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オージェ伯爵邸襲撃事件編
オージェ伯爵邸襲撃
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「いやぁ! やだぁっ!」
わたし、なにもわるいことしてない。
それなのに、どうしてこんな仕打ちを受けないといけないんだろう。
たぶん、誰も私を助けてくれる余裕なんてない。
調理場に相応しくないむせかえる程の血の臭いと、これからこの身に降りかかるであろう事を思って私は泣き叫ぶ。
メイドの制服である黒のワンピースはめくりあげられて、体を厨房の作業台に押し付けられる。腕は背中でひとまとめにさせられて、お尻を突き出すような体勢。背後には全身を赤に染めて、嫌な顔でにやつく男。
「いやぁ! はなしてっ! いやぁ!」
「泣いても叫んでも、誰も来ねーよ。たぶん、この屋敷で生きてんの、後はお前くらいだろうからな。良かったなー、俺に見つかって。他の奴なら問答無用で殺されてたぞ? そこのおっさんみたいにな?」
「うぅ……っ、ふ……っ、なんで、なんで料理長、殺したの……っ」
「皆殺しにするように頭に言われてんだよ。足がついたら困るしな。本当ならあんたも殺さなきゃならんが、えらい別嬪じゃねぇか。男としては、味見くらいしてやるのが女に対する誠意ってもんだろう?」
「やだぁ……っ!」
そんなおぞましい誠意はいらない!
そう叫ぼうにも、しゃくりが邪魔して叫べない。
男の赤く濡れた手が、私の大腿を這い上がってくる。かたかたと、体が震える。
下着の上から、秘部の割れ目に沿うように指が撫で付けられる。
「ひっ……!」
「さぁて、君って処女? 若く見えるから処女だと嬉しいなー」
下着がずり下げられる。
不吉な男の指が、私の大切な所をまさぐる。生暖かい赤色がぬるりと滑る。
もうやだ、もうだめ、もう───
恐怖に泣き叫ぶ事にも疲れたとき、さっきまで静かだったはずの廊下が騒がしくなった。
「あァン?」
「ジャック! 撤収だ! 見張りから黒宵が来たって連絡が!」
「なんでバレてんだ!? 警備も全員殺しただろ!?」
「知らねぇ! だが今はとりあえず逃げるぞ! 目的のモンは手に入ったしな!」
「チッ」
私を犯そうとしていた男は仲間の言葉に舌打ちをすると、私を見下ろした。
私はまた恐怖に震え出す。
今度は貞操の危機じゃない。
死への恐怖。
男はにんまりと笑うと作業台の脇に立て掛けていた剣をとった。
「さいなら、可愛いメイドさん?」
その言葉と共に、焼けつくような痛みが腕に、背中に、内臓に響く。
刺されたんだ、と思うと同時、拘束されていた腕は外れた。足からは力が抜け、床に崩れる。視界の端に、いつも清潔な白だったはずの料理長のエプロンが見える。あぁ、私のエプロンも、あのエプロンのように赤く染まるのかな。
お父さん、お母さん、勝手にいなくなって、あまつさえどことも知れぬ場所で死んでしまってごめんなさい。
あなたたちの元に帰りたかった。
そう思いながら、私はとろとろと誘う闇の世界へ身を投じた。
わたし、なにもわるいことしてない。
それなのに、どうしてこんな仕打ちを受けないといけないんだろう。
たぶん、誰も私を助けてくれる余裕なんてない。
調理場に相応しくないむせかえる程の血の臭いと、これからこの身に降りかかるであろう事を思って私は泣き叫ぶ。
メイドの制服である黒のワンピースはめくりあげられて、体を厨房の作業台に押し付けられる。腕は背中でひとまとめにさせられて、お尻を突き出すような体勢。背後には全身を赤に染めて、嫌な顔でにやつく男。
「いやぁ! はなしてっ! いやぁ!」
「泣いても叫んでも、誰も来ねーよ。たぶん、この屋敷で生きてんの、後はお前くらいだろうからな。良かったなー、俺に見つかって。他の奴なら問答無用で殺されてたぞ? そこのおっさんみたいにな?」
「うぅ……っ、ふ……っ、なんで、なんで料理長、殺したの……っ」
「皆殺しにするように頭に言われてんだよ。足がついたら困るしな。本当ならあんたも殺さなきゃならんが、えらい別嬪じゃねぇか。男としては、味見くらいしてやるのが女に対する誠意ってもんだろう?」
「やだぁ……っ!」
そんなおぞましい誠意はいらない!
そう叫ぼうにも、しゃくりが邪魔して叫べない。
男の赤く濡れた手が、私の大腿を這い上がってくる。かたかたと、体が震える。
下着の上から、秘部の割れ目に沿うように指が撫で付けられる。
「ひっ……!」
「さぁて、君って処女? 若く見えるから処女だと嬉しいなー」
下着がずり下げられる。
不吉な男の指が、私の大切な所をまさぐる。生暖かい赤色がぬるりと滑る。
もうやだ、もうだめ、もう───
恐怖に泣き叫ぶ事にも疲れたとき、さっきまで静かだったはずの廊下が騒がしくなった。
「あァン?」
「ジャック! 撤収だ! 見張りから黒宵が来たって連絡が!」
「なんでバレてんだ!? 警備も全員殺しただろ!?」
「知らねぇ! だが今はとりあえず逃げるぞ! 目的のモンは手に入ったしな!」
「チッ」
私を犯そうとしていた男は仲間の言葉に舌打ちをすると、私を見下ろした。
私はまた恐怖に震え出す。
今度は貞操の危機じゃない。
死への恐怖。
男はにんまりと笑うと作業台の脇に立て掛けていた剣をとった。
「さいなら、可愛いメイドさん?」
その言葉と共に、焼けつくような痛みが腕に、背中に、内臓に響く。
刺されたんだ、と思うと同時、拘束されていた腕は外れた。足からは力が抜け、床に崩れる。視界の端に、いつも清潔な白だったはずの料理長のエプロンが見える。あぁ、私のエプロンも、あのエプロンのように赤く染まるのかな。
お父さん、お母さん、勝手にいなくなって、あまつさえどことも知れぬ場所で死んでしまってごめんなさい。
あなたたちの元に帰りたかった。
そう思いながら、私はとろとろと誘う闇の世界へ身を投じた。
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