上 下
4 / 9

竜人族の儀式

しおりを挟む
「父上様、母上様。おはようございます」

「おはよう。マイン」

「おはよう、マイン。よく眠れましたか?」

「はい、母上様。今日の朝食は何ですか?」

「さぁ、ここにお座りなさい。今日はマインが好きな鳥を使った朝食ですよ」


朝から、鶏料理とは。胃に負担がきそうな朝食だ。
しかし毎朝こんなごはんを食べていても胃は平気なんだよな、何故だか。
僕は朝食を済ませて屋敷の外へ向かおうとした。
すると父上様が僕の肩に手を置いて話し始めた。

「マイン。今日はこれから私たちと大事な場所へ向かうのだ。さぁ、これに着替えて準備しなさい」

「は、はい。わかりました。着替えてきます」

父上様に渡された服をもって自室へ戻った。
はて、どこに行くのだろう。
今日は何か特別なイベントでもあるのか?
まぁ、考えても答えは出ない。
さっさと着替えよう。
着替えを済ませて玄関口へ向かった。父上様、母上様が正装で玄関口で待っていた。
なんだか仰々しいな、今日は。
僕は母上様の手を取り停車していた馬車へ乗り込んだ。

「では、向かうとしよう」

「マイン、緊張せずに、ね」

「はい。母上様。どこに向かうのです?」

「礼拝堂、ですよ」

礼拝堂。
街の中央にある、あれか。
一度も行った事がなかった場所だ。


暫く馬車に揺られ数十分で到着した。
母上様の手をぎゅっと掴み両親とともに建物の中へ向かう。
礼拝堂の中央に神官の恰好をした三人の大人の男たちが僕らを待ち構えていた。
三人の前につくと、両親は深く頭を下げた。僕も慌てて頭を下げた。

「今日、この時が無事迎えることができたことを感謝いたします」

中央にいる神官に父上様はそう言った。神官は一礼し話始めた。

「では、これよりキューブリック伯爵、ご子息マイン様の竜人族儀式を始めさせていただきます」

ん?
竜人族儀式?
なんだ、竜人族って。
僕の頭の中にある疑問符が消えないまま、儀式が淡々と始まる。
神官たちは聞いたことがない言葉を発しながら、杖をゆっくり振り始める。
両親は少し頭を下げ目を瞑った。
僕も二人の真似をした。
儀式の内容はわからなかったが、なんとなくそうしたほうがいい気がした。
体感で10分くらいだろうか。
儀式は無事終ったらしい。
神官がしゃがみ僕に話しかけた。

「新たな竜人族として、今日から改めて宜しくお願い致します、マイン様」

「え、あ、はい…。よろしくお願いします」

僕の受け答えがおどおどしていたせいで神官や両親がクスクスと笑い出した。
僕は恥ずかしくなって頬を真っ赤に染めていた。馬車で屋敷に戻ると二人が僕に大事な話があると言い出し、ソファに座るよう誘導された。

「マイン。これから話すことはとても大切なことなのだよ。すぐに理解することは出来ないかもしれないが、聞いてほしい」

「はい。父上様」

母上様は黙ったまま微笑んでいる。
父上様の話の内容というのが、こうだ。
まず、今いるこの国の名は『グラベリン王国』という。
ここに住まう国民は人族ではない。竜人族という種族なのだそうだ。

この世界には3つの種族『人族』、『亜人族』、『魔族』が存在している。
竜人族とは神族として別枠の存在なのだという。
主に人族からは神に最も近い存在として敬愛されているそうだ。
竜人族は人型と竜型に変身することができる。しかし僕は竜型に変身は出来ないらしい。
何故かというと、父上様は竜人族なのだが、母上様は人族。つまり僕は半人半竜という稀な存在だという。
それ事態特に問題ないらしいのだが、人族の血が濃い為変身能力がないことが分かっていた。
だが、竜人族の能力は継承されていて、3つの種族以上の能力はあるそうだ。
この世界で最強クラス、ということだ。
なんと、異世界最強になってしまった。

そして話の続きは、この家のことへ進む。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった

恋愛 / 完結 24h.ポイント:106pt お気に入り:830

まとめて愛せるよう善処します!!!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:156

異世界に落っこちたので、ひとまず露店をする事にした。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,563pt お気に入り:56

故国の仇が可哀想すぎて殺せない~愛は世界を救う。たぶん、~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:89

私が冒険者としてやっていくには

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:112

処理中です...