よりも、スピードと正確性が必要なのよね。次に同じ状況になったら確実に倒せるようにするわ。」

 ぼ・く・を・・・倒すつもりかぁぁぁぁ!!!!

 ヤバイヤバイヤバイ、この前に速攻で逃げたせいで、とうとう僕を叩きのめしにくるつもりのようだ。だけど不意を付かなくったって、今のリコッテなら僕なんて瞬殺できそうだけど? やっぱりウーナで逃げるのを警戒しているんだろうか?

 まいったな。まだ第三層にいるみたいだけど、強さ的な尺度だと第六層に到達してもおかしくないレベルなんじゃないかな? こうなってくると一刻も早く先に進みたい所だ。しかしサドンがあの状態だし、まだしばらくは動けそうに無い。

 侍擬きが右腕に怪我をしているようなので、しばらくは大丈夫だろうか?

「明日、第三層をクリアするわよ。カンゾウとサルミアキは付いてくるだけでいいわ。カッチェは入院中だけど、彼は既にクリア済みになってるのよね?」

 侍擬きは苦笑しながらも、リコッテの話に同意したようだ。マズイ、明日には第四層へやってくる。

「貴殿らがリコリースの末裔一行かな。」

 突然、威圧的なオーラを発する男がリコッテ達に話しかけてきた。黄色をメインとした民族服的な装いで、なんだか凄い貴族臭がする。

「なにかご用?」
「我が名はベルグレスト。貴殿らに有力な情報を持ってまいったのだ。」

 リコッテも侍擬きも、胡散臭いという顔をしている。僕もその場にいたら同じ顔をしていただろう。

「貴殿らは捜し物をしているのであろう。」
「あなたには関係ないことだと思うけど?」
「リコリースの形見の品の場所を知っているのだが、興味は無かったかな?」

 貴族臭男がそう言った瞬間、リコッテと侍擬きの顔色が変わった。何か重要なものなんだろうか?

「一応、聞いておくわ。お金でも必要なのかしら?」
「金銭など欲してはおらぬ。この世界を救うのに少々協力してくれれば良い。」
「何を言っているの?」
「ボロディアの名は聞いておるな? キャツの狙いはをこの世界を滅ぼすことだ。そうなる前に手を打っておきたいのだよ。既にキャツはダンジョン踏破を進め、確実に力を増しておる。」

 この世界の制作者であるボロディアが、自分で作った世界を滅ぼす? 何を言っているんだろう、あのオッサンは?

「ベルグレスト殿、ボロディアは戦って当てる相手では無い。」
 侍擬きはそう言った。ボロディアのユニークスキル、クラスタプライオリティは完全にシステムの枠を超えたチートだ。確かに勝てるわけが無い。

「リコリースの形見の知識を使えば勝てる。だからわざわざここまで来たのだ。それで・・・協力するつもりがあると受け取っていいのかな?」
「もし本当にそのボロディアが世界を滅ぼすって言うのなら、戦うしか無いわね。本当ならだけど。」
「今はそれで良い。では、形見の在処を教えよう。その場所は・・・もう一人のボリハ村の出身者が持っておる。このダンジョンに来ておるはずだ。」

 へえ、リコッテ以外に村から誰か来てるんだ? 誰だろう? ええっと・・・。

 僕かぁぁぁぁ!!!!!
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