悪役王子に転生したので推しを幸せにします

あじ/Jio

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第7章:運命

酒盛り02



とろりとした舌ざわり。そして甘さの奥に感じる爽やかな匂いが鼻を抜ける。
ねっとりとした甘さなのに、美味しすぎていくらでも飲めてしまう。
ノクティスの分を残して、あとは夢中になって美酒を飲み終えた頃には、ほどよく酔いが回りだしていて心地のいい時間が流れていた。
だから気が緩んでしまったんだ。

「来年もこうして皆と生きられたらいいのになぁ」

あまりにも彼らといる空間が優しいものだったから。
いつもなら絶対に口を滑らせないのに、うっかりと独り言ちてしまったのだ。

「いまのってどういうこと? 来年も生きれたらってどういう意味?」
「……」

しまった。
状況を理解した時には言い逃れができる雰囲気ではなかった。
セラジェルの射貫くような眼差しが突き刺さる。

「前から気になっていたんだよ。胸にある紋章も、精霊が君を見るたびに口にする異なる世界からの放浪者っていうのも」
「……精霊って僕のことそう呼んでいるんだ」

そりゃそうか。僕の魂を肉体に結び付けるため、この身に紋章を刻んだのは精霊たちだ。
精霊と共存する妖精族のセラジェルは、会話もできるし姿だって見える。僕が説明をしなくても精霊から聞くことだってできるはずだ。
それでも本当のことを打ち明けるには勇気が必要だった。
どうにか話を逸らせないかと誤魔化すように笑うが、結局うまい言い訳が思いつかない。
僕はそっと目を伏せることしかできなかった。

「言いたくないのならば言わなければよい。してセラジェルよ、そなたもあまり心のうちに入り込もうとするでない。互いに傷つけ合うのはそなたも望んではいないことであろう?」

空気を察してか、これまで静観していたシェンがとつとつとした口調で窘めた。
セラジェルは何かをこらえるようにぎゅっと拳を握りしめる。

「君の言うとおりだよ。誰にだって言いたくないことはあるさ。……でも僕は、僕ならなにか手伝えるかもしれないんだ。なのにこのまま放っておいたら来年の今ごろジョシュアはもう——」
「死なないよ」

いつもは理性的なセラジェルが感情に振り回されていた。
そんな姿を見ていたら、誰かに僕の事情を打ち明けることについて気持ちの整理がつく。

「死ぬ気はさらさらないからね。それから僕の話は特別面白いものではないけれど、それでもよかったら聞いてくれる?」

二人に打ち明けることにした。
僕の前世について、そしてこの世界とそっくりな小説の存在。それから僕は皆のことを出会う前から知っていたということも。
僕は自分の知る全てを語った。
初めて誰かに前世の話をする瞬間は不思議なものだった。
幾度となく想像してきた。僕だけが知る事実を話したら皆はどう反応するのかと。
そして、その瞬間はどういう気持ちなのだろうかと。
実際は高揚感も、恐怖もなかった。
ただ静かにあったことを、知っていることを話すだけで、まるで他人の人生を語るかのように淡々とした気持ちだった。

感想 199

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みんなの感想(199件)

るん
2025.03.25 るん

昔ムーンライトさんで読んでた〜と嬉しくなり一気読みしました!凄く面白いです。ジョシュアが可愛くて強くて可愛い!

作者様もお忙しいとは思いますが、続きを楽しみにしています!

解除
すずらん
2024.12.04 すずらん
ネタバレ含む
解除
しんちゃんまま
2024.11.14 しんちゃんまま

更新ありがとうございます♥
ジョシュア〜強いわ〜逞しいわ〜女の醜い闘いに同じ目線でいる必要ないですもんねぇ…もう心の中で地団駄踏んで悔しがるくらいめっためたに言い負かして差上げて(˶ᐢωᐢ˶)︎‪💕
そしてノクティスが迎えに来ればメロメロ甘々な2人見せ付けてやれますね😎✨
楽しみだわ〜皇太后ざまぁwww
次回も楽しみにしてます🩷

解除

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