私のための小説

桜月猫

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17話

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 昼食を終えると、生徒達は広場に集まった。生徒達の前に立ったのはまたしても学年主任。

 毎回学年主任が立つのもなんだな~。

"なんでそこに疑問をもった?"

 というわけでご老人にチェンジで。

"いや!するなよ!"

 残念。すでに完了してしまったのだよ。

 学年主任の代わりに生徒達の前に立ったご老人。

「え~。今からお主達には遊戯をしてもらう。まずくじを引いて出た2班を1組としてともに行動してもらう。目指す場所はこの地図に書いてあるから地図通りに進むといい」

 ご老人は1枚の地図を掲げた。

「この地図に書かれている地点に着くと様々な試練があり、その試練を乗り越えると点数がもらえる。すべての試練を乗り越え、ここに戻ってきた時の点数で順位を競うという遊戯だ。理解したかの?」

 ご老人の言うことを理解した生徒達ははしゃぎ始めていた。

"楽しそうではあるけど、やっぱり学年主任が説明してもよかっただろ"

 ずっと学年主任が説明するっていうのもマンネリ化してつまらなくなるからね。

"だからといって、いきなりご老人に代えるのはあり得ないだろ。ってか、ふと思ったんだが、あのご老人は誰なんだ?"

 全く関係のないそこら辺にいるご老人だけど?

"関係のないご老人連れてきたらダメじゃねーか!"

 なんて公が思っている間にもご老人はくじを引いて班の発表を続けていた。

 いいんだよ。俺がそう決めたんだから。

"こんな作者に巻き込まれるなんてあのご老人も災難だな~"

「3組1班と5組5班」

 ご老人に同情しながらも、呼ばれた公は蛍達と前に出た。そこに5組の5班がやって来たのだが、うち2人は雪と彩だった。

「これが地図だ。では行ってくるがよい」

 地図を雪が受けとると、とりあえず歩き出した。

「やぁ、公、蛍」
「よう、雪」
「まさかこうして同じ組になるなんて、スゴい偶然だね、雪」

 蛍の言葉に疑問を持った公。

「作者。ホントに偶然か?」

 いえいえ。必然ですよ。別の登場人物を出すと名前を考えないといけないからね。

「やっぱり手抜きか」
「私としては知らない相手と組むよりかはマシだと思うけど、どうだろうか?」
「それは否定しねーな」

 公から肯定が帰ってきたので雪は笑顔で頷いた。

「しかし、知らない相手もいることだし、やっぱりまずは自己紹介からだろうな。私は雪だ。よろしく」
「彩です。よろしくお願いします」

 あと男子3人はA・B・Cだから。

「また手抜きかよ!」

 ほら。俺にツッコんでないで自己紹介したら?

「俺は公だ。よろしく」
「蛍です。よろしく」
「牡丹だよ。よろしくね」
「ゆ、由椰です。よ、よろしくお願いします」
「我の名前は中二。偉大なるわ」

 いらないことを言う前にアイアンクローで中二の言葉を遮った公。

「ただのバカだから気にしないでくれ」
「わかったよ」

 苦笑しながらもあっさり受け入れる雪。彩も頷いていた。

 自己紹介を終えるころには最初の目的地に着いていて、先生が待っていた。

「まず、クラスと班を教えてくれるかな?」
「3組の1班です」
「5組の5班です」
「はい。ここでは私が出すフリップに書かれている言葉に関連する物事や言葉を答えてもらうわよ。全5問で、1問につき1回ヒントを聞くことができるけど、ヒントを聞くと点数が減るのでよーく考えてから聞いてね。というわけで第1問」

 先生が出したフリップには「ぶたに」と書かれていた。

『真珠』

 全員の声がハモった。

「正解。じゃあ第2問」

 フリップには「くろ」と書いてあった。

「これって色の黒でいいと思うのだけど」
「だと俺も思う」
「その意見に賛成ー!」

 他のみんなも頷いていたので代表して雪が答えた。

「白」
「正解。じゃあ第3問」

 フリップに書かれている文字は「きしょう」。

「ひらがなで書かれているってのはめんどくさいね」

 グチるように言った蛍の言葉に公は頷いた。

「いくつか『きしょう』と読める漢字があるからな」
「でも、難しくなっていることを考えれば、起きるって意味の起床は外れると思う」
「そうなってくるとどの『きしょう』になるかが問題ってことだよね~」

 悩みに悩んだ公達。だが答えは思い浮かばない。

「あ、あの~。ヒントを聞いたほうがいいと思います」

 由椰の提案に頷き、公達はヒントを聞くことにした。

「ヒントをください」
「ヒントは小説です」

 ヒントを聞いた公達は1度集まって答えを確かめあい、一致したことを確認して答える。

『転結』
「正解」

 つまり、「きしょう」は起承転結の起承。小説を書くうえではとっても大切なものだ。

「そして作者には1番不足しているものだな」

 考えるだけめんどくさいからな~。というわけで次いってみよ~。

「第4問はこれです」

 フリップには「あ」としか書かれていなかった。

「ヒントくださーい」

 すぐに牡丹がヒントを求めたが、誰も止めることはしなかった。それだけ4問目は難題だった。

「ヒントは息です」

 ヒントを聞いてもピンとこない公達。

「どういう意味なんだろう?」
「息か~」

 首を傾げる蛍の横で牡丹はハーと息を吐き出してみた。それでもわからずに牡丹も首を傾げる。

「ヒントをそのまま『息』と考えないほうがいいのかもしれないね」

 その言葉に公達の注目は雪に集まった。

「というと?」

 代表して公が問いかけると雪は言った。

「たとえば、『呼吸』と置き換えたら?」

 雪のその一言で公・蛍・彩・牡丹・由椰はひらめいた。

「確かに。それなら一文字の意味もわかるな」
「かなりヒントもイジワルですね」

 公達の視線を受けた先生はニヤリと笑った。

「答えは?」
「阿吽の呼吸の『うん』です」
「正解。それじゃあ最後はこれよ」

 最後のフリップに書かれていた文字は「猿」。今までひらがなできていたのにいきなり漢字に変わったことに公達が戸惑っていると、静かだった中二が口を開いた。

「『反省』」

 そう言いながら公の肩に手を乗せて頭を少し下げた。
 公達からすれば「なにしてるんだ、こいつ」と思っていたのだが、先生の表情は驚きでいっぱいだった。

「えっ?正解なんですか?」
「えぇ。猿軍団の有名な芸を答えさせるお遊びのようの無理難題だったのよ」

 バカだからこそわかったと。

「ってか、猿軍団の有名な芸が『反省』だって知っている若者は今ほとんどいねーだろ!」

 ハッ!作者の年齢がバレる危機!

「いや、そこには別に興味ない」

 それはそれでなんか悲しい………。

「全問終わったので次のポイントを目指して下さいね」

 公達は地図を見て次のポイントへ歩き出した。

「しかし、まさか中二のバカげた答えが正解とはな」
「驚いたよね」
「ふっ。我にかかればこれくらいぞうさもない」

 多少中二病的な発言だが、今回は大目にみた公。

「これからも我を頼るがいい!」
「それはないな」

 バッサリ否定されたことに中二は驚いていた。

「なぜだ!我の助力があればか!」

 これ以上の中二病発言はウザったいので、公はアイアンクローで中二の言葉を切った。

「はいはい。静かにね」
「イタイぞ!」
「はいはい」

 公は中二の抗議をムシして次のポイントへやって来て、クラスと班を先生に告げた。

「ここではリンゴの皮むきをしてもらい、その皮の長さでポイントが変わるからな。チャンスは1回。1度でも皮が切れたら終了。いかに切らずに長く皮むきをするかがポイントだな。さぁ、誰が挑戦する?」

 説明を聞いた時点で料理できない人間、つまり中二は公の選択肢の中から外された。

「雪。そっちで料理ができるのは?」
「私と彩よ」

 というわけで、料理できる6人だけの話し合いが始まった。その中で1番に声を出したのは由椰だった。

「わ、私は緊張しやすいのでムリです」
「私も細かいことをちびちびとやるのは苦手~」

 由椰に続いて牡丹もバツをだしたので残り4人。

「僕は雪か彩のほうが僕や公より皮むきをうまくしそうだと思うんだけど、どうかな?」

 蛍の言葉に雪と彩が顔を見合わせた。

「彩、お願いできる?」
「わかりました。やってみます」

 チャレンジャーに決まった彩はリンゴと果物ナイフを手にして皮むきを開始。徐々に長く剥かれていく皮に公達は静かに驚いていた。
 彩は途中で皮を途切れさせることなく最後までむききった。

「お見事」
「スゴいよ~!」

 公が称賛の言葉を送り、牡丹は彩に抱きついた。

「ありがとうございます」

 彩は照れながら微笑んだ。

「文句なしの満点だな。リンゴはみんなで食べたら次のポイントへ向かってくれ」

 彩がリンゴを10個に切り分けたので、みんなで食べて次のポイントへ向かった。

「やっぱり彩に頼んで正解だったね。私だったらあそこまで長くはできないよ」
「僕もムリだね」
「慣れればできるようになりますよ」
「慣れれない私は?」

 うるうるした目で牡丹に見つめられた彩は苦笑した。

「ドンマイです」
「うがぁ~」

 笑顔で襲いかかる牡丹に笑顔で「キャー」と言う彩。そんなことをしながらポイントを回っていった公達は最後ポイントにやって来た。

「ここではこの大樹の幹周を測ってもらう」

 そう言いながら先生が触ったのは樹齢100年以上はありそうな立派な大樹。

「事前に測った数値との違いで点数が決まるからな。測定方法は自由だが、大樹を傷つけることはするなよ」

 早速公達はどうやって測定するか考える。

「やっぱり両手を広げて測るのが1番じゃねーか?」

 両手を開いた長さが身長と一緒と言われていることから公は提案した。

「道具がない以上、それが確実でしょうね」

 彩が同意し、みんなも頷く。

「となると、誰がやるかだよね」
「俺がやるよ。ちょうど180センチだし、計算しやすいだろ」
「それじゃあ測ろうか」

 スタート地点がわかるようにAくんに場所を指差してもらっておいて、公達は大樹の周りを両手を広げて測りだした。

「大体8回か」

 2回測るとどちらも8回だった。

「つまり1440センチだね」

 蛍が素早く暗算して答えを出した。

【今日はこの大樹によく人がくるわね】

 唐突に聞こえた声に公が上を向くと、1羽の小鳥がこちらを見下ろしていた。公が上を見ているので、蛍達も上を見上げて小鳥を見つけた。

「あっ!可愛い小鳥だ~!」
「多分シジュウカラだと思います」
【うわっ。見つかっちゃったわ】

 やっぱり小鳥の方から聞こえてくる声。

"作者。どういうことだ?"

 ちょっと待ってね。

 私は公の称号を確認したが、そこには『動物と話した者』という称号がついたいた。

 公。最近動物と話す機会なんてあったの?

"動物と話すなんて普通できな………。あっ!"

 公が思い出したのは夢の夢の中で喋ったネコのこと。

 あ~。それだね。それで『動物と話した者』って称号がついたから話せるようになったんだね。

"イヤイヤ!あれは夢の中だから喋れただけで、それがなんで現実に反映されるんだよ!"

 そこは知らないし、称号を外す気はないからね~。

"おい!作者!"

 私からの返事がないので、公はため息を吐いてシジュウカラを見上げた。

【あなた、やっぱり私の言葉がわかっているのね】

 シジュウカラは大樹から下りてきて公の肩にとまった。

「あぁ」

 シジュウカラにしか聞こえない小さな声で返事をする公。

【ならちょうどいいわ。向こうに人が倒れているからついてきてもらえるかしら?】
「なに!?」

 シジュウカラの予想外の言葉に公は大声を出してしまい、蛍達を驚かせていた。

「どうかした?」
「とりあえず、答えは1440センチでいいか?」

 焦って聞いてくる公を不思議に思いながらも、みんなは頷いた。なので、公はすぐにその答えを先生に伝えてシジュウカラのあとを追って走り出した。

「みんなは先に帰ってて!」

 突然走り出した公にポカンとする蛍達とは違い、雪と牡丹は公を追って走り出した。

「私も行くわ」
「私も~!」

 2人に戻るように言っても聞かないと思った公は何も言わずに先を飛ぶシジュウカラを追った。
 そうして走ること約1分。シジュウカラがとまった木の下にはメイドが倒れていた。
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