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初めての彼氏・彼女

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「あのぉ…茜さん?」

私の頭の中で色々な戦いが繰り広げられていることなんかこのイケメン童貞は到底知らない。
私の答えを聞きたくて仕方がないって顔をしているように見えてしまう。
ああ、苛めたくなってきちゃった……でもダメよ。
こんな時は冷静沈着に事を進めなければいけないんだわ。
変態なもう一人の私、ここは耐えるのよ、良いお願いだから耐えてっ!!


「あの~……茜さん……?」
「……いです」
「え……?」
「……ってもいいです」
「は……? ごめんなさい。声が小さくて聞き取りにくいです」


もう!!
何回言わせんのよぉ~、このイケメン童貞めぇ~っ。
何でこんな恥ずかしいことを何回も口に出さなきゃならないのよっ!
めっちゃむっかつくぅ~っ。

「だらかっ! 付き合ってもいいって!!」
「ほ、本当ですかっ!?」
「……ええ、本当です」
「や、や、やったぁ~!! 僕に初めての彼女が出来たぁ!!」


彼はそう叫んで嬉しそうにガッツポーズをしていた。
私なんか美人でもないし、スタイルがいいわけでもないし、それに変態妄想癖の上に腐女子のダブルセットなんすけど……。
私なんかと付き合ったことを後悔しても知らないんだからぁ~。
あ、そうそう……言っておきたいことがあるんだったわ。


「その、条件が幾つか、あります」
「はい……? 条…件…ですか?」
「はい。条件は3つ。1つ目は『他の女とは仲良くしない』、2つ目『休みの日はデートすること』、そして3つ目は『何があっても私と別れない』…以上です。あ、因みに私が涼太さんと別れたいと思ったらその瞬間、恋人関係は解消です。この条件を呑んで貰えるのなら、涼太さんとお付き合いします」


ふふふ……こんな条件突きつけられて『分かりました』なーんて言える訳ないでしょ?
どうせ断るに決まってるわ。
そうすれば私は晴れてお役御免、ここでの生活は終了~。
これが私が出した結論よっ!!
さ~ぁ、イケメン童貞王子様……さぁ、どうするっ!?
どうするんだ、おいっ!! (ボンバイエっ! カンカンカン!!)

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