幻影の讃美歌

ごさまる

文字の大きさ
106 / 118
第四章

〜9つの魂を司るベリアル⑨〜

しおりを挟む
間一髪の所で、奇跡的に難を逃れた二人。
ハデスとミーミルは、僅かに残っている魔素を集中し、ダミアンに事の有り様を伝えた。

《・・ダ・・ダミアン・・様っ!!!・・》

《♪   ハッ!?っハデスかっ!二人とも無事かっ!?》

《こちら・・ハデス。
ハァハァハァ・・どうにか・・二人共・・無事です・・。
ですが・・ダミアン様と・・ハァハァハァ・・セイラ様に合流できるだけの・・ハァハァま、魔素は二人共残っていません・・ハァハァハァ・・》

《♪   わかった・・。
悪いが、そのまま聞いて欲しいのだ・・。
お~の目の前にいたネズミ達も、首斬りカマを一振し、攻撃を射つ寸前で、同じように走り去って行った・・。
察しは、ついている。
恐らく・・狙いは、ルシファー・・。
我々との争いの隙をついたつもりなのだ。
相変わらず・・あの《お方》は、兵をまとめるのが苦手の様だ・・。》 

ミーミル・ハデス→《ハァハァハァ・・ダミアン様・・このままでは、ルシファー様の身が・・!!》

ザクッっ!!!

ダミアンは、首斬りカマの手元を床に突き立てると、ミーミルとハデスにこう伝えた。

《♪・・・・ 先手は、打ってある。
お前達は、そのまま動くな・・。》

ミーミル・ハデス→《ダ・・ダミアン様っ!!?》

パサッ・・・・・・。

ダミアンは二人にそう告げると、性質会話を切った。そして、ダミアンの立っていたその場所には、ダミアンの黒いドレスだけが、まるで脱け殻の様に残され、その姿は一瞬にして消えた。

一方、意識を失くし倒れたままのルシファーに、静かに忍び寄る影。

ガサガサ・・
ガサガサ・・ガサガサガサ・・

「・・・・!!みつけたっ!!!チュウ・・。」

ガサガサ・・

「クスッ!!・・気を失ってる!!チュウ。」

「こいつも、ざまぁ無いね♪チュウ。」

「チュウ♪あんなに意気がってたクセにさっ!」

「静かに、ゆっくり、皆で近付きながら、取り囲むんだよっ!!!チュウ♪」

カサカサ・・カサカサ・・
カサカサ・・

気を失い倒れているルシファーの回りには、おびただしい数のネズミ達が身を伏せ集まり、じわりじわりとルシファーを囲み始めた。

カサ・・・・っ!!!

ネズミ達の群れは、横たわるルシファーが手を伸ばせば、用意に届く距離まで迫った。
だが、ルシファーの意識は戻らない。

身を伏せ、チョロチョロと近づいてきたネズミ達は、ルシファーの目の前に来ると、身を伏せていた小さな灰色の体を起こし、牙を剥き出しにして叫んだ。

「我々を怒らせた、その罪と罰を・・その身をもって償うがいいっ!!!」

チュウ!チュウっ!!!
チュウ―――――――――――――――っ!!!!!!!

ネズミ達が、ルシファーめがけ飛び掛かった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  ブックマーク・評価、宜しくお願いします。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

処理中です...