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21 覚悟

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王太子はそう言って私の顔を見つめた。
国王は何を言っているのか分からない様子だった。
お父様も私の事を見つめて来た。
此処は、学園での出来事を話さないと何を言っているのか辻褄が合わなくなってしまう。
私は意を決して話し出した。


「私たちの学園にはまだこのことを話していないのです。学園内にはマリア―ヌ様もお見えになられます。彼女には大変申し訳ないことをしていると思っているのです。しっかりとお話をした後に公表をしようと王太子様とお話させて頂いておりました」
「そのような事が……なるほど。だがしかしな」
「陛下。我が娘の言う事、誠に申し訳ありません。本来ならば喜ばしい事なのですが何分学園内の事に私共も理解している所ではないのです。どうか此処は二人に任せてみてはいかがでしょうか」


お父様はそう言って助け船を出してくれた。
私は黙ったまま話を訊いていると国王が口を開いた。


「それならば、その問題が解決するまでどれだけの時間が掛かるのだ?」


国王はそう言って王太子を見つめた。
ダリウス王太子は私の顔をちょっと見た後国王に顔を向けて話し出した。


「暫く時間が掛かると思われます。勿論遅くなるようなことはありません。ほんの数日間頂ければ問題は解決させて見せます」
「それなら、その問題とやらをや博解決するのだ。其方の事だけではないのだぞ。これは国にとっても国民にとっても大変重要な事なのだ。其方がマリア―ヌとの婚約を破棄することが無ければこんなことにはなっていないのだからな。それはしっかりと分かっているんだろう?」
「はい……申し訳ありません、陛下」
「ならばよい。それではこの話はそれが済ませてからということでよいな。侯爵よ」
「はい。申し訳ありません。陛下」


国王はそう言うと部屋から姿を消してしまった。
残った私とお父様、王太子はそれぞれ少し話をした後別れた。
屋敷に向かう馬車の中で私の事を気遣ってか、お父様は私に何も言う事はなかった。
私もお父様に何も言う事はない。


屋敷に戻ると私は部屋に向かった。
今日一日本当に疲れてしまった。
気疲れとあの話をどうしたらいいのか悩んでいたのだ。
私がソファで座っていると侍女のアリアがやって来た。
お風呂の準備が出来たという。
私は部屋着を手にして部屋を後にしてお風呂場に向かった。


「今日は色々あったのですね、お嬢様」
「ええ。本当に疲れたわ」
「湯に浸かって疲れを癒してください」
「有難う、アリア」


身体を隅々まで洗って貰いピカピカになった身体と長ったらしい髪の毛を洗って貰った。
そのまま湯に浸かって暫く目を瞑る。
明日からどうマリア―ヌ様に話をすればいいのか。
恐らく私の事を憎んでいるに違いない。
嫌がらせには耐えられるかもしれないけれどいつまでもそんな事では何の解決にもならない。


「明日は勝負の日になるわね」

私は口に出してそう呟いた。

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