私のための小説

桜月猫

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105話

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「う~~~」

 真っ赤な顔で公を睨み付ける白。

「まぁ、高校生なんだし、エッチなことを知っててもおかしくないんだし、そんなに恥ずかしがることないと思うぞ」

 それでも白は睨み付けることをやめなかった。

「そんなに恥ずかしいことか?」
「面と向かって『エッチなんだな』とか言われたら恥ずかしいに決まってるでしょ!」

 白の答えに、公はまだ全裸のままの薫のほうを見た。

「エッチだな」
「襲ってもいいよ」
「だそうだ」

 公が白のほうを見ると、白は額に手をあてていた。

「公。あの変態を普通と考えたらダメだよ」

 変態と言われた薫はなぜか誇らしげに胸を張っていた。

「薫!変態と言われて誇らしげに胸を張らない!」

 胸を張って怒られた薫は前屈みになると両腕で胸を寄せて強調した。

「ナイス変態」

 公がサムズアップすると、薫は妖艶な笑みを返した。

「でしょ」
「でしょ、じゃない!そもそも、ここには夢ちゃんも舞ちゃんもいるのよ!そこでこんなことをするなんてダメでしょ!」

 白の言うことはもっともなのだけど、公も薫も気にした様子はない。

「なぁ白」
「なに?」
「そもそも、イヤなら2人が『やめて』とか言うはずだろ。でも、それを言わないってことは、2人とも気にしてないってことだろ」

 公の言葉に驚きの表情で白は夢と舞を見た。

「2人はそれでいいの?」
「先ほどお義兄さまがおっしゃっていた通り、イヤでしたらやめてといいますわ」
「そうだね。それに、これぐらいなら日常茶飯事だから慣れたね」

 笑顔の2人に白はまたしても額に手をあてた。

「これが日常茶飯事ってダメでしょ」
「ダメなんだって」
「ダメでもやる!」
「やる!じゃないです!」

 また胸を張り直した薫へ怒りながら迫った白。

「まぁ、薫ならやるな」
「やりますね」
「やるね~」

 白に怒られている薫を見ながらしみじみと呟いた3人。
 怒られても全く響いていない薫の姿に白は諦めたように大きくため息を吐いた。

「この家には常識はないの!?」
「これがこの家の常識かな」
「こんな常識イヤだー!!!」

 本日2度目の白の叫び声が家に響き渡る中、部屋の扉が開いき、萌衣が入ってきた。

「ダイニングで朝食の準備が出来ています」
「ありがとう、萌衣さん。さて、白をからかうのもやめて朝食にするか」

 公の「からかう」という言葉を聞いた瞬間、白はぐるりと振り返った。

「からかってたの!?」
「当たり前だろ。まぁ、薫がこういうことをしてくるのが日常茶飯事ってのは本当だけどな」
「だったらどこからがからかいだったの!?」
「どこからと聞かれると、そこら辺の境界が曖昧だから困るな」
「困らないでよ!全部がからかいだって言ってよ!」

 涙目で泣きついてくる白に、公は頭を掻いた。

「さっきも言ったけど、薫がこういうことをしてくるのは日常茶飯事だし、薫が変態なのは事実だから全部がからかってたってわけじゃないんだよな」
「少し訂正すると、私が変態になるのは公に対してだけ」

 白にとってはなんの意味ももたない訂正に公は苦笑した。

「とりあえず、薫はさっさと服を着てこい。夢・舞・白の3人は着替えるから先にダイニングに行っててくれ。萌衣さん。着替え終わったらすぐにダイニングに行くから」
「わかった」
「わかりましたわ」
「はーい」
「しくしく」
「かしこまりました」

 みんなが出ていったのでパジャマから私服に着替えた公が部屋を出ると、服を着た薫も部屋から出てきたので、2人は一緒にダイニングにやって来た。

「しくしく」

 白はまだ軽く泣いていたので、公はその頭を撫でた。

「謝るから泣き止んでくれるか?」
「ううっ。あんなからかい方はヒドいです」
「すまんかった」
「ごめんね」

 薫も謝りながら頭を撫でると、落ち着いた白は2人を睨み付けた。

「エッチなのはいけないと思います!」

 その言葉に公と薫は顔を見合わせると苦笑した。

「なんで笑うのですか!」
「ごめんごめん。でも、あれは公を落とすために必要な行動だから許して」
「必要な行動って、効果はあるのですか?」
『ないね~(ですわね)』

 夢と舞の即答の否定に薫は少し落ち込んだ。

「そうなの?」
「えぇ。いつもお義兄さまに軽くあしらわれていますわ」
「あれでお兄ちゃんが落ちるなら、みんな落とせてるからね」

 とぼとぼと席についた薫。なので公も席についた。

「とりあえず、朝食を食べようか」

 公の言葉にみんなが手を合わせた。

『いただきます(わ)』

 朝食を食べながら白は気になったことを問いかけた。

「普段の公と薫のやりとりってどんな感じなの?」
「まず薫姉さまが裸か下着姿でお義兄さまを誘惑しようとします」
「その姿を見てお兄ちゃんが呆れるか苦笑するね」
「それでもめげずに薫姉さまはお義兄さまに『襲ってもいいよ』とか言葉をかけます」
「すると、お兄ちゃんから『襲わねーよ』とか『服を着ろ』と怒られて退散するっていうのが普段の流れかな」

 2人の説明を聞いた白は薫を見た。

「効果がないならやる意味ないじゃないですか」
「いずれ成果が現れるはず」
「それはねーかな」

 即答の否定に薫はさらに落ち込みながら朝食を食べ続けた。

「そうですね。日常茶飯事っていうぐらい何度も迫れば慣れて裸や下着で迫る効果は無くなるでしょうからね」

 白の言葉を聞いた薫はハッと顔を上げた。

「そうか!マンネリ化してたから公の反応が悪かったのか!」
「いや、それ以前からこんな感じの反応だったぞ」
「そんなはずない。こんないいプロポーションの体を見て興奮しないのは異常」
「自分でいいプロポーションとか言っちゃうのですね」

 白が呆れていたが、薫は気にしていない。

「ならば、少し期間をあけてマンネリ化しないように不意討ちで仕掛けていけば、公も襲ってくれるかも」
「それを本人の前で話している時点で意味ないと思うぞ」
「あっ」

 ハッとする薫。

「それに、例えそうしたとしてもお義兄さまを落とせるとは思いませんわね」
「がはっ」

 夢の追い討ちに、薫ら胸を押さえつけるのだった。
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