クリスタルの夢

RIKO

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第21話 雪みーこ

1.雪ねことの出会い

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 日曜日。それまで降りつづいていた雨が、雪に変わりました。今年、初めて積もった雪です。
 小学一年生のゆうとは小おどりしながら、あちこちの雪をかきあつめ、一匹の雪ねこを作りました。

「おまえの名前は雪みーこだぞ」

 頭につんとつきでた小さな耳。まるいしっぽ。鼻は少し大きく作りすぎましたが、どことなくかわいい感じがしました。

 しばらくすると、

「ゆうと、お昼ごはんよ。お家に入りなさい」

 家の中からお母さんの声がしてきました。

「雪みーこ、ぼくがもどってくるまで、おとなしく待ってるんだぞ」

 ゆうとは、大急ぎで家の中に駆けこみました。ところが、ほんの少しのあいだに、雪空の灰色はいっそう深くなり、冷たい風がびゅうびゅうと吹いてきたのです。

「ちぇっ、これじゃ、外で遊べないよ」

 ゆうとは、つまらなそうにベッドにごろんと横になりました。
 その時です。みーみーという、高い声が、ゆうとの耳にとどいてきました。

「何だろう?」

 ゆうとは、へやの窓から、庭をのぞいてみました。
 すると……
 ゆうとが作った雪ねこが、窓の下にちょこんと座っているではありませんか。


「ゆうとくん、あなたは、あんなに寒いところに、いつまで、わたしを待たせておくつもりなんですか!」

 雪みーこは、つんっとふくれて、口をとんがらせました。

「だ、だって、雪みーこは雪ねこだろ。寒くたって、いいじゃないか。それとも、お家の中で、こたつにでも入りたいっていうの」

「そ、そんなことをしたら、わたしは、溶けてしまいますっ」

 みーみーと、声をいちだんと高くして怒る雪みーこに、ゆうとは、あきれかえってしまいました。

「ゆうとくん、外で遊びませんか」

「えっ、こんなに寒いのに」

 ゆうとは、とまどいました。でも、雪ねこと遊ぶなんて、めったにできることではありません。ぼうしにマフラーに手ぶくろ。ありとあらゆる、寒さよけを身につけると、ゆうとは、急いで外にとびだしてゆきました。

「ゆうとくん、むこうの木まで、かけっこしましょう」

 雪道をなでるように歩きながら、雪みーこがいいました。

「かけっこ? だめだめ。ぼくはできないよ」
「どうして?」
「ぼく……、のろいんだ。なにをやっても……」
「アァハハハ!」

 それを聞いて、雪みーこは、手も足もしっぽも、体をぜんぶ使って笑いころげました。

(あんなに笑うなんて、ひどいや……)

 ゆうとは、雪みーこなんか作るんじゃなかったと、ほっぺをふくらませました。

「ゆうとくん、やってもみないで、あきらめちゃ、だめですよ」

「だって、ぼく、ほんとうに、のろいんだよ」

 雪みーこは、ゆうとのいうことなんて、ちっとも聞いてくれません。

「いいですか。よーい、どんっ!」

 雪みーこの足の速いこと! 雪の上をスキーでもすべるように、すいすいと駆けぬけてゆくのです。

「待ってよー。雪の上は歩くのだって、大変なんだからっ」

 ゆうとが、一歩、進もうとするごとに、足がズボッと雪の中にめりこんでしまいます。

「がんばれ、ゆうとくん!」

 ゆうとは必死に走りました。そして、なんとか木の下にたどついた時には、息がきれて、ふらふらしてしまいました。

「ゆうとくん、やればできるじゃないですか。少しくらい遅くたって、へいき、へいき」

 雪みーこの言葉に、ゆうとの心は、ぽかぽかと温まりました。けれども、体はぶるぶると震えてくるのです。それもそのはず、ゆうとのズボンはぐっしょりと濡れてしまったのですから。

 そんな時です。通りのむこうから、やきいも屋さんの笛の音が響いてきました。

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