能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

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137 デイリーな日照り

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 さて、ここは・・・西洋風の街並みだ。
 どうやら私は夢の中に到着したようだ。
 街は人々が行き交い、馬車が通り過ぎていく。

 馬車なんて現実でも見たことは無かったのにずいぶんとリアルだ。
 これは自分自身の想像力のたまものだろうか?
 しかし馬がいるのなら道に馬糞の一つぐらい落ちているはず。
 さすがに夢の中ではそこまで再現さていないらしい。

 バフン!

 どうやらそうではないらしい。
 馬に馬糞受けが付いている。
 だから道に馬糞は落ちないのだ。
 それとさっきのは、バフンではなくギャフンだろというツッコミを一応自分でしておこう。

「こんにちは、どうやら始まったみたいね。」

 話しかけられた? 私は声の方向を見る。妖艶と言うのだろうか? 頭に山羊のような角を生やした女性に声をかけられた。

「ボロディア、剣士見習い、そして・・・ゲームマスター。初めまして、私はレイア。レイアちゃんって呼んでね。あなたが来るのを待っていたわ。」
「なんと、夢の中とはいえこんな綺麗な人に待っていたと言われるのは・・・女日照りの人生、欲求不満の集大成かな。」
「面白い人ね。それよりも本格的に状況が固まる前に、色々と説明したいのだけどよろしいかしら?」
「もちのろん。目が覚めるまではお付き合いしましょう。」

 この欲求不満の夢はいったいどこへ向かうんだろう? 

「まず結論から簡単に言うわね。あなたの作ったこの世界は、私がちょっとした用事で使った魔力の影響で実体化したの。それだけならまだ良かったのだけど・・・。この世界のシステムを悪用している悪いおじさんがいるのよ。」

 なるほど、そういうイベントらしい。
 夢でこの流れとは、ちょっとゲームの作りすぎか?
 もう少し休養を取らないと駄目かも知れないな。
 だけど今寝ているわけだし、休養は今まさに取っている途中だ。
 これ以上どうしようもないな。

「このイベントの達成条件は?」
「そうね・・・。AIリコリスの制御権を取り戻すか、破壊するかかしらね。」
「リコリス? GISUKEじゃなくて?」
「GISUKEのシステムはとっくにリコリスに取り込まれてるわよ。簡単に言うと、を取り込んだものに寄生された感じね。」 
「そういう変化も起こり得るのか。本当なら論文に検証データを付けないといけないな。」
「論文よりも先にやることがあるわよ。」

 レイアちゃんの話では、この夢は半分リアルになりかけているらしい。
 プレイヤー達は既にこの世界に取り込まれ始めていて、そのうち現実世界に戻れなくなるということだ。
 何故ならこの世界が彼らの現実となるからだ。
 ただしこの世界の身体はシステムで用意したアバターだ。
 だから帰還不能になるのは精神のみとなる。
 夢の中にしてはなかなか面白い設定だ。

「状況は理解したよ。それで私がやることとは?」
「この世界の制御権はほとんど持って行かれていると思うけれど、まだあなたが操作可能な部分があるわ。それはアバターの設定変更よ。それが出来るうちにやって欲しいことがあるの。全アバターに出来うる限りの強力なスキルを設定して。」
「そのぐらいは簡単だけど、ゲームバランスが崩壊しかねないし、気が進まないな。」
「バランスなら既に崩壊しているわよ。ダンジョンの第二層以下に行ってみれば分かるわ。そろそろ時間ね・・・。とにかく今言ったことを忘れないで。今ならまだ間に合うはずだから。」

 そう言うレイアちゃんの声が、だんだんと遠くなっていくのを感じる。

 ・・・よく寝た、ここはベッドの上だ。
 何か変な夢を見たような気がする。
 そうだ、あれは馬糞!
 じゃなかった、システムが乗っ取られているという夢だ。

 ちょっと不安になってきた。
 とにかく確認してみよう。

 私はPCからサーバにシステムの稼働状況をレポートさせる。
 ぱっとみ全て正常だ。
 システムが乗っ取られている可能性・・・。
 試しにダンジョンの内部のレイアウトを編集してみるか。

 それではまず、階層の入り口の裏にボス部屋の入り口を持ってこよう。
 問題なく変更できた。
 次はこの変な研究所みたいのを壊してみるか。
 よし壊れた。 
 権限は全く問題ない。

 最後にこの巨大な工場を消してみよう。
 削除っと。
 よし消え・・・あれ?
 消したはずなのに、元に戻されていく。

 他の場所も同じように編集してみたものの、何をやってもすぐに元に戻されてしまう。
 私の権限が無くなったと言うより、GISUKEが勝手にデータを修正している感じだ。
 大丈夫、大した問題じゃない。
 GISUKEのプロセスをいったん止めれば良いだけの話なのだから。

 私はGISUKEに対し、サービス停止コマンドを送った。
 まさかコレが事件の引き金になるとは知らずに。
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