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23 突然の告白

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マリア―ヌ様が王太子の事を断念してから数日の時が流れた。
私たちの障害が取り除かれたことを殿下に報告すると言っていたダリウス王太子。
その後、婚約者として国中に広まったのはその後のとだった。
リエットやクリシア達は驚いて私に色々訊いてきたが私は何も言わず笑って誤魔化した。
喜ばしい事だと言ってくれた二人だったが実はこれだけで話が終わることはなかったのだ。


ある日、私は一人で屋上で昼食を摂っていた時の事だった。
アドルフとカミーユが現れたのだ。
二人は私の婚約の事で話があると言い出した。
何だろう、こんなところで。
私はそう思いながら話を訊くことにした。


「王太子との婚約は本当なんだな」
「全く、驚いたよ。僕はてっきり嫌がっていたのだと思っていたからさ」
「アドルフ、カミーユ。仕方がないの。わたくしのお父様とお母様がお決めになったことなのだから。それに今はそんな思いは無くなったわ。色々有難う、二人とも」


私がそう言うとアドルフが口を開く。


「本当にそれでいいのか? 私にはそんな風に見えないんだが」
「どうしてそういうことを言うの?」
「見てたんだ。マリエットと王太子とマリア―ヌ達の話している所を。その時とても辛そうだったじゃないか。マリエット」
「そ、そんなことは……」


み、見られていた。
私は慌ててお弁当箱をしまってアドルフとカミーユから離れようとした。
あまり話をしたくはない。
二人とも何を感がているのか分からない。
もしかして私の事を? 
なんて自分勝手な想像をしてしまうから。


「わたくしもう行かないと」
「ちょっと待てってっ!!」


私が立ち去ろうとした時私の手を取って私を制止させた。
その手は力強く握られていた。


「何…? 痛いわ」
「あ、ごめん……。話を訊いてくれ。私は……マリエット、お前の事が好きなんだ」
「僕だって、マリエットの事が好きだよ」


え……? 
え……? 
えぇぇぇええ!! 
驚いてい二人を見つめる私。
この状況って凄い展開だわ。
二人とも何を言っているの? 
これって乙女ゲームみたいじゃない。

「何をバカなことを言っているの、二人とも」
「バカな事じゃない。私とこいつは本気なんだ。どうせ政略結婚なんだろ? それでいいのか? マリエット」
「そ、それは……」

選択肢が頭の中を過ぎった。
このまま二人を振り切るか、それとも二人の話を訊くのか。
でもどの選択肢を選んだとしても私のエンディングは可笑しな方向になっていくに違いない。
もう私には王太子との婚約を進めるしか道はないのだ。

「二人とも、私は王太子と婚約するの。そして結婚します。ごめんなさい」
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