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推し活③

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数日前の昼間だった。
スーパーに向かうため自転車を漕いでいるとき、ふと思った。ファンがいるってどんな感じなんだろう。
今まで平凡に生きてきた真美には想像がつかなかった。
私の推しはどんな気持ちなのか、知りたいな。
そんなことを考えていたら、スーパーに着いてしまった。

スーパーではお買得品の牛肉を買った。値引きシールが付いているじゃがいもも買った。にんじんと玉ねぎは家にある。今日の夕飯は肉じゃがを作るつもりだ。

高額スパチャをバンバン贈る人は、銀座でディナーとかするのかな。私は一度もないや。夜ご飯を銀座で食べたこと。
別に僻んでるわけではない。ただ、世界が違うなと思うだけ。そっちの世界に行きたいとも思っていない。私はこの平凡な世界が好きなのだ。

スーパーから家に帰ったら、まだ1時半だった。
夕飯を作り始めるのも早いし、雨も降らなそうだから洗濯物もまだ取り込まなくていい。空き時間だ。ゲームしよ。

始めてすぐにわかった。今日のゲーム仲間はいい感じだ。いつも野良でやっている私にとって、一緒のチームになる仲間は運だ。すごいな、強いな。やり込んでる人たちだ。

ゲームを始める前に肉じゃがを作って、味を染みさせたほうがよかったかな、なんてことをふと思ったことをすぐに忘れてしまうぐらい、いい感じのチームに入れて、楽しかった。そして、勝った!2連勝!気持ちいい!
これだからやめられないんだよね。
ハズレだなって思う日も多いけど、たまに来る、今日みたいな当たりチームに入れる日があるからたまらなく楽しいんだよね。今日はいい日だ。平凡な1日がいっぺんにいい日になった。
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