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中2のバレンタイン

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【彼女】

私、冬深 エレナ。中学2年生。

今日は彼氏と2回目のバレンタイン♡

学校が終わるとすぐ、私は彼と一緒に帰るの。

え?吹奏楽部?そんなのもうやめた。
私にとっては彼が一番!
彼以外いらないの。

『エレナ、帰ろうぜ。』

私を呼んだ彼の元に、私は走る。
そして、去年は渡せなかったチョコを渡した。

去年は隣のクラスに邪魔なストーカー女がいたけど、その女は行方不明♪ざまあみろ!



私はこれからもずっと、君の彼女だよ♡


ーーー


【彼氏】

彼女のエレナは相変わらず俺の癒しだ。
そして、今となっては一番大切な人。

去年貰ったチョコは正直不味かったけど、
今年のは最高に美味い!
小学校の時、毎年俺が楽しみにしていた味だ。

エレナ、お菓子作り上手くなったなぁ…




















…なんてな。
俺、ちゃんと気づいてるよ。

お前はエレナじゃないって。
お前は…











小1の時からずっと俺をストーカーしてた…

いや、

俺『が』ストーカーしてた転校生の女の子。

ーーーーー

始めてお前がチョコをくれた小1のバレンタイン。
『このチョコ名前書いてない』とか言ってとぼけてたけど、本当は知ってたよ。
お前がくれたチョコだってことは。

だって俺、お前が転校してきた日からずっとお前のこと見てたし。

誰もいない教室でお前のリコーダーと俺のリコーダーすり替えたし、他の男がお前を狙わないようにあえてお前の悪い噂も流した。高学年の時、お前の水着が盗まれたの、あれ、いじめ女じゃなくて俺がやった事だし。

これだけお前のことストーカーしてた俺が、お前が俺をストーカーしてること気付いてないと思った?

ーーーーー

全く。お互いをストーカーするなんて、俺たちは出会った時から愛し合っていたんだな。本当に嬉しいよ。

中1の時、エレナと付き合ってたのは、嫉妬したお前がどうなるのかちょっと見てみたかったんだ。
ごめんな。

でも、お前の愛は俺の予想以上で、すごく嬉しかったよ。
まさか、エレナを調べて自らが整形して『エレナになる』とはな。
負けたよ。お前には敵わない。

お前の可愛かった顔がエレナの顔になったのは残念だけど、それは俺の自業自得。
俺は顔なんてどうでもいい。『中身』がお前なら。

「エレナ、これからもずっと俺の彼女でいてくれよ。」

「当たり前でしょ?君もずっと、『私』の彼氏でいてね。……もう離さないよ。」

顔と名前が変わっても、お前はお前。

俺がストーカーしたり焦らしたりした可愛い愛しい女の子。

来年のバレンタインも…
9個目の美味しいチョコ宜しくな!




end
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