幽霊さんと私

アン

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溶解エンド

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「…此処で待たせて貰っても良いか?」

許すつもりは無い
かと言って、全てを忘れる事も出来そうにない
もし、あいつらの姿を見る事があれば…
その時、自分はどうなるのだろう

分からない
それが亡霊という存在だ

だが、それ以上に…

この可哀想な子供を一人にしておきたくなかった
欠片程残っている善意か、同じく被害者である同族意識か
…案外、寂しかったのかも知れない

「うん!
勿論良いに決まってるよ!
それじゃ…待ってる間、一緒に遊ぼ!」

「そうだな、一緒に待とう」

「んふっ…嬉しいなぁ
いっぱいお話考えてあるんだよ
お姫様でしょ、魔法使いでしょ、名探偵でしょ
えっとね、あとね…」

「嗚呼、沢山聞かせてくれ…脚本家さん」

戻る事の無い相手を待って
そんな時間…子供に耐えられるのだろうか
自分は兎も角…この子は両親以外を知らない
両親が、世界そのものなんだ

僕がどれ程仲の良い友人だとしても
例え、間接的に親と呼ばれる立場であっても
あんなごみみたいは奴等でも…代わりは居ない

その現実に耐え切れず、いつか壊れてしまうのではないか
その時、僕がどれだけ演じられるのか
この子が求めるものに限り無く近いものを…与える事が出来るだろうか

「えっと、じゃあね…冒険のお話にしよ!
私が宝物を探すからね、幽霊さんが毒蛇をやっつけるの!」

「ははっ…それは責任重大だな」

「んふふっ!
えっとね、最初はね、屋根裏に魔法の地図があって…」
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