175 / 208
九章 魔境の森だよ、第九層
175 あんなところにアンテナがあってな
しおりを挟む
状況は悪い。サドンはブツブツ呟きながらフラフラしている。スコヴィルはさっきから惚けた顔で「うふふふふ」と笑っている。ブレアはさっきから僕の手を離そうとしない。
第八層のボスは結局、姿を見ること無く倒した・・・ようだ。いつも通り宝箱と階段が出現している。しかし今回の戦いでの被害は過去最大級だ。パーティーが壊滅寸前と言って良いほどにボコボコにされた。
「ええっと・・・これ以上の探索は無理みたい。とりあえず宝箱の中身を回収して、いったん創世の街に戻ろう。ギデアの容態も気になるし。」
「そうね。アイテムは私が回収してくるから休んでいて。」
ブレアがようやく僕の手を離した。ふと、自分の手が氷のように冷たくなっているのに気がついた。僕も相当に精神を削られているらしい。このまま第九層に突入するのは自殺行為だ。
「回収は終わった。戻りましょう。」
「えっと・・・僕はサドンを連れて行くから、ブレアはスコヴィルをお願い。」
精神崩壊を起こしている二人を連れてボス部屋の螺旋階段を降りていく。なんとか第九層の入り口付近まで移動した。ここまで来た理由は、僕の持っている階層移動アイテムが入り口付近でしか発動しないからだ。
僕は入り口からちょっとだけ第九層の様子を覗き込んだ。そこは薄暗く、怪しい植物がたくさん生えているフィールドだ。そして何か動くモノが大量に見えた。怖いのですぐに離れたけれど、たぶんアレはおびただしい数の魔物の群れだ。怖すぎる。
とにかく今は街に戻ろう。僕は転移アイテムを発動させる。そして第三層の入り口に転移した後、創世の街にマーキングした転移アイテムを乗り継いで久々に街に帰ってきた。
「はい、こっちだよ。」
僕は老人介護をしているような錯覚を感じた。しかし僕が手を引いているのは壊れたサドンだ。ブレアが連れているスコヴィルも相変わらず引き締まらない顔で笑っている。まさかこんな形で追い込まれるとは、想像など出来るはずが無い。
そして僕達は街の中に入った。
「うぇぇぇぇぇ?」
街の中で僕が最初に発したのは、言葉にすらならない声だった。時計塔を中心として、周囲に巨大な建造物がそびえ立っていた。一体何をするものなのか全く想像がつかない。見方によっては、巨大なパラボラアンテナに見えなくも無い。
僕はブレアの方を見た。彼女は建造物に対して興味を示していないようだ。
「また増えてる。」
そんな一言だけだった。
アレは後で確認するとしてとにかく治療院へ向かおう。ギデアのことも気になるし、サドンとスコヴィルを何とかしないといけない。僕達が治療院へ到着すると、そこには天魔ギルダインがいた。
「ギデアなら命は取り留めた。しかし意識は戻っていない。」
ブレアが聞こうとしたことを先に察して、早々に情報を教えてくれた。
「意識はちゃんと戻るの?」
「ああ、大丈夫。今は心臓を馴染ませるために、生命活動を最小限に抑えている状態だ。経過は順調だから必ず意識は戻る。それと、今は治療が行われているから面会は出来ない。」
「そう・・・良かった。」
ギルダインの言葉に、ホッとした表情を浮かべるブレア。もしかしてブレアの様子がおかしかったのは、サドンがキモいから以上に、ずっとギデアのことを気にしていたからだろうか?
「ところでそちらの二人はどうしたんだ?」
ギルダインが発狂中のサドンとスコヴィルを見て言った。
「後で説明します。とにかくいったん二人を診察してもらいます。」
僕はそう答えると、治療院の受付に二人を連れて行った。元に戻るかな、この二人?
第八層のボスは結局、姿を見ること無く倒した・・・ようだ。いつも通り宝箱と階段が出現している。しかし今回の戦いでの被害は過去最大級だ。パーティーが壊滅寸前と言って良いほどにボコボコにされた。
「ええっと・・・これ以上の探索は無理みたい。とりあえず宝箱の中身を回収して、いったん創世の街に戻ろう。ギデアの容態も気になるし。」
「そうね。アイテムは私が回収してくるから休んでいて。」
ブレアがようやく僕の手を離した。ふと、自分の手が氷のように冷たくなっているのに気がついた。僕も相当に精神を削られているらしい。このまま第九層に突入するのは自殺行為だ。
「回収は終わった。戻りましょう。」
「えっと・・・僕はサドンを連れて行くから、ブレアはスコヴィルをお願い。」
精神崩壊を起こしている二人を連れてボス部屋の螺旋階段を降りていく。なんとか第九層の入り口付近まで移動した。ここまで来た理由は、僕の持っている階層移動アイテムが入り口付近でしか発動しないからだ。
僕は入り口からちょっとだけ第九層の様子を覗き込んだ。そこは薄暗く、怪しい植物がたくさん生えているフィールドだ。そして何か動くモノが大量に見えた。怖いのですぐに離れたけれど、たぶんアレはおびただしい数の魔物の群れだ。怖すぎる。
とにかく今は街に戻ろう。僕は転移アイテムを発動させる。そして第三層の入り口に転移した後、創世の街にマーキングした転移アイテムを乗り継いで久々に街に帰ってきた。
「はい、こっちだよ。」
僕は老人介護をしているような錯覚を感じた。しかし僕が手を引いているのは壊れたサドンだ。ブレアが連れているスコヴィルも相変わらず引き締まらない顔で笑っている。まさかこんな形で追い込まれるとは、想像など出来るはずが無い。
そして僕達は街の中に入った。
「うぇぇぇぇぇ?」
街の中で僕が最初に発したのは、言葉にすらならない声だった。時計塔を中心として、周囲に巨大な建造物がそびえ立っていた。一体何をするものなのか全く想像がつかない。見方によっては、巨大なパラボラアンテナに見えなくも無い。
僕はブレアの方を見た。彼女は建造物に対して興味を示していないようだ。
「また増えてる。」
そんな一言だけだった。
アレは後で確認するとしてとにかく治療院へ向かおう。ギデアのことも気になるし、サドンとスコヴィルを何とかしないといけない。僕達が治療院へ到着すると、そこには天魔ギルダインがいた。
「ギデアなら命は取り留めた。しかし意識は戻っていない。」
ブレアが聞こうとしたことを先に察して、早々に情報を教えてくれた。
「意識はちゃんと戻るの?」
「ああ、大丈夫。今は心臓を馴染ませるために、生命活動を最小限に抑えている状態だ。経過は順調だから必ず意識は戻る。それと、今は治療が行われているから面会は出来ない。」
「そう・・・良かった。」
ギルダインの言葉に、ホッとした表情を浮かべるブレア。もしかしてブレアの様子がおかしかったのは、サドンがキモいから以上に、ずっとギデアのことを気にしていたからだろうか?
「ところでそちらの二人はどうしたんだ?」
ギルダインが発狂中のサドンとスコヴィルを見て言った。
「後で説明します。とにかくいったん二人を診察してもらいます。」
僕はそう答えると、治療院の受付に二人を連れて行った。元に戻るかな、この二人?
0
あなたにおすすめの小説
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
※AI学習禁止・無断転載禁止・無断翻訳禁止・無断朗読禁止
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~
荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。
それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。
「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」
『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。
しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。
家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。
メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。
努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。
『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』
※別サイトにも掲載しています。
無能と追放された結界師、三十路のおっさんですが17歳の辺境伯令嬢と婚約して人生逆転します
みかん畑
ファンタジー
無能と蔑まれ、Aランクパーティを追放された結界師フィン。
行き場を失った彼を拾ったのは、辺境伯の娘リリカだった。
国土結界の恩恵が届かない辺境で、フィンの結界は本当の価値を発揮していく。
領地再建、政治の駆け引き、そして少女のまっすぐな想い。
これは無能と呼ばれた男が、辺境で居場所を見つけ、やがて年の差婚へと至る物語。
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
元王城お抱えスキル研究家の、モフモフ子育てスローライフ 〜スキル:沼?!『前代未聞なスキル持ち』の成長、見守り生活〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「エレンはね、スレイがたくさん褒めてくれるから、ここに居ていいんだって思えたの」
***
魔法はないが、神から授かる特殊な力――スキルが存在する世界。
王城にはスキルのあらゆる可能性を模索し、スキル関係のトラブルを解消するための専門家・スキル研究家という職が存在していた。
しかしちょうど一年前、即位したばかりの国王の「そのようなもの、金がかかるばかりで意味がない」という鶴の一声で、職が消滅。
解雇されたスキル研究家のスレイ(26歳)は、ひょんな事から縁も所縁もない田舎の伯爵領に移住し、忙しく働いた王城時代の給金貯蓄でそれなりに広い庭付きの家を買い、元来からの拾い癖と大雑把な性格が相まって、拾ってきた動物たちを放し飼いにしての共同生活を送っている。
ひっそりと「スキルに関する相談を受け付けるための『スキル相談室』」を開業する傍ら、空いた時間は冒険者ギルドで、住民からの戦闘伴わない依頼――通称:非戦闘系依頼(畑仕事や牧場仕事の手伝い)を受け、スローな日々を謳歌していたスレイ。
しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。
スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。
何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……?
「今日は野菜の苗植えをします」
「おー!」
「めぇー!!」
友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。
そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。
子育て成長、お仕事ストーリー。
ここに爆誕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる