幽霊さんと私

アン

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今日は雪が降って、とても寒い日になった
だから心配なの…
幽霊さんは風邪引かないのかな?
家に入れてあげたいけど、お母さん達に怒られちゃうから…
なんにも出来ないんだ、ごめんね

「あのね、寒かったら此処に来なくても良いよ?
寂しいけど、風邪になっちゃう方が嫌だもん」

我儘を言ったら、嫌われちゃうし、もう会いに来てくれないでしょ?
だから私は、悪い子になりたくないの

「お兄さんのお家は?」

『…』

「えへへ、秘密だよね
良いなぁ…秘密ってなんだか格好良いよね」

答えてくれないのは分かってる
それでも良いよ、楽しいから

「あのね、この部屋も秘密基地なんだよ!
お母さんとお父さんがね、上手に隠れてたら褒めてくれるの」

悲しませたくないの
がっかりさせたくないの
だからね、私はいっぱい考えて生きてるんだ

…幽霊さんが怒ったような気がした
いつもより怖い目をして、こっちを見てる

「あっ…ごめんなさい
私、悪い事、しちゃった…?」

『…いや』

「え、あ、」

『なあ…君の両親は良い奴か?』

「う、うん!
ちゃんといっぱい褒めてくれるし、優しいよ」

喋ってる…!
私、お友達と喋ってる!
嬉しいなぁ…まさかこんなに急に夢が叶うなんて!

『君をそんな所に閉じ込めている癖に?』

「ううん、違うよ
ここは私の秘密基地だから、自分で入ってるんだよ」

『…最後に家から出たのはいつだ』

「うーんと…すごく前だよ
だって私可愛くないもん、あんまり人に見られちゃいけないんだって!」

『…碌でもないな』

「あっ…ごめんなさい」

『君じゃない
親の方が碌でもないと言ったんだ』

「お母さん達を悪く言わないで!
それは…怒ると怖いけど、いっぱい褒めてくれるもん!」

真夜中なのに大声を出して…私は悪い子だ
でも、だって、こんな事言われちゃったら…

『よく分かった
時が経とうが、娘が生まれようが…
あいつらは何も変わっていない、悪い意味で』

「もう!
なんでそんな意地悪言うの?
悲しいよ…」

『目を覚ませ
あいつらから離れた方が良い
僕みたいになってからだと、もう手遅れだ』

「いいよ、もう…」

幽霊さんなんて、大っ嫌い…もうお友達じゃない
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