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推し活②

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真美はいわゆる専業主婦だ。
37歳。最近は似合う服や髪型が変わってきたなと感じている。バリバリ仕事をしたいタイプでもないので、今の生活に特別不満もなかった。

趣味はゲーム。
暇な時間はオンラインのパソコンゲームをしているが、知らない人と話をしながらするのは苦手なので、野良で静かにやっている。

夜はベッドの中でゲーム配信を見てる時間が幸せだ。
推しに出会ったのもそんな時だった。
顔出しで配信しているその人をたまたま見つけたとき、ひと目で好きになった。声も好きだった。

今までアイドルにはまったこともなかったし、アニメキャラも声優も推しはいなかった。沼ってたくさんお金を使う人をどこか冷めた気持ちで見ていたつもりだった。

推しが出来てからは、ほぼ毎晩見た。配信がない日はアーカイブで見た。色々、推しの情報が増えていく中で私よりもひと回り年下だということもわかった。



今夜も推しの配信を見てる。
チャットにはいつもの名前が並んでいる。
この人たちはどんな人たちなんだろう。
私と同じような主婦もいるかもしれない。
推しと同じくらいの年のOLや年下の学生もいるだろう。

いつも高額のスパチャをするこの子は何をしてる子なんだろう。でも、なんか雰囲気で明らかに自分よりも年下だとわかる。

主婦の私は無理だなぁ。高額のスパチャをバンバン贈るなんて。

たまに、200円のスパチャを贈るだけ。

それでも、初めてスパチャを贈ったあの夜のことは今でも忘れられない。

「マミ~さん、200円スパチャありがとうございます」

推しが読んでくれた!

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