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特別編

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お城から押し出された形になった私は一度屋敷に戻ることにした。
オロバス、サタナキアを連れて屋敷に戻るとすぐさまお父様の所へ向かった。
部屋の扉を開けるとベッドに横たわっているお父様が目を開けて仰向けになっていた。

「大丈夫ですか、お父様。いったい何があったのです!?」
「アレーレか……其方が来てくれたのだな……」
「はい……一大事だと思いまして。それより誰にやられたのですか?」
「分からぬ。屋敷の帰り道に襲われたのだ。相手は覆面を被っておって姿が確認できなかった」

そう言って辛そうな表情をするお父様にこれ以上問い詰めるようなことをするのは気が引けてしまった。
明日にでも回復した後でも聞けばいい、そう思いサタナキアをお父様の護衛として傍に犯せレ貰うことをお父様に許して貰った。


「いったいどうして……」
「アレーレ嬢。そのことですが、少しきな臭いことを耳にしました。どうやら父君の反勢力が独断で事態を起こした可能性があるとのことで、王族達も火消しに回っているとの事。今回の父君の大臣失脚も色々裏がありそうです」
「そう。私がいないと何でもありってことなのかしら」
「そうではないと思いますが……」
「オロバス。王族家についてはしっかりと見張っていて欲しいの。私はサターニャ様にこのことを報告します。貴方は一度城内部へと潜入して情報収集をお願い出来ないかしら?」
「御意」

オロバスがそう言うと魔法陣を展開しその中へ入って行った。
私は部屋に戻りマロンを呼んで今までの事を聞き出そうとした。

「マロン。最近のこの国では何が起きていたのか聞き出せた?」
「はい。サロンお姉様が言うにはアレーレ様が魔族との婚約発表がなされた後、しばらくターバリン様が偉く怒りを露わにしたそうです。その後、何とか新しい貴族との婚儀にこぎつけたそうなのですが、その後旦那様が突然大臣を外されたとの報告があったそうで、つい最近まで旦那様も知らないことだらけだったと偉く驚いていたご様子だったと」
「なるほどね」

どうやらこの国で今権力争いが勃発しているとのことがよく分かった。
私たちゴードン家とヨーク家が絡んでいるのだろう。
私がヨーク家のアンドレ―様との婚約を解消し、ターバリン様との婚約を解消したことで国の勢力バランスが崩れたんだわ。

それにどうして私なんて言う一人の若娘が絡むことになるとは…考えもしなかったことだわ。
それにこのままサターニャ様と婚儀を進めるとどうなってしまうのか。
一層お父様にもサターニャ国へ来てもらうことも考えなくては……。

色々な事を考えていいた私にサタナキアが突然現れた。
緊張した顔つきで私の顔を見つめながら口を開いた。

「父上様がお呼びです、お嬢様」

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