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第1章
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しおりを挟むギリギリセーフ。配信の5分前に無事に帰った私は大急ぎで手を洗い、配信部屋にきた。
髪を結んでいたゴムを外し、前髪をピンでよけ、すっと息を吸い込む。
今から私は謎系Vtuber如月未蓮なのだから。
長く伸びた後ろ髪に、目にかかるほど長い前髪と深く被ったフード。猫又をモチーフにしたパーカーを羽織り、ゲーム機を持てば、それは普段の私ではない。
新人Vtuber如月未蓮だ。
◇◇◇
姿勢をただし、前を向き配信をつける。
「は、初配信って緊張しますね……」
『未蓮ちゃん初配信? 頑張ってね~』
「あ、ありがとうございます。がんばり……ます」
「えと、初見さんいらっしゃい……です。新人Vtuberの如月未蓮と言います。良かったら配信見て行ってくどさい……ね」
か、かんだ。早速噛んじゃった。
焦る私に追い討ちをかけるようなリスナーさんからのコメント。
『未蓮ちゃん! 画面消えてる!』
「え? え? えっと、どうしたら……操作マニュアルは……どこ?」
配信画面が消えた場合の対処は、まずコード刺さってるか見て……それからえーっとどうするんだっけ?
とりあえず、カチャカチャとコードをいじってみる
「どうですか? 見えます?」
『映ってるよ~。大丈夫!』
「よ、良かったです……」
「では、改めてまして自己紹介!
引きこもり系Vtuberの如月未蓮です。
お絵描き雑談配信やゲーム実況を主にしていこうと思うのでネタやおすすめゲームあれば是非教えてください。
私の事教えてくれなきゃきさらぎ駅によんじゃいますよ!
貴方も私のファンになって、きさらぎ駅に引きこもってる私を連れ出すお手伝いをしませんか?」
『初見です。すごい可愛いですね』
「しょ、初見さん、こんにちは。新人Vtuberの如月未蓮です。良ければ見ていって、くだ、さい」
事前に考えた文章ならスラスラ言えるのに、アドリブだと詰まっちゃうな。
学校ではこんな事ないのに……
「緊張した時は深呼吸」
憧れの先輩の口癖を思い出し深呼吸をする。
魔法少女が変身するイメージを頭に浮かべながら如月未蓮の口癖を思い出す。
「きさらぎ駅の事考えてたら何しようとしてたか忘れちゃいました。ちょっと、予定表見直してきますね」
『未蓮ちゃんって引きこもりというよりドジっ子感すごいよね』
「……そうですかね? 引きこもりですよ! ちゃんときさらぎ駅に引きこもってます」
『……引きこもりをそんな堂々と言う人初めてあったわww』
「い、いいじゃないですか。引きこもりは引きこもりなんですから」
如月未蓮を演じ出したらスラスラと言葉が出てきた。最初はコミュ障だけど、なれたらスラスラ話出すのが如月未練だ。
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