コンサルティング会社を作ってみよう

小賀 いちご (いちご)

文字の大きさ
45 / 53

45

しおりを挟む
 わたしは学校が休みな事を良い事にリサの家に向かっていた。今日は試験運用に終了日の一日前、本格的な運用の調整をするために内容を確認しようと思っていた。緊急的に呼び出されることが無かったので、大きな問題はないと思うが、何が出てくるかは分からない。わたしが来た時でよいと考えて、問題を連絡してこない可能性もあるのだ。その辺を考慮して今日の訪問である。



 わたしは玄関をくぐると誰もいないので奥に向かって声を掛ける。

 「こんにちわ。パルです。どなたかいらっしゃいますか?」

 「いらっしゃい。パルちゃん。今日はどうしたの?」

 わたしの呼びかけに奥からお兄さんが出てきた。なんとものほほんとした感じである。そののどかな空気に癒されつつ今日の目的を伝える。



 「今日は試験運用の様子を確認に来ました。問題ないですか?」

「ぞうだね。大きな問題はないと思うけど、ちゃんとしたことは母さんに聞いた方が安心かも。ちょとまてて。呼んでくるから」



 お兄さんはそういうとおばさんを呼びに行った。中身が問題なければお兄さんでも良かったのに、こんな様子を見てみるとお兄さんはおばさんの不況を買いたくないのか、自分に自信がないかのどちらかだと思う。はっきりはしなけど、家庭内の意思疎通は上手くいってないような気がする。

 もちろん、私だけの印象なので決めつけるのは気が早い。そんな事を考えているうちにおばさんが出てtそうきた。

 「こんにちは。突然申し訳ありません。試験運用の事が心配になりまして。その後、運用などうでしょうか? 何か問題はありませんか?」

 「わざわざありがとう。特に大きな問題はないよ。あれから、文句も言われていないしね」

 「そうでしたか。良かったです運用を変更したのでどうなったか気になっていました。問題が無ければこのまま本格的に運用でも問題ない感じですか?」

 「そうね。問題ないと思うわ」

 「では、値段の方を決めた方が良いですね。金額の方はどうしましょうか? 何か参考を考えていらしゃいますか?」

 「そうね。決めない他方がいいわね。ちょとみんなで相談しましょうか?」

 おばさんの提案でおじさんも来ることになった。さすがに全体の決断をおばさん一人で決めることはしないようだ。

 安心した。

 そうこうしているうちに、お兄さんがおじさんを呼んできてくれた。これでリサ以外が全員揃った形だ。何回かこんな事はあるがそのたびにわたしは違和感を感じてしまう。おじさん達は感じていないようなので、これはいつもの事なのだと実感してしまう。その事をわたしは悲しく感じていた。もちろん、その感傷は私だけの様だ。



 「おじさん。試験運用は問題ないと聞きました。そろそろ本運用に移りたいと思います。値段設定とかは考えていらしゃいますか?」

 「パルちゃん。おかげさまで問題ないようだよ。値段はどうしようか? あんまり高くても使ってもらえないと思うんだけど」

 「そうですね。高いとお風呂屋さんに行けばいい、となるのであんまり高いのはお勧めできません。でも、あんまり安いと採算が取れなくなってしまうので、それはそれで問題だと思います」

 「そうだよね。あんまり安くても困るよ」

 「そうですね。採算が取れないのは問題ですから。どの程度を検討されていますか?」

 「パルちゃんの喋り方はリサと同じ年とは思えないね。取り合えずはお風呂屋さんの半分ぐらいを考えているよ。あんまりもうけは出ないけど損もしないからね。もともとサービスで始める予定だったからね。損じなければそれでいいと思ってるよ」

 「そうですか。おばさん達もそれで大丈夫ですか?」

 「そうね。損しないくらいの気持ちが良いかもね。それでいいと思うわ」

 おばさん達の同意が取れたのでこれから本格運用になる。



 「おじさん。張り紙をお願いします。今週でサービスが終了すること。来週からはお風呂屋さんの半額でサービスを開始すること。両方をいくつかの場所に張ってください」

 「張らなくてもいいじゃない?」

 「いえ、今のサービス中に使ったことのある方は、値段も同じものを求めると思います。始めはサービスと知っていても、安いのに慣れると正規の値段でも高く感じるものです。そう思うと告知は必要です」

 「そんなものかしら?」

 「おばさんだってサービスで無料でもらっていた野菜が突然、正規の値段を払ってください、って言われたらタダだったのに、って思いませんか?」

 「そうね。思うわ」

 「同じことですよ?」



 おばさんは私の意見に納得してくれた。その上でお兄さんが告知用の張り紙を作成してくれることになった。

 最近はおばさん達が私の意見に納得してくれることが増えたのでやりやすなった。

 ありがたい事だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

処理中です...