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二人の話し合いはお兄さんを抜きに決着しようとしていた。
わたしだけはお兄さんを気にしていたけど、おばさんたちはいつもの事と、気にしていないようだった。
「パルちゃん。大変になるだろうけど、値下げはしないことにするよ。何かサービスを増やすことにするよ」
「そうですね。後々の事を考えると値下げして良いことは無いと思います」
わたしはおじさんの意見に同意する。やっと今後の方向性が決まって、わたしはホッとした。
これでどう動いていくかを相談できる。しかし、今日はここまでだ。おじさんたちは宿屋をオープンさせなければならい。
どんなにお客様が少ないといっても、ゼロということは無いのだから。
「とりあえず今日はここまでにしましょう。もう宿屋を開ける時間ですので、仕事を始めないといけないでしょうから」
「あら、もうそんな時間なのね。用意もあるし、今日はここまでかしら」
「はい、その方が良いと思います。わたしも一度帰ってどんな方法が良いのか考えてみます」
「わかったわ。おばさんも考えてみる。パルちゃんは明日、来れるの?」
「大丈夫です。明日もお邪魔させてください」
「よかったよ。明日も頼むね」
おじさんも明日の話し合いで同意してくれたので、今日は終了だ。
わたしは辞去の挨拶をして帰ることにした。
お兄さんの事が気になったわたしは、明日リサに話を聞くことにした。
家族が一致団結しないとこの局面は乗り切れない気がするからだ。お兄さんにもやる気を出してほしいと思っている。そのためにはお兄さんの気が乗らない理由を把握しておくことは大事なことなはずだ。
明日の予定を頭の中で組み立てつつ家路についた。
わたしは家に帰ってからもソワソワしていた。初めての仕事が順調に進み始めたことが嬉しかったのと、明日の話し合いが今後の局面を大きく方向転換させることを感じていたからだ。
明日は下手なことはできないな。する気もないけど、慎重にいこう。学校ではリサに話を聞かないと。
考えることも行動しなければならない事もあるが、取り合えず寝ることにした。
いい加減なようだが寝不足では考えも纏まらないし、いいパフォーマンスは出来ないからだ。
わたしは以前、寝不足でとんでもない、思い出したくもない失敗をしたことがある。それからは大事なことがある日の前の日は早く寝るようにしているのだ。睡眠不足は頭にもお肌に体の成長にとって何も良いことは無いのだ。
明日に思いを馳せつつ早めに就寝した。
「おはよう、リサ。聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
わたしは早くに登校してリサを待ち構えていた。お兄さんの事を聞きたかったからだ。家族の中の問題に立ち入るようで申し訳ないが、確認だけはしておきたかった。リサは昨日同じようにとどんよりとしていた。わたしはその様子に引いてしまった。
話そのものは進んでいるはずなのに、おじさんから何かを聞いて心配しているのかもしれない。
そのことも含めて話をする必要がありそうだ。
「リサ。えーと、おじさんから何か話があった?」
わたしはリサを廊下に誘い話を聞きだす。教室の中では人の目もあるし話しにくいだろうと判断したからだ。リサはわたしの話し出しに眦がキッと上がった。
「パル、お父さんたちに何を言ったのよ?昨夜は大変だったのよ」
「声が大きい」
リサの声が響いていたのでそのことを注意しつつ言われて事を思い返す。
何を言ったのよ?
今後の経営方針の話をしただけだけど。変な話はしていないはずだ。
リサに言われたので昨日の振り返りをしながら確認する。
「変な話はしてないよ?昨日は大変だったって何が、あったの?」
わたしの不思議そうな様子にリサは不服なのか目は吊り上がったままだ。そうとう怒っているらしい。
リサのそんな態度は予想していなかったのでわたしも困惑する。
昨夜は何があったんだろう?不思議で仕方のないわたしはもう一度リサに話しかけていた。
「リサ、昨夜は何があったの?」
わたしだけはお兄さんを気にしていたけど、おばさんたちはいつもの事と、気にしていないようだった。
「パルちゃん。大変になるだろうけど、値下げはしないことにするよ。何かサービスを増やすことにするよ」
「そうですね。後々の事を考えると値下げして良いことは無いと思います」
わたしはおじさんの意見に同意する。やっと今後の方向性が決まって、わたしはホッとした。
これでどう動いていくかを相談できる。しかし、今日はここまでだ。おじさんたちは宿屋をオープンさせなければならい。
どんなにお客様が少ないといっても、ゼロということは無いのだから。
「とりあえず今日はここまでにしましょう。もう宿屋を開ける時間ですので、仕事を始めないといけないでしょうから」
「あら、もうそんな時間なのね。用意もあるし、今日はここまでかしら」
「はい、その方が良いと思います。わたしも一度帰ってどんな方法が良いのか考えてみます」
「わかったわ。おばさんも考えてみる。パルちゃんは明日、来れるの?」
「大丈夫です。明日もお邪魔させてください」
「よかったよ。明日も頼むね」
おじさんも明日の話し合いで同意してくれたので、今日は終了だ。
わたしは辞去の挨拶をして帰ることにした。
お兄さんの事が気になったわたしは、明日リサに話を聞くことにした。
家族が一致団結しないとこの局面は乗り切れない気がするからだ。お兄さんにもやる気を出してほしいと思っている。そのためにはお兄さんの気が乗らない理由を把握しておくことは大事なことなはずだ。
明日の予定を頭の中で組み立てつつ家路についた。
わたしは家に帰ってからもソワソワしていた。初めての仕事が順調に進み始めたことが嬉しかったのと、明日の話し合いが今後の局面を大きく方向転換させることを感じていたからだ。
明日は下手なことはできないな。する気もないけど、慎重にいこう。学校ではリサに話を聞かないと。
考えることも行動しなければならない事もあるが、取り合えず寝ることにした。
いい加減なようだが寝不足では考えも纏まらないし、いいパフォーマンスは出来ないからだ。
わたしは以前、寝不足でとんでもない、思い出したくもない失敗をしたことがある。それからは大事なことがある日の前の日は早く寝るようにしているのだ。睡眠不足は頭にもお肌に体の成長にとって何も良いことは無いのだ。
明日に思いを馳せつつ早めに就寝した。
「おはよう、リサ。聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
わたしは早くに登校してリサを待ち構えていた。お兄さんの事を聞きたかったからだ。家族の中の問題に立ち入るようで申し訳ないが、確認だけはしておきたかった。リサは昨日同じようにとどんよりとしていた。わたしはその様子に引いてしまった。
話そのものは進んでいるはずなのに、おじさんから何かを聞いて心配しているのかもしれない。
そのことも含めて話をする必要がありそうだ。
「リサ。えーと、おじさんから何か話があった?」
わたしはリサを廊下に誘い話を聞きだす。教室の中では人の目もあるし話しにくいだろうと判断したからだ。リサはわたしの話し出しに眦がキッと上がった。
「パル、お父さんたちに何を言ったのよ?昨夜は大変だったのよ」
「声が大きい」
リサの声が響いていたのでそのことを注意しつつ言われて事を思い返す。
何を言ったのよ?
今後の経営方針の話をしただけだけど。変な話はしていないはずだ。
リサに言われたので昨日の振り返りをしながら確認する。
「変な話はしてないよ?昨日は大変だったって何が、あったの?」
わたしの不思議そうな様子にリサは不服なのか目は吊り上がったままだ。そうとう怒っているらしい。
リサのそんな態度は予想していなかったのでわたしも困惑する。
昨夜は何があったんだろう?不思議で仕方のないわたしはもう一度リサに話しかけていた。
「リサ、昨夜は何があったの?」
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