「私はまた、失う」

うた子

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原発の爆発を知る

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その廃校の中心部には少し広間のようになっているところがあって、多分木琴などが置いてあったので小さな遊戯場のように使われていたのだと思うのだけれど、そこにテレビがひとつだけ置かれていた。
昔の学校の教室によく置いてあった、電気ストーブもひとつだけだ。
その近くに唯一携帯の充電ができる場所があって、なんとか避難してきた人たちで充電器を持ちより、交代しながら携帯を充電していた。

父と母は、叔父と叔母と従妹たちの側に布団を持っていって、そこで寝ているようだった。
私は車で寝ることにしていた。
私が不眠症な上に、薬を持って避難してきたわけではなかったので、全く寝なかった為だ。
ADHDなので暇に耐えられない。
なので起きている限りよく外に出る為、教室内に寝床を作ってしまうと夜中に私が移動するたびに眠っている人に迷惑がかかってしまう。
だから一人でずっと車にいた。
ガソリンはとても貴重だったので、もちろん暖房をつけることも出来ない。
ひたすら寒かったことを覚えている。

3月14日。私が広間の木琴でカノンを弾いて遊んでいた時だった。
周りには、避難して来ている小さな子供たちがいて、私にアレを弾いて、コレを弾いて、と強請っている最中だった。
後ろにはテレビ。
いつも人がたくさん群がっていて、よく観ることはできない。

声が上がる。
「もうダメだ」と誰かが言う。

振り返った私が、テレビ画面の中に見たもの。
それは、煙が上がっている、よく見慣れた原発のある風景。
そう。
煙があがっている。
でも音がない。
爆発したならば、音は?と、どうでも良いことを思った。

それと同時に、「もしかしてもう、帰れないんじゃないの?」と私は思った。

今でも家の庭に首輪で繋がれ、お腹を空かせているはずの犬たちのことを、想った。

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