天空の蒼鷲 ーされど地に伏す竜 ー

すだちかをる

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デトゥック村

囚われの身-Ⅰ-

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 荷馬車に揺られながら二人こいつらの目的地に着く間。
 俺は二槍の少女に何度も質問した。
 此処は何処なのか。
 覇王レオンとは誰なのか。
 そもそも、二人おまえらは何者なのか・・・
 他にも湧き出る疑問を幾つもぶつけ捲くし立てた。
 しかし二槍の少女は何も応えず、代わりに奥から煩わしそうな声が飛んでくる。
 
「黙ってろ、この小便野郎クソヤロウがっ!」

 見ると大剣の少女が振り返り、鋭い眼光でこちらを睨んでいた。
 けれど直に二槍の少女に咎められ、渋々前に向き直る。
 数泊の沈黙が流れた。
 不意に二槍の少女が「失礼します」と前置いた上で、突然、俺のシャツの右袖を強引に捲り上げた。
 訳が分からず呆然とする俺に、二槍の少女から安堵の溜息が零れる。
 
「良かった。とりあえず、SAWの者ではないようですね」
  
 ・・・だから、SAWって、何なんだよ!
 俺は理由を尋ねた。
 しかし「これも機密事項ですので」と微笑み返すだけで何も話してはくれない。
 代わりに奥から大剣の少女の「コイツ、ぜってぇ後でブッ飛ばす」と大きな独り言が聞こえ、
 俺の背筋をひやりとさせた。
 ・・・とりあえず。
 身の安全は保障すると約束してくれたので、俺もこれ以上SAWなる者について聞くのを止めた。
 するとそれからは、二槍の少女が俺の質問にある程度応えてくれるようになった。
 時折『機密事項』が出てくるが、幾つかの質問に嫌な顔一つせずに教えてくれた。
 結論から言うと、此処は俺の知る世界ではなかった。
 どこをどう間違ったか知らないが、どうやら別世界のようだ。
 何故こうなったのか。
 記憶を遡ろうとすると、何故か後頭部の瘤から鋭い痛みが生まれた。
 ・・・現在いまは考えるのは止めよう。
  最初は驚いたが、二槍の少女は話せば分かる性格タイプのようだし、
 「ナルシャと気軽に呼んで下さい」と人を気遣う心配りもなかなかだ。
  まだ拘束はされているものの、身の安全は確保したし、言語も通じる。
  とりあえず今は、彼女に付いていく他に選択肢はない。 
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