本当の最強チートは妹のパンツをテイスティングすることだった件。

加賀いるか

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10話「アルシャ」

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「募集の紙を見てきたのだが、まだパーティメンバーの募集はしているか!?」

訪問者はガバッと顔を上げながらそう叫んだ。
その訪問者は綺麗な金髪のツーサイドアップに青い瞳、先ほどまではうつむいていたせいか気付かなかったが、俺より高いであろう背丈。
そして何と言ってもボォンッ!  キュッ ボォン!  と効果音がつきそうなほどメリハリのあるムチムチなドエロい体つきをしていた。

「……」

「え、と、あの……そんなに見られると恥ずかしいというか……」

「兄さん?」

「……っ!?  あ、はい!  募集してますよ!  パーティ加入希望ですか?」

どうやら無意識に体を舐め回すように見ていたらしく、早希に咎められてからやっと本題に入ることができた。
つーかエロ過ぎ。この世界に来てから最エロなんじゃねえかってくらい体つきエロ過ぎ。

「そっ、そうだ。わたしの名はアルシャ。職業はパラディンをしている。前衛職を募集していると書いてあったので、ここへ来た次第だ」

おお!  パラディンか!  てことは盾役なんかお茶の子さいさいだな!

「ちょっとソウタ上級職のパラディンじゃない!  これはしっかり抱き込まないとだめよ!」

「これでやっと兄さんがおとりにならずにすみますね……!  今までは、いつ攻撃を食らってしまうかひやひやしてましたから……」

アルシャの職業を聞いたふたりが俺の後ろで湧き立つ。
わかるぞ、上級職の応募だもんな。これで戦闘がグッと楽になるぞ……!

「まあ待て、慌てるなふたりとも。まずはクエストについて来てもらって、実力を見せてもらおうではないか」

「ゔっ……」

「ん?」

今なんかアルシャさんの方から聞こえなかったか?

「ゔっ……ゔぉっほん!  仕方ない!我が力を見せつけるためには実際に戦ってみせるのが一番だろう!  さあ、討伐に行こうではないか!」

なんだ、咳払いしただけか。
じゃあとりあえず手近な討伐クエストでも……
お、これなんかいいんじゃないか?

「よし、じゃあ『軍隊アリの討伐』にしよう。強さも手頃だし、数も多いしな」

「あ……ああ!  任せてもらおうではないか!」

「あれ?  アルシャさん、震えてますが大丈夫ですか?  風邪ならあまり無理をしない方が……」

「サキったら水をさすようなこと言わないの!  武者震いに決まってるでしょ!  なんたってパラディン様よ!」

「そ、そうだ!  この震えは武者震いだ!  ……大丈夫、大丈夫、やれる、やれる……」

最後の方、何を言ってるかはうまく聞こえないが、きっと
「こんなクエスト私には簡単すぎるな。まあ実力を見せるためだ、つきあってやるとするか。やれやれ……」
とでも言ってるのだろう。
頼もしいぜ!





「じゃあ頼みます先生! 先生が一カ所に集めたモンスターの中にうちのハイウィザードが『メテオ』撃ちますんで、よろしくお願いします!」

「う、わ、わかった」

俺たち4人は軍隊アリ討伐のため、依頼された場所へ来ていた。
パラディンの先生は未だに震えている。
武者震いマジかっけえな。尊敬するぜ!

「っと、軍隊アリのお出ましだ」

軍隊アリは菜食らしく、よく町の郊外にある畑に出没するらしい。
駆除しようにもどうも凶暴で、1体が人間の子供ほどの大きさで一般人には荷が重い。
その食害がひどく、今回は農家の方々がお金を出し合って冒険者ギルドに依頼を出したとのことだ。
今回クエストに入る前に依頼者に会って来たが、メンバーの職業を聞いたらとても喜んでいた。
俺の職業を聞いたときだけはちょっと微妙な顔をしていたが。
と、そんなことを考えていると、アルシャさんが何やらぶつぶつ呟いているのが聞こえてきた。

「っ……大丈夫だ、やれる、私は強い、私は強いっ……!  『フォーカス』!!」

『フォーカス』。アルシャはそう唱えた。
途端、軍隊アリの集団が一斉にアルシャさんの方を向き、ギチギチギチ、と歯を鳴らした。
なるほど、囮魔法か……!
これならわざわざモンスターを挑発しなくても、効率よくこちらに注意を向けることができる!

「っ、来い!  穢らわしいモンスターども!!  貴様らなどわたしの剣のサビにしてくれる!!」

自分にモンスターが注目したことを確認したアルシャさんは、まるで親の仇と相対したような恨みのこもった言葉を発した。

「なんだかモンスターに対してすごく恨みがあるみたいね。親でも殺されたのかしら?」

うわ、エアと同じことを考えちまった!  やめてくれ俺はアホじゃない!

「わからん。でも戦闘は始まった。とにかく俺たちは何もできないんだから見守ろうぜ。早希はすぐにでもメテオを撃てるように準備しておいてくれ」

「はい!」

軍隊アリが「キキキキキキ」「キシャー」などと発しながらアルシャに近づいていく。

「ひっ……」

すると、アルシャさんはその場から一歩下がり……

「ひいいいいいっ、やっぱ無理だああぁあー!」

こっちに、向かって走ってきた!?

「えっ!?  えっ!?  えっ!?  なんかこっちに向かって走って来たんだけど!  軍隊アリを連れて走ってきたんだけど!」

「ええええ!?  ど、どうしたんだアルシャさん!?  ちょ、ま、こっちに来ないでくれ!」

俺は今にも泣きそうな顔でこちらに走ってくるアルシャさんにそう言うと、アルシャさんは耳を疑うようなことを言ってきた!

「わ、わ、わたしはとても臆病なんだ!!  モンスター怖い!!  ソウタさん、なんでもするから助けてください!!」

「まじかよおおおおおおお!?」

「いやー!  やめてアルシャこっちにこないでえええええ!!」

阿鼻叫喚。そんな言葉がピッタリ当てはまるような状況になってしまった俺たちは、迫り来るアルシャさん(と軍隊アリ)から必死に逃げていた。
今までの全部フラグかよぉ!?

「メテオを撃つ準備が完了したと思ったら、なんですかこれは……」

少し離れた安全なところで早希がとても不思議そうな顔でこちらを眺めていた。
クソァ!!  結局俺がおとりになるしかねえのかよ!!

「アルシャさん、俺に『フォーカス』をかけてくれ!  俺がなんとかする!!」

「ひい、ひい、わ、わかった!  『フォーカス』!」

アルシャさんが俺にフォーカスをかけた瞬間、軍隊アリの攻撃対象が俺に移り変わった!

「オラクソアリども、かかってこいや!  『アイス』!」

俺は一番近くにいた軍隊アリに向かって氷結魔法を放った……が、動きを鈍くしただけであまり効いていないようだ!

「くそっ、威力が足りない!」

「兄さん、モンスターから離れて下さい!」

「分かってる!  ……よし!  ここだ!  『ネット』!」

俺は目標の地点に軍隊アリを誘導すると、あらかじめ仕掛けておいた罠魔法を解放した。
すると、地面から大きな網が現れ、全ての軍隊アリをその場に釘付けにした。

「今だ早希!  やれえっ!!」

「はいっ!!  『メテオ』ーーッ!!」

そして俺の罠によって捉えられていた軍隊アリは、早希が放ったメテオによって全て消滅させられた。
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