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第三章〜サードフィル〜
第七十七話「樽造り Fin」
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俺とアントンさんはまっすぐ天に向かって伸びた大木を見上げていた。本当に家のすぐそばに、樹齢百年は行っているであろう立派なオークが乱立しているのだ。家周辺を開拓して整地する為にも近場の木から切り倒す事にした。
ただ問題がある。
「これアメリカンオークなんですよね」
「なんじゃ? あめりかん?」
聞き慣れない単語にアントンさんは眉を顰めた。
あぁどうしよう、前世のアメリカから説明するのは正直だるい。かと言って適当な名前をつけると言うのも……。アメリカンホワイトオークだから、白っぽい木なのが特徴……もう色で分けよう。
「このオークは白っぽい色味が強いので白オークと命名します」
「なるほど、色で分ける気じゃな? うむよかろうて」
アントンさんも納得してくれたようだ。
「もしやショウゴの手持ちの酒樽は、全てこの白オークのものではないか?」
俺はニヤッとした。
その通り、俺が現在使用しているものは全て神様が用意してくれたアメリカンオーク、恐らくこの白オークだ。
「その通りですよ。よく分かりましたね」
「樽材の木肌を見れば分かろうもん」
確かに。
「しかし、参ったのぉ。これでは同じ種類の酒樽しか出来んではないか」
そうなんだよなぁ。アントンさんの言う通りこの白オークで樽材を用意すれば、現在熟成中のウイスキーと、似たり寄ったりな味わいを持ったウイスキーが出来上がりかねない。
と、普通は思うだろうが心配ご無用だ。
ウイスキー造りに終わりが無い所以は、材料が一つでも変わればびっくりするぐらい風味が変わってしまう所にある。神様から用意してもらった、泥炭、大麦、酵母、樽といった材料で造った第一弾ウイスキーと、現在街から購入している材料で造った第二弾のウイスキーはまるで違うものだ。
その為、それらを漬けている第二弾のウイスキー樽に眠っている原酒たちはまるで味が違うだろう。それならそれで、第一弾目のウイスキーと第二弾目のウイスキーをブレンドしてやれば良いだけの話だ。
そして目の前のこの世界の白オークも然り、神様が用意したアメリカンオークを使用した樽とどれだけ味が似通うのか検証する必要がある。なぜなら、これからはこの森を開拓した際に出る木材で、酒樽を造らなければいけないからだ。
「大丈夫ですよアントンさん。仮に同じ木材だとしても、一樽とて同じ味わいのウイスキーは出来上がりませんから」
「そうか、ショウゴがそう言うなら気合を入れて切り出していくかの」
「はい、お願いします」
「よぉし! ショウゴ! この線よりこちら側には決して立つでないぞ!」
アントンさんはそう言って足で地面に線を引いて警告してくれた。
白髪のドワーフは両手に唾を吹きかけ馴染ませた。
そしてそばに置いてあった、愛用の大振りの斧を両手に握りしめ振り上げた。なんていう力持ちなんだろうか、下手したらアントンさんの体重近くありそうな斧を、あんなに軽々と振り上げて、振り下ろしている。
斧を容赦無く叩きつけられた白オークは、木片を辺りに撒き散らしながら、金属と生っぽい木材がぶつかり合う音を森中に幾度も響かせた。
そして数十回とその音が鳴り響くと、突然大木がへし折れるような音が鳴り響き始めた。
「倒れるぞぉ!!!」
アントンさんの野太くも鋭い警告が森中に響き渡った。凄い声量だ。
その大声に負けない轟音を轟かせながら、四階建てのビルほどの背丈がある白オークが、森の地面に少し弾みながら倒れ込んだ。たくさんの葉を散らし、少々の土煙が辺りを舞った。
「すげぇ!!」
俺は興奮していた。これほど大きな大木が、目の前で倒れていく様はそうそうお目にかかれない。
「ふむ、ざっとこんなものよ」
手の甲で額から吹き出した汗を拭いながら、アントンさんはそう言った。流石のドワーフも、これほどの大木を切り倒すのには骨が折れるようだ。
「お疲れ様です。さすがの手際でした!」
「これくらい朝飯前じゃて」
「今のは一体何の音だ!!」
そこへティナの驚きに満ちた大声が聞こえてきた。
その手には例の烈火の乙女が握られていた。まさに臨戦態勢といった様子だった。
ティナは俺を見つけて、次いで切り倒された大木を見やり、再びこちらをみた。すると早足でこちらに迫ってきた。俺はそんな彼女の移動中に状況を説明しようとした。
「ティナ大丈夫だよ。今アントンさんが酒樽に使う木を切り倒してくれていたっ--
って、ぇえ?! 何か怒ってる?!」
ティナの鋭い目つきと怒り肩が、彼女の憤怒を如実に物語っていた。しかも、歩く動きに合わせて突き出されるレイピアの先端がギラギラと光って怖い。
俺の目の前まで来た彼女はレイピアを振り上げた。し、死ぬのか?! ここで!!? 俺は突然の死を覚悟して目を瞑った。しかしその直後、地面に何かが突き刺さる音がして、目を開けようと思ったら……。
俺は柔らかい何かの谷間にいた。あぁこの感触には覚えがある。俺は彼女の腰に手を回し強く体を引き寄せた。
「馬鹿者っ、木を切り倒している側で防護魔法はおろか、鉄兜も被らないとは何かあったらどうするのだ!! 一体私はどこまで気の抜けた主人の面倒を見ねばならんのだ」
ティナの声色には心痛な響きがこもっていた。
先程の事件のせいで、俺とティナの間には確かにわだかまりがあった。それが大木のおかげで消し飛んだ。心配をかけてしまった。そうだよな、ヘルメット、安全第一だよな。気分が高揚していてそんな事に気付けなかった。
やっぱり俺ってダメなやつ……。俺にはティナが要るんだなぁと思った。
「ごめんなさい。いつも心配かけて」
目を開くと先程の猛った瞳をしたティナではなく、柔和な表情をした彼女がいた。そして烈火の乙女は地面に突き刺さっていた。刀身が真っ赤に燃え上がっていて、恐らくだがぞんざいに扱われて怒っているのだろう。ザマァみろ。
何となく勝ち誇った気分になった。ティナはお前より俺が大事なんだよって。
「おいこの老ぼれ! 少しはショウゴの安全に気を配れ無いのか?」
「何じゃとぉこのアバズレダークエルフがっ! ワシがそんなヘマをする訳がなかろう!」
あちゃー、ティナは俺を抱きしめたままアントンさんに啖呵切り始めたよ。全くもぅ……猛犬ぶりは相変わらずだなぁ。とはいえ手を出してないだけ進歩かな。
俺は苦笑いをしながら、ティナの腕をすり抜けて二人を諌めた。
とまぁこんな感じで無事白オークを切り出せた。その後はアントンさんの土魔法で地面を隆起させて大木を転がして移動させた。アントンさん曰く、オークの木の皮を削ぎ取る刃を作っていないから、それまで作業は一時中断らしい。
「了解です。あとは任せても大丈夫ですか?」
「もちろんじゃ。このまま木の皮を剥ぎ辺材と心材に分けてしまって良いか?」
「えぇ、もちろんです。辺材は虫食いが酷いと思うので、ある程度は仕分けて燃料にしてしまっても構いません」
辺材とは木の皮を剥いた時に露わになる部分の木材のことで、心材は年輪の中心部分に近い所を指す。木の皮に近い所を樽材にする事はあまりない。ヤニの匂いがキツいからだ。
また年輪の密度が高い心材部分を樽材に使うと、木材の密度が高いためにコクのあるウイスキーが造り出される。しかし、それには長い時間を要する為、十八年ものや二十四年もの、それ以上の長期熟成を目指す原酒は心材を使った酒樽で熟成されるのだ。
このように木材一つとってもウイスキーの味は大きく変わってしまうのだ。
「了解じゃ、出来上がった樽材は雨風にさらして自然乾燥させるんじゃな?」
「はい、ただ少しだけ樽材を別に分けておいてもらって良いですか? 魔法の実験に使いたいので」
「あぁ、分かった」
そう言うとアントンさんは、運び出した巨木を観察し始めてぶつぶつ言い出した。既に職人の思考に没入してしまっているようだ。
とそこへティナの控えめな呼びかけが聞こえた。
「ショウゴ」
「ん? なにティナ」
ティナの方を振り返り見つめると、ティナは少し金色の瞳を泳がせた。
「時空魔法の事を話したのか?」
「あぁ、うん全部話したよ」
そういえばティナにしかこの事は話して無かったな。
「そっ……そうか。まぁあれだ! 私としてはショウゴがよければそれで良いのだが……あまり秘密をベラベラと話さない方がいいのでは無いか?」
何とも歯切れが悪い様子だった。どうしたんだろうか、いつもの武人然としたティナじゃない。これはどちらかと言うと男女の絡みに慣れていない時の初心なティナだ……ははぁん~。
俺はまたしてもニヤケてしまった。嬉しくて。
「二人だけの秘密にしておきたかったのかな、ティナ~」
「ッ!? た、戯け! 誰がそのような事を申したのだ! 私はただ! ショウゴ、お前を守る騎士として警備上の警告をしたに過ぎない!」
ティナが拗ねれば拗ねるほど俺の笑みは深くなっていった。
「今日はやけに素直じゃ無いねぇ。アントンさんと仲良しなのが気に食わなかった?」
「そ、そんな訳なかろう! あんな耄碌ジジイなど私の敵ではない!」
どうやら図星のようだった。怒りを露わにして、なおかつ流暢な口答えが墓穴を掘っていた。
「はい、はいそうだね」
「むっ、本当だぞ! 私が本気を出せばあんなジジイは問題でったないし! ショウゴの頭からユリアンヌの事だって追い出せるのだぞ!」
はははっ、嫉妬剥き出しのティナを見ると、本当に男を知らない十代の少女だよね。
「それは厳しいんじゃ無いかなぁ~」
「なっ?! それはどう言うことだ!」
「さぁてどう言う意味でしょうか!」
俺は少し戯けたように彼女に言い放つと背を向けて逃げる事にした。
「あっ、待て! ショウゴ!」
俺は家の方へと走り出した。
ティナは地面に突き刺したままの、怒り心頭といったご様子の愛剣を取りに戻りながら追いかけてきた。こうしてこの日は色々ありつつも平穏で充実した、一日を過ごせたのである。
ただ問題がある。
「これアメリカンオークなんですよね」
「なんじゃ? あめりかん?」
聞き慣れない単語にアントンさんは眉を顰めた。
あぁどうしよう、前世のアメリカから説明するのは正直だるい。かと言って適当な名前をつけると言うのも……。アメリカンホワイトオークだから、白っぽい木なのが特徴……もう色で分けよう。
「このオークは白っぽい色味が強いので白オークと命名します」
「なるほど、色で分ける気じゃな? うむよかろうて」
アントンさんも納得してくれたようだ。
「もしやショウゴの手持ちの酒樽は、全てこの白オークのものではないか?」
俺はニヤッとした。
その通り、俺が現在使用しているものは全て神様が用意してくれたアメリカンオーク、恐らくこの白オークだ。
「その通りですよ。よく分かりましたね」
「樽材の木肌を見れば分かろうもん」
確かに。
「しかし、参ったのぉ。これでは同じ種類の酒樽しか出来んではないか」
そうなんだよなぁ。アントンさんの言う通りこの白オークで樽材を用意すれば、現在熟成中のウイスキーと、似たり寄ったりな味わいを持ったウイスキーが出来上がりかねない。
と、普通は思うだろうが心配ご無用だ。
ウイスキー造りに終わりが無い所以は、材料が一つでも変わればびっくりするぐらい風味が変わってしまう所にある。神様から用意してもらった、泥炭、大麦、酵母、樽といった材料で造った第一弾ウイスキーと、現在街から購入している材料で造った第二弾のウイスキーはまるで違うものだ。
その為、それらを漬けている第二弾のウイスキー樽に眠っている原酒たちはまるで味が違うだろう。それならそれで、第一弾目のウイスキーと第二弾目のウイスキーをブレンドしてやれば良いだけの話だ。
そして目の前のこの世界の白オークも然り、神様が用意したアメリカンオークを使用した樽とどれだけ味が似通うのか検証する必要がある。なぜなら、これからはこの森を開拓した際に出る木材で、酒樽を造らなければいけないからだ。
「大丈夫ですよアントンさん。仮に同じ木材だとしても、一樽とて同じ味わいのウイスキーは出来上がりませんから」
「そうか、ショウゴがそう言うなら気合を入れて切り出していくかの」
「はい、お願いします」
「よぉし! ショウゴ! この線よりこちら側には決して立つでないぞ!」
アントンさんはそう言って足で地面に線を引いて警告してくれた。
白髪のドワーフは両手に唾を吹きかけ馴染ませた。
そしてそばに置いてあった、愛用の大振りの斧を両手に握りしめ振り上げた。なんていう力持ちなんだろうか、下手したらアントンさんの体重近くありそうな斧を、あんなに軽々と振り上げて、振り下ろしている。
斧を容赦無く叩きつけられた白オークは、木片を辺りに撒き散らしながら、金属と生っぽい木材がぶつかり合う音を森中に幾度も響かせた。
そして数十回とその音が鳴り響くと、突然大木がへし折れるような音が鳴り響き始めた。
「倒れるぞぉ!!!」
アントンさんの野太くも鋭い警告が森中に響き渡った。凄い声量だ。
その大声に負けない轟音を轟かせながら、四階建てのビルほどの背丈がある白オークが、森の地面に少し弾みながら倒れ込んだ。たくさんの葉を散らし、少々の土煙が辺りを舞った。
「すげぇ!!」
俺は興奮していた。これほど大きな大木が、目の前で倒れていく様はそうそうお目にかかれない。
「ふむ、ざっとこんなものよ」
手の甲で額から吹き出した汗を拭いながら、アントンさんはそう言った。流石のドワーフも、これほどの大木を切り倒すのには骨が折れるようだ。
「お疲れ様です。さすがの手際でした!」
「これくらい朝飯前じゃて」
「今のは一体何の音だ!!」
そこへティナの驚きに満ちた大声が聞こえてきた。
その手には例の烈火の乙女が握られていた。まさに臨戦態勢といった様子だった。
ティナは俺を見つけて、次いで切り倒された大木を見やり、再びこちらをみた。すると早足でこちらに迫ってきた。俺はそんな彼女の移動中に状況を説明しようとした。
「ティナ大丈夫だよ。今アントンさんが酒樽に使う木を切り倒してくれていたっ--
って、ぇえ?! 何か怒ってる?!」
ティナの鋭い目つきと怒り肩が、彼女の憤怒を如実に物語っていた。しかも、歩く動きに合わせて突き出されるレイピアの先端がギラギラと光って怖い。
俺の目の前まで来た彼女はレイピアを振り上げた。し、死ぬのか?! ここで!!? 俺は突然の死を覚悟して目を瞑った。しかしその直後、地面に何かが突き刺さる音がして、目を開けようと思ったら……。
俺は柔らかい何かの谷間にいた。あぁこの感触には覚えがある。俺は彼女の腰に手を回し強く体を引き寄せた。
「馬鹿者っ、木を切り倒している側で防護魔法はおろか、鉄兜も被らないとは何かあったらどうするのだ!! 一体私はどこまで気の抜けた主人の面倒を見ねばならんのだ」
ティナの声色には心痛な響きがこもっていた。
先程の事件のせいで、俺とティナの間には確かにわだかまりがあった。それが大木のおかげで消し飛んだ。心配をかけてしまった。そうだよな、ヘルメット、安全第一だよな。気分が高揚していてそんな事に気付けなかった。
やっぱり俺ってダメなやつ……。俺にはティナが要るんだなぁと思った。
「ごめんなさい。いつも心配かけて」
目を開くと先程の猛った瞳をしたティナではなく、柔和な表情をした彼女がいた。そして烈火の乙女は地面に突き刺さっていた。刀身が真っ赤に燃え上がっていて、恐らくだがぞんざいに扱われて怒っているのだろう。ザマァみろ。
何となく勝ち誇った気分になった。ティナはお前より俺が大事なんだよって。
「おいこの老ぼれ! 少しはショウゴの安全に気を配れ無いのか?」
「何じゃとぉこのアバズレダークエルフがっ! ワシがそんなヘマをする訳がなかろう!」
あちゃー、ティナは俺を抱きしめたままアントンさんに啖呵切り始めたよ。全くもぅ……猛犬ぶりは相変わらずだなぁ。とはいえ手を出してないだけ進歩かな。
俺は苦笑いをしながら、ティナの腕をすり抜けて二人を諌めた。
とまぁこんな感じで無事白オークを切り出せた。その後はアントンさんの土魔法で地面を隆起させて大木を転がして移動させた。アントンさん曰く、オークの木の皮を削ぎ取る刃を作っていないから、それまで作業は一時中断らしい。
「了解です。あとは任せても大丈夫ですか?」
「もちろんじゃ。このまま木の皮を剥ぎ辺材と心材に分けてしまって良いか?」
「えぇ、もちろんです。辺材は虫食いが酷いと思うので、ある程度は仕分けて燃料にしてしまっても構いません」
辺材とは木の皮を剥いた時に露わになる部分の木材のことで、心材は年輪の中心部分に近い所を指す。木の皮に近い所を樽材にする事はあまりない。ヤニの匂いがキツいからだ。
また年輪の密度が高い心材部分を樽材に使うと、木材の密度が高いためにコクのあるウイスキーが造り出される。しかし、それには長い時間を要する為、十八年ものや二十四年もの、それ以上の長期熟成を目指す原酒は心材を使った酒樽で熟成されるのだ。
このように木材一つとってもウイスキーの味は大きく変わってしまうのだ。
「了解じゃ、出来上がった樽材は雨風にさらして自然乾燥させるんじゃな?」
「はい、ただ少しだけ樽材を別に分けておいてもらって良いですか? 魔法の実験に使いたいので」
「あぁ、分かった」
そう言うとアントンさんは、運び出した巨木を観察し始めてぶつぶつ言い出した。既に職人の思考に没入してしまっているようだ。
とそこへティナの控えめな呼びかけが聞こえた。
「ショウゴ」
「ん? なにティナ」
ティナの方を振り返り見つめると、ティナは少し金色の瞳を泳がせた。
「時空魔法の事を話したのか?」
「あぁ、うん全部話したよ」
そういえばティナにしかこの事は話して無かったな。
「そっ……そうか。まぁあれだ! 私としてはショウゴがよければそれで良いのだが……あまり秘密をベラベラと話さない方がいいのでは無いか?」
何とも歯切れが悪い様子だった。どうしたんだろうか、いつもの武人然としたティナじゃない。これはどちらかと言うと男女の絡みに慣れていない時の初心なティナだ……ははぁん~。
俺はまたしてもニヤケてしまった。嬉しくて。
「二人だけの秘密にしておきたかったのかな、ティナ~」
「ッ!? た、戯け! 誰がそのような事を申したのだ! 私はただ! ショウゴ、お前を守る騎士として警備上の警告をしたに過ぎない!」
ティナが拗ねれば拗ねるほど俺の笑みは深くなっていった。
「今日はやけに素直じゃ無いねぇ。アントンさんと仲良しなのが気に食わなかった?」
「そ、そんな訳なかろう! あんな耄碌ジジイなど私の敵ではない!」
どうやら図星のようだった。怒りを露わにして、なおかつ流暢な口答えが墓穴を掘っていた。
「はい、はいそうだね」
「むっ、本当だぞ! 私が本気を出せばあんなジジイは問題でったないし! ショウゴの頭からユリアンヌの事だって追い出せるのだぞ!」
はははっ、嫉妬剥き出しのティナを見ると、本当に男を知らない十代の少女だよね。
「それは厳しいんじゃ無いかなぁ~」
「なっ?! それはどう言うことだ!」
「さぁてどう言う意味でしょうか!」
俺は少し戯けたように彼女に言い放つと背を向けて逃げる事にした。
「あっ、待て! ショウゴ!」
俺は家の方へと走り出した。
ティナは地面に突き刺したままの、怒り心頭といったご様子の愛剣を取りに戻りながら追いかけてきた。こうしてこの日は色々ありつつも平穏で充実した、一日を過ごせたのである。
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