私のための小説

桜月猫

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102話

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 庵は頑張って特製ミックスジュースを飲み干すと、すぐに口直しのジュースを今度は自分で取りにいった。

「あ~。ヒドい目にあったぜ」

 席に座ってコーラを一気飲みしてゲップをすると、公と両を睨み付けた。

「きたねーな」

 公が呆れながら庵を見た。

「お前達が変なジュースを持ってきたからだろが」
「それは、公に迷惑かけたり、めんどくさがって動こうとしないお前が悪い」
「ぶー」

 テーブルに顎を乗せて頬を膨らませる庵。

「ジュースを取ってこようか?」

 庵に微笑みかけながら両が提案した。

「自分で行くわ!」

 庵はコップを持ってさっさとドリンクを取りにいった。
 その後ろ姿を見てから顔をあわせた3人は苦笑した。
 庵がジンジャエールを持って帰ってきたタイミングで料理が運ばれてきた。

「さぁ食うぞ~」
「はいはい」

 微笑みながら両はナイフとフォークをみんなに順番に差し出していった。

「ありがとう」
「どういたしまして」
「うめー!」
「もう少し静かにしろ」

 うるさい庵の脇を蛙が肘で軽く突いた。
 公がおろしハンバーグを食べていると、視線を感じたので隣の両を見た。
 両はおろしハンバーグを見つめていた。

「両?」

 公の声でハッとした両は「あはは」と笑いながらチキンステーキを食べた。

「もしかして食べてみたいのか?」
「美味しそうだなって思ってな」
「なら食べてみるか?」
「いっただっきまーす」

 庵がフォークを伸ばしてきたので、公は庵の手首を掴んで止めると、蛙が庵の額を平手で叩いた。

「おう~」

 軽く顔をのけ反らせた庵は額をおさえた。

「お前に言ったんじゃねーよ」
「いいじゃねーか」
「いいわけあるか。ってか、フォークでハンバーグを突き刺して全部持っていく気だっただろ?」

 公がジトーと庵を見つめていると、庵が「テヘッ」と可愛らしくごまかそうとしてきたので、蛙が頭を少し強めに叩いた。

「気持ち悪いだけだぞ」

 ホントね。

「うるせー」

 自分からやっといて軽く逆ギレしてきた庵。

「それじゃあ少し貰っていいか?」
「いいぞ」

 公の了承を得た両はナイフで切り分けようとしたのだけど、

「俺の食べかけているほうじゃなくて、こっちのまだ食べてないほうから取ればいいぞ」
「いや、こっちからで大丈夫だ」

 両は食べかけのほうを一口分切り取って食べた。

「うん。美味いな」
「やっぱり俺も」

 再度フォークを伸ばした庵だが、

「ダメだ」

 また公に止められた庵。

「なんでだよ。ちゃんとナイフで切り分けるからいいだろ」
「どうせ半分以上持っていこうと思ってるだろ」
「そんなことねーよ」

 力で押し込もうとする庵と押し返そうとする公。
 2人が攻防をしていると、両は切り分けたチキンステーキを公に差し出した。

「公。お返しのあーん」
「あーん」

 差し出されたチキンステーキを流れで頬張った公。

「美味しいか?」
「あぁ。あれ?」

 何かおかしいと思った公だが、庵が力を強めてきたのですぐに押し返すことに集中した。

「食わせてくれよ~」
「諦めろよ~」

 攻防が熱くなると、2人は睨みあった。

「なぁ、庵。チキンもらうぞ」
「俺はソーセージだな」
「やらねーぞ」

 庵は公との攻防を止めると自分の料理を守った。

「いいじゃねーか」
「いいだろ?」
「いいわけあるかー」

 蛙と両が庵の注意をひいてくれているうちに公はおろしハンバーグを食べ終えた。

「あ~」

 公が食べ終わったのを見て庵はガックリしていた。

「早く食えよ」

 メロンソーダを飲んだ公は庵に食べるよう促した。
 どこか納得いかない表情の庵だが、蛙と両もほとんど食べ終わっているのでしぶしぶ食べ始めた。
 そして、全員が食事を終えてドリンクを飲んで一息吐いた。

「それで、このあとはどうするんだ?」

 公の問いかけにメロンソーダを飲み干した庵はゲップの返事を返した。

「さぁ、帰るか」
「そうだな」
「かいさ~ん」
「ちょっと待った!冗談だから!ジョークだから!とりあえずもう1回座ろうぜ!」

 立ち上がった3人を慌てて引き留める庵。
 仕方ないとため息を吐いた3人は席に座り直すと庵の前にコップを置いた。

「俺コーヒーな」
「俺ウーロン茶」
「カフェオレお願い」
「なっ」

 文句を言いたかった庵だが、再度立ち上がろうとする3人を見てすぐにコップを持ってドリンクを取りにいった。

「お待たせしました」

 3人の前にそれぞれのコップを置いた。

「ありがとう。で、次はどこにいくんだ?」
「カラオケ。カラオケ行こうぜ」
「そうだな」
「いいんじゃねーか」
「行くか」

 3人も頷いたので、会計を済ませて公達カラオケに移動した。

「いらっしゃいませ。4名さまでしょうか?」
「はい」
「何時間ご利用でしょうか?」
「何時間にする?」

 庵が振り返りながら問いかけると、公と蛙は指を3本、両は指を4本立てた。
 それを確認した庵は店員のほうへ振り返った。

「じゃあ30時間で!」
『………………』

 数秒の沈黙。

「ツッコめよ!」
『はぁ~』

 大きなため息とともに3人は哀れんだ目で庵を見ていた。

「そんなかわいそうな人を見る目で見るなー!」

 しかし、3人の庵を見る目は変わらなかった。

「ってか、店員さんも否定するなりしてください!」
「可能ですよ」
『マジで!?』

 4人が驚きの表情で店員を見た。

「えぇ」

 営業スマイルで頷く店員。

「ですが、その場合だとオールタイムフリープランをご利用になられたほうがお得ですよ?」
「いえ!冗談です!3時間でお願いします!」

 たんたんと話を進めていく店員に、庵は慌てて冗談を訂正した。

「かしこまりました。当店はワンドリンク制なので、ワンドリンクご注文いただくか、ドリンクバーをご注文いただく必要があるのですが、どうしますか?」
「ドリンクバーでいいよな?」
『あぁ』
「では、こちらがドリンクバーのコップで、お部屋は301号室になります。ごゆっくりお楽しみください」

 コップとかごを受け取り、それぞれドリンクを取った4人は301号室に入っていった。
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