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番外編 ミカエルへの哀歌
③ 礼拝堂 聖ミカエルの肖像画~イヴァン・クロウ
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教会の鐘は、今日も鳴ることがなかった。手伝いの青年が戦争に駆り立てられ、誰もそれに触れることはなくなり、神父は年をとりすぎて、鐘突堂のある鐘楼に上れなくなった。
人気のない教会の祭壇の横には、聖ミカエルの肖像画が掲げられていた。
白い翼を広げ、天使を率いて地上に降り立つその姿。夢遊病者のように、絵の下にたどりついたイヴァンは、膝をおり、祭壇の下の床にかしづいた。すると、その時、
「イヴァン・クロウ。馬鹿な……お前は、一年前に絞首台に吊られたはずなのに……」
見上げた先に、見知った神父の顔がある。拘置所の最後の雪の夜に、祈りを捧げてくれた、あの神父だった。
「闇の王が降り立って、私に命をくれたのですよ。絞首台の無情な綱では、吊るしきれない無限の命を」
「……お前は、闇の人畜か! そうして、またこの村に厄災をなすつもりか!」
だが、闇の男は、神父の言葉に頭を横に振ってから、教会の天井を指差して言った。
「私がやらぬとも、じきに、この地は闇の支配に落ちてゆく。ほら、もうそこに、魔王は来ている」
驚き、上に目を向けた神父は、教会の天井 ― 神々を描いた美しいフレスコ画を覆い隠すように広がった、黒い笑みに唇を震わせた。
魔王……
「なぜ、お前は聖なる神の家に入り込む?」
なぜ、入り込める……?
そんな神父の懸念を読み取ったかのように、闇の王は声を荒げた。
神の慈しみ、神の愛、神の奇跡。そんな物でこの世の闇を拭い去ることができるものか。人は壊し、人は憎み、人は死ぬ。それとともに、私の力も大きくなるのだ。
私は、破壊者。破壊するものが消えぬ限り、私はいつでも、降臨する。例えそれが、聖水と祈りに浄化された神々の城であったとしても。
嵐のような笑いを残して、黒い笑みは教会の天井から天空へと消えていった。
愕然とその跡を目で追った神父は、悲哀に押しつぶされそうな表情をして、イヴァンに目を向けた。
「イヴァン・クロウ、闇の生物。それなのに、なぜ、お前はこの場所に平然とかしづいていられるのだ。聖ミカエルの御姿の元で、お前は少しの怖れもなく、まるで、一身にその加護を受けているように、とりすました顔をして……」
その問いに、彼は答えを返さなかった。……が、ただ、こう言葉を残した。
「私は、待っているだけなのです。あのレストランの老婆のように……未来永劫、亡くしてしまった、自分の天使を」
神父は唇を震わせる。
「まさか、あなたは、村の人々を……」
闇の男は、首を横に振る。
「襲いやしません。ただ、仲間に引きいれただけなのです。やがて、ここに訪れる死の洗礼から逃れるために」
「何てことだ! 何という罰当たりなことを!」
今にも頭を抱え出しそうな神父を、イヴァンは無表情な目をして眺めていた。祭壇の下の引出しから、神父が銀の拳銃を出し、それに銀の玉をこめた時にも、彼は知らぬそぶりを決め込んでいた。
銀の拳銃を掲げた神父が、教会の出口へ歩いてゆく。その後姿に向かって、イヴァンは初めて言葉を口にした。
「その銀の拳銃で、私の心臓を打ちぬかないのですか」
「無駄だ」
「なぜ?」
「あなたには、聖ミカエルの加護がある。こんな理不尽を神が許すわけがない。なのに、私にはそれが分る。だから、せめて、私は、闇の世界に踏み込んだ哀れな村人たちを救わなければならない。たとえ、この手で彼らの心臓を打ち抜いてでも」
神父が教会から出てゆくまで、もう、二人には交わす言葉もなかった。
聖ミカエル
その肖像画の下で、イヴァンは、物憂げに昔、覚えた歌を口ずさみだした。
―― ミカエル
僕は君を待っている
青空だった空は、暗い灰色に変わり、高い空の向こうから冷たい粉雪が落ちてきた。
仲間を追って教会へやってきた、ティル・ネーナは、目前に聳え立つ教会の扉の前で、足元から沸きあがってくる不安に激しく体を振るわせた。
クリスマス用のリースに用いられた、魔よけのヒイラギが新たな不安を呼びおこし、教会の建物そのものが、邪悪の輩と、ティルの侵入を固く拒んでいた。
けれども、つい今しがた、教会の屋根から滲みでてきた、黒い影はマスターではなかったのか。かすかに礼拝堂から聞こえてくる歌は、イヴァン・クロウの声ではないのか。
なぜ、僕は、拒まれるのだろう。
なぜ、僕は、教会に入れないの?
泣き出しそうな顔を、教会の入口に向けた時、不意に開いたその扉。
銀の拳銃を手にした神父の姿に、思わず後ずさる、ところが、ティルを見て、神父は穏やかな微笑みを頬に浮かべた。
「どうぞ、中にお入りなさい。怖がらないで。神は誰も拒みません」
「でも、僕……」
「大丈夫。たとえ、あなたが闇の使者であったとしても、祝福はあなたの元に訪れます」
扉から、出てきた神父の優しい声音に背を押され、ティルは、教会の中に歩を踏み出した。
礼拝堂の壁に掛けられた、聖ミカエルの画が、眩しすぎるみたいに輝いてみえた。その下に佇むイヴァン・クロウの姿に、金の髪の少年は、生まれてからこれまでで、一番、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
きらきらと粉雪のような光が、体をとりまく気がした。
すると、急に哀しくてたまらなくなってしまった。
体が薄く透けてゆく。
瞳から、一粒、涙が流れる。
そうなんだ。マスターの力は無限に大きく、イヴァン・クロウの背にはいつも、天使の加護があり、それなのに、僕は……僕らは、ただのちっぽけな者にすぎなくて……
それでも、僕は生きていたくて……。
ぱさりと礼拝堂に落ちた砂粒。
それらが、扉の外から吹いてきた寒風に吹かれて飛び散る前に、ティルは最後の意志を振り絞り、かすかな声を残して逝った。
どんな時でも、
生きていたかったのは、みんな、同じなのにね。
イヴァン・クロウは、金の少女の声が小さく消えてゆくのを背中で聞いた。
天使を携えた聖ミカエルの画が、そんな彼を遠くから見下ろしている。
彼は歌った。昔、聞いた天使の歌を。
それでも、僕は待っている。
だから、愛して
僕を愛して
ミカエル。
ピータバロ番外編 【ミカエルへの哀歌】 ~完~
【あとがき】
大天使ミカエルは戦いの天使であり、同時に最後の審判において人類を裁く存在でもあります。
そんな神の裁きを知りながら、殺人犯であるイヴァン・クロウはなおも天使の降臨を待ち続けています。
そして彼は、本編の主人公である青年画家、キース・L・ヴァンベルトに強く惹かれていきます。
なぜ罪深き彼が、なおも天の光を求めたのか。
なぜ心を閉ざした男が、ひとりの青年に救いを見出したのか。
――その答えは、物語を最後まで読んだあなたの心に、そっと委ねたいと思います。
RIKO
人気のない教会の祭壇の横には、聖ミカエルの肖像画が掲げられていた。
白い翼を広げ、天使を率いて地上に降り立つその姿。夢遊病者のように、絵の下にたどりついたイヴァンは、膝をおり、祭壇の下の床にかしづいた。すると、その時、
「イヴァン・クロウ。馬鹿な……お前は、一年前に絞首台に吊られたはずなのに……」
見上げた先に、見知った神父の顔がある。拘置所の最後の雪の夜に、祈りを捧げてくれた、あの神父だった。
「闇の王が降り立って、私に命をくれたのですよ。絞首台の無情な綱では、吊るしきれない無限の命を」
「……お前は、闇の人畜か! そうして、またこの村に厄災をなすつもりか!」
だが、闇の男は、神父の言葉に頭を横に振ってから、教会の天井を指差して言った。
「私がやらぬとも、じきに、この地は闇の支配に落ちてゆく。ほら、もうそこに、魔王は来ている」
驚き、上に目を向けた神父は、教会の天井 ― 神々を描いた美しいフレスコ画を覆い隠すように広がった、黒い笑みに唇を震わせた。
魔王……
「なぜ、お前は聖なる神の家に入り込む?」
なぜ、入り込める……?
そんな神父の懸念を読み取ったかのように、闇の王は声を荒げた。
神の慈しみ、神の愛、神の奇跡。そんな物でこの世の闇を拭い去ることができるものか。人は壊し、人は憎み、人は死ぬ。それとともに、私の力も大きくなるのだ。
私は、破壊者。破壊するものが消えぬ限り、私はいつでも、降臨する。例えそれが、聖水と祈りに浄化された神々の城であったとしても。
嵐のような笑いを残して、黒い笑みは教会の天井から天空へと消えていった。
愕然とその跡を目で追った神父は、悲哀に押しつぶされそうな表情をして、イヴァンに目を向けた。
「イヴァン・クロウ、闇の生物。それなのに、なぜ、お前はこの場所に平然とかしづいていられるのだ。聖ミカエルの御姿の元で、お前は少しの怖れもなく、まるで、一身にその加護を受けているように、とりすました顔をして……」
その問いに、彼は答えを返さなかった。……が、ただ、こう言葉を残した。
「私は、待っているだけなのです。あのレストランの老婆のように……未来永劫、亡くしてしまった、自分の天使を」
神父は唇を震わせる。
「まさか、あなたは、村の人々を……」
闇の男は、首を横に振る。
「襲いやしません。ただ、仲間に引きいれただけなのです。やがて、ここに訪れる死の洗礼から逃れるために」
「何てことだ! 何という罰当たりなことを!」
今にも頭を抱え出しそうな神父を、イヴァンは無表情な目をして眺めていた。祭壇の下の引出しから、神父が銀の拳銃を出し、それに銀の玉をこめた時にも、彼は知らぬそぶりを決め込んでいた。
銀の拳銃を掲げた神父が、教会の出口へ歩いてゆく。その後姿に向かって、イヴァンは初めて言葉を口にした。
「その銀の拳銃で、私の心臓を打ちぬかないのですか」
「無駄だ」
「なぜ?」
「あなたには、聖ミカエルの加護がある。こんな理不尽を神が許すわけがない。なのに、私にはそれが分る。だから、せめて、私は、闇の世界に踏み込んだ哀れな村人たちを救わなければならない。たとえ、この手で彼らの心臓を打ち抜いてでも」
神父が教会から出てゆくまで、もう、二人には交わす言葉もなかった。
聖ミカエル
その肖像画の下で、イヴァンは、物憂げに昔、覚えた歌を口ずさみだした。
―― ミカエル
僕は君を待っている
青空だった空は、暗い灰色に変わり、高い空の向こうから冷たい粉雪が落ちてきた。
仲間を追って教会へやってきた、ティル・ネーナは、目前に聳え立つ教会の扉の前で、足元から沸きあがってくる不安に激しく体を振るわせた。
クリスマス用のリースに用いられた、魔よけのヒイラギが新たな不安を呼びおこし、教会の建物そのものが、邪悪の輩と、ティルの侵入を固く拒んでいた。
けれども、つい今しがた、教会の屋根から滲みでてきた、黒い影はマスターではなかったのか。かすかに礼拝堂から聞こえてくる歌は、イヴァン・クロウの声ではないのか。
なぜ、僕は、拒まれるのだろう。
なぜ、僕は、教会に入れないの?
泣き出しそうな顔を、教会の入口に向けた時、不意に開いたその扉。
銀の拳銃を手にした神父の姿に、思わず後ずさる、ところが、ティルを見て、神父は穏やかな微笑みを頬に浮かべた。
「どうぞ、中にお入りなさい。怖がらないで。神は誰も拒みません」
「でも、僕……」
「大丈夫。たとえ、あなたが闇の使者であったとしても、祝福はあなたの元に訪れます」
扉から、出てきた神父の優しい声音に背を押され、ティルは、教会の中に歩を踏み出した。
礼拝堂の壁に掛けられた、聖ミカエルの画が、眩しすぎるみたいに輝いてみえた。その下に佇むイヴァン・クロウの姿に、金の髪の少年は、生まれてからこれまでで、一番、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
きらきらと粉雪のような光が、体をとりまく気がした。
すると、急に哀しくてたまらなくなってしまった。
体が薄く透けてゆく。
瞳から、一粒、涙が流れる。
そうなんだ。マスターの力は無限に大きく、イヴァン・クロウの背にはいつも、天使の加護があり、それなのに、僕は……僕らは、ただのちっぽけな者にすぎなくて……
それでも、僕は生きていたくて……。
ぱさりと礼拝堂に落ちた砂粒。
それらが、扉の外から吹いてきた寒風に吹かれて飛び散る前に、ティルは最後の意志を振り絞り、かすかな声を残して逝った。
どんな時でも、
生きていたかったのは、みんな、同じなのにね。
イヴァン・クロウは、金の少女の声が小さく消えてゆくのを背中で聞いた。
天使を携えた聖ミカエルの画が、そんな彼を遠くから見下ろしている。
彼は歌った。昔、聞いた天使の歌を。
それでも、僕は待っている。
だから、愛して
僕を愛して
ミカエル。
ピータバロ番外編 【ミカエルへの哀歌】 ~完~
【あとがき】
大天使ミカエルは戦いの天使であり、同時に最後の審判において人類を裁く存在でもあります。
そんな神の裁きを知りながら、殺人犯であるイヴァン・クロウはなおも天使の降臨を待ち続けています。
そして彼は、本編の主人公である青年画家、キース・L・ヴァンベルトに強く惹かれていきます。
なぜ罪深き彼が、なおも天の光を求めたのか。
なぜ心を閉ざした男が、ひとりの青年に救いを見出したのか。
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RIKO
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