10 / 21
第1章
第八話 エピローグ
しおりを挟むここは町外れの深い森の奥・・・そこには女性2人と男1人の姿があった。
「あら まだ死んでなかったの?」
フローレンシアはあっけらかんとした態度で言葉を投げかけた。目の前には男女2人の姿があった。
「貴様!!・・・いや・・・・やめておこう・・・・もうそなたに歯向かう気力も気持ちもない・・・」
男は更にフローレンシアに向かって疑問を投げかけた。
「しかし・・なぜだ?なぜ私達を生かすのだ・・私達はそなたを・・・」
自分の罪を言葉にすることのおぞましさ、男は口をつむぐ。そうだ・・・私は・・・
「その気持ちがあれば、もういいかなって思っただけよ。」
フローレンシアはこの男女2人の気持ちの変化を刑執行までに十分感じ取った。もう罰は十分受けた。社会的にも、戸籍上でも・・・すでに彼らは死んだのだ。それに・・・
「面白いお芝居もみせてもらったしね!」
男女二人は赤面し下を向いたする。男はすぐにこちらを向いて反論した。
「あの場で!執行人から!あんなことを言われるなど!誰が思うか!」
そう。あの大興奮の刑場で執行人は2人にこう囁いた。
「毒ははいっていない。できるだけ激しく抵抗し、最後に飲め」
2人は見事にその役割を遂行したのだ。あれは見事だったわ・・・笑
2人にはこの森を抜け、隣の国に移住するよう命じた。2人で慎ましく暮らし、情報を流してもらう条件付きで・・・
さっきから女のほうが全く言葉を発しない。こちらを見ない。まぁなぜかは分かっている。こちらに合わせる顔がないのだ。自分の発した言葉の数々を思い出すたびに彼女は自分の醜さと向き合うことになる。権力が彼女をあそこまで変えてしまったのか。素直な子だった故か。
心の中は謝罪の言葉で埋め尽くされ、息が詰まりそうだ。
「それでは私達は行かせてもらう。言えた口ではないが、十分に気をつけてくれ。」
男は女の肩に手を回し、促す。
「わかったわ」
彼からは事件の経緯を細やかに聞いた。これから忙しくなりそうだわ。
おっと!最後に伝えておきましょうか。私から離れようとする1人の女に声をかける。
「デルフィ!!」
私の声にビクッと肩を震わせる。ゆっくりとこちらを振り返る。
私は真剣な顔で、伝える。
「今のアナタはとっても素敵よ。その気持ちを忘れないでその男と添い遂げなさい。」
罪の意識からの開放からの安堵か、咽び泣く彼女の肩を抱いて、男女は深い森の奥へ消えていった。
一応ばれないように護衛もつけたから死ぬことはないだろう。
「さて・・家に帰ろう・・」
私は森の出口に停めておいた馬車までゆっくり歩を進めた。
「おかえりなさい!!フローレンシア様!!」
自宅に戻ると私を迎える1人の侍女が迎えてくれた。
「ただいま フローレンシア 調子はいかが?」
2章へつづく。
0
あなたにおすすめの小説
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる