「私はまた、失う」

うた子

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血肉として抱いて

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何もかもを飲み込んで、起こった出来事を全てを血肉にして、私は生き続けると決めた。
できうる限りの頑張りで、いつでもふとした瞬間に零れてしまいそうになる嗚咽や涙を抑え込む。

けれど、時にはそれは決壊してしまう。

そう、前に書いた通り、私はあっさりと泣いてしまうのだった。
私が育った家が、解体されてしまったと知った日だ。

解体を担った方たちから、家に残されていたアルバムや通帳、親族の遺影なんかが大きな段ボールいっぱいに箱詰めにされて送られてきた。
ホコリをかぶり、雨漏りで色が滲み、ぐちゃぐちゃになって判別出来ない写真たち。
大切な大切な壊れた思い出たち。

父や母、誰にもバレないように、一人で静かに部屋へ向かい、呆然と立ち尽くすと呟いた。

「お家なくなっちゃったよお…」

たくさんたくさん涙があふれでてきた。

結局、私はまた泣いた。
震災の日から、故郷を想って泣くのは、故郷の地に立った時だけと決めたけれど、そんな誓いは全く守られやしない。

私の涙腺はもう基本的にはダメだ。

私は、きっとまだまだたくさん泣くだろう。

一人きりで、誰にも見られないように。

そうやって、私はそっと静かにひとり祈り続けるのだ。

故郷に心をよせて、ずっとずっと祈り続けるのだ。

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