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第十三話 殿下に朗報です
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はあはあと息を切らせて走るものの、一体どこに行けばライト殿下に会えるんだろうと思って立ち止まったその時だった。
「アリシア!!」
聞き覚えのある声がして振り向けば、探していたライト殿下が何故か顔面蒼白で立っていた。
髪の毛と洋服が少し乱れていたからもしかして殿下も走っていたのかしら。
「殿下っ!丁度よかったわ、私殿下を探していたんです」
「何?俺を?君が?」
私の言葉に殿下の蒼白だった顔が一瞬で真っ赤になった。
走ってきた疲れが今頃出てきたのかしら?
殿下は乱れた息を整えながら私に近づいてきた。
私の前に来ると、何かを言いたげな表情で「あ、うっ・・・」と言葉を詰まらせている。
少し遅れて「殿下っ」と言いながら殿下のお知り合いの方もやって来た。
「そちらの方は?」
どこかで見たことがあるような無いような・・・・・・。
私の問いかけに殿下のお知り合いの方は「あ!」と言ってゴソゴソとポケットの中から眼鏡を取り出して顔にかけた。
眼鏡をそんな乱雑に扱って大丈夫?
そう思ったのも束の間、その顔を見て私は思い出した。
彼はティアラ嬢と席を変えてくれたあの人だわ。
眼鏡の下にこんなに整った顔があったとは。
今となってはあの時私がティアラ嬢と席を変わっていれば殿下は嬉しかったでしょうに。
私ったら気が利かなくて本当にだめね。
「ランドルフ・ジョハンです。父はジョハン伯爵ですが僕は三男坊なので自由気ままです。どうぞ気軽にランディとお呼び下さい」
ジョハン伯爵家と言えば騎士の家系。
きっと王国騎士団長の殿下とは密接な関係ね。
三男でも騎士として優秀な功績を残せば騎士爵位がもらえるんだから立派よね。
「よろしくお願いします。ランディ」
私がそう言うとランディがスッと右膝を屈めて右手を差し出した。
これはリガルド王国の貴族同士の挨拶で、未婚の男性が未婚の女性にするもの。
私は何も考えずにランディの手に自分の手をのせようとした時、グイッと思わぬ方向に体が引っ張られた。
「ランディに挨拶なんてしなくていい。それよりも僕を探していたって?」
引っ張ったのはライト殿下で、勢い余って殿下のよく成長した広く逞しい胸に顔からダイブしてしまった。
そして思い出すあの鍛え抜かれた逞しい上半身。
殿下の厚い胸板に思わずうっとりしていたら「大丈夫か?」と殿下が言った。
心配そうに私を覗き込む殿下の両方の瞳に私が見えて我に返った。
うわぁ、うっとりしてる場合じゃなーい!
「はい。殿下、朗報があるのです」
「朗・・・報?」
気のせいかしら、私の言葉に殿下が一瞬怯んだ気がした。
「それは本当に朗報なんだろうかと疑う気持ちが拭えないんだが、絶対に聞かなくてはいけない話なのか?」
「何を言うんですか 朗報ですよ?絶対に聞くべきです」
「分かった 聞こう」
「殿下喜んで下さい。私、後腐れなく婚約解消に応じます!」
「・・・・・・またか」
ボソッと殿下が呟くものの私の演説は止まらない。
「いいんですよ。昔助けたティアラ嬢との偶然の再会に運命を感じてしまったんですよね。多分私に対する真実の愛は勘違いだったんでしょう。殿下と恋をしてみたかったのにできない事が残念でなりませんが、殿下はどうぞ運命のお相手とお幸せになって下さ・・・・・・」
「アリシア待て!まさかそれが、婚約解消が朗報か?」
私が喋り終わらないうちに、頭を抱えて殿下が言った。
殿下の問い掛けに「はい」と笑顔で答えれば殿下が大きな溜息を付いた。
「聞くが、何故そんな考えに至ったんだ?」
「観劇を見たのです。それを見て私ピンときたんです。殿下の本当のお相手はティアラ嬢だったんだと」
「どんな内容の劇を見たのか知らないが話が飛躍しすぎだ。それにデフェル子爵令嬢の事は本当に覚えていないし思い出しもしていない。ただの部下の娘だ」
ただの部下の娘にしては随分一緒に行動を共にされてましたよね?
「じゃあ、どうしていつもティアラ嬢の事を優先していたんですか?ライト殿下の隣りにいるべき人物ってどういう意味ですか?」
ずいずいと殿下に詰め寄れば、殿下が真っ赤な顔を腕で隠して瞳で何かを訴えている。
普段は凛々しくてクールな感じなのに焦るとこんなに可愛らくなるなんて、ツボです。
私は調子に乗って殿下が顔を隠していた腕をそっと掴んでゆっくり顔から引き離した。
殿下と私の目が合って、次第に殿下の赤い顔がみるみる真っ赤になっていく。
「何を隠しているんですか、殿下?」
別に怒っていないのに叱られた子犬みたいに殿下はシュンとした。
隣でランディが「殿下、言っちゃえばいいじゃないですか」と言うと、殿下は観念したように一度空を見上げて言った。
「頼まれたのだ」
「はい?」
「ここでは話せない。もう少し落ち着いた場所で話そう」
殿下に言われて私とランディは殿下の後を付いて行った。
「アリシア!!」
聞き覚えのある声がして振り向けば、探していたライト殿下が何故か顔面蒼白で立っていた。
髪の毛と洋服が少し乱れていたからもしかして殿下も走っていたのかしら。
「殿下っ!丁度よかったわ、私殿下を探していたんです」
「何?俺を?君が?」
私の言葉に殿下の蒼白だった顔が一瞬で真っ赤になった。
走ってきた疲れが今頃出てきたのかしら?
殿下は乱れた息を整えながら私に近づいてきた。
私の前に来ると、何かを言いたげな表情で「あ、うっ・・・」と言葉を詰まらせている。
少し遅れて「殿下っ」と言いながら殿下のお知り合いの方もやって来た。
「そちらの方は?」
どこかで見たことがあるような無いような・・・・・・。
私の問いかけに殿下のお知り合いの方は「あ!」と言ってゴソゴソとポケットの中から眼鏡を取り出して顔にかけた。
眼鏡をそんな乱雑に扱って大丈夫?
そう思ったのも束の間、その顔を見て私は思い出した。
彼はティアラ嬢と席を変えてくれたあの人だわ。
眼鏡の下にこんなに整った顔があったとは。
今となってはあの時私がティアラ嬢と席を変わっていれば殿下は嬉しかったでしょうに。
私ったら気が利かなくて本当にだめね。
「ランドルフ・ジョハンです。父はジョハン伯爵ですが僕は三男坊なので自由気ままです。どうぞ気軽にランディとお呼び下さい」
ジョハン伯爵家と言えば騎士の家系。
きっと王国騎士団長の殿下とは密接な関係ね。
三男でも騎士として優秀な功績を残せば騎士爵位がもらえるんだから立派よね。
「よろしくお願いします。ランディ」
私がそう言うとランディがスッと右膝を屈めて右手を差し出した。
これはリガルド王国の貴族同士の挨拶で、未婚の男性が未婚の女性にするもの。
私は何も考えずにランディの手に自分の手をのせようとした時、グイッと思わぬ方向に体が引っ張られた。
「ランディに挨拶なんてしなくていい。それよりも僕を探していたって?」
引っ張ったのはライト殿下で、勢い余って殿下のよく成長した広く逞しい胸に顔からダイブしてしまった。
そして思い出すあの鍛え抜かれた逞しい上半身。
殿下の厚い胸板に思わずうっとりしていたら「大丈夫か?」と殿下が言った。
心配そうに私を覗き込む殿下の両方の瞳に私が見えて我に返った。
うわぁ、うっとりしてる場合じゃなーい!
「はい。殿下、朗報があるのです」
「朗・・・報?」
気のせいかしら、私の言葉に殿下が一瞬怯んだ気がした。
「それは本当に朗報なんだろうかと疑う気持ちが拭えないんだが、絶対に聞かなくてはいけない話なのか?」
「何を言うんですか 朗報ですよ?絶対に聞くべきです」
「分かった 聞こう」
「殿下喜んで下さい。私、後腐れなく婚約解消に応じます!」
「・・・・・・またか」
ボソッと殿下が呟くものの私の演説は止まらない。
「いいんですよ。昔助けたティアラ嬢との偶然の再会に運命を感じてしまったんですよね。多分私に対する真実の愛は勘違いだったんでしょう。殿下と恋をしてみたかったのにできない事が残念でなりませんが、殿下はどうぞ運命のお相手とお幸せになって下さ・・・・・・」
「アリシア待て!まさかそれが、婚約解消が朗報か?」
私が喋り終わらないうちに、頭を抱えて殿下が言った。
殿下の問い掛けに「はい」と笑顔で答えれば殿下が大きな溜息を付いた。
「聞くが、何故そんな考えに至ったんだ?」
「観劇を見たのです。それを見て私ピンときたんです。殿下の本当のお相手はティアラ嬢だったんだと」
「どんな内容の劇を見たのか知らないが話が飛躍しすぎだ。それにデフェル子爵令嬢の事は本当に覚えていないし思い出しもしていない。ただの部下の娘だ」
ただの部下の娘にしては随分一緒に行動を共にされてましたよね?
「じゃあ、どうしていつもティアラ嬢の事を優先していたんですか?ライト殿下の隣りにいるべき人物ってどういう意味ですか?」
ずいずいと殿下に詰め寄れば、殿下が真っ赤な顔を腕で隠して瞳で何かを訴えている。
普段は凛々しくてクールな感じなのに焦るとこんなに可愛らくなるなんて、ツボです。
私は調子に乗って殿下が顔を隠していた腕をそっと掴んでゆっくり顔から引き離した。
殿下と私の目が合って、次第に殿下の赤い顔がみるみる真っ赤になっていく。
「何を隠しているんですか、殿下?」
別に怒っていないのに叱られた子犬みたいに殿下はシュンとした。
隣でランディが「殿下、言っちゃえばいいじゃないですか」と言うと、殿下は観念したように一度空を見上げて言った。
「頼まれたのだ」
「はい?」
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