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首無し騎士
しおりを挟む彼女は首無し騎士…俗に言うデュラハンです
ええ、珍しいでしょう?
騎士としても、デュラハンとしても、女性であるのは
国で二番目に偉い貴族の、三番目の娘として生まれ、誰かの四番目の妻として生きる
逃げたかったのか、認められたかったのか…彼女は武器を手に取りました
数多の戦場を駆け巡り、無数の首を討ち取り
強敵を前にしても逃げず
故国に勝利を齎す彼女は、いつしか英雄として認められてゆきました
国で一番の将軍になれたのです
嗚呼、だけど
なんという皮肉か
首を刈れば刈る程、その地位は高まり
もう何処にも戻れず、逃げる事は叶わなくなる事を
敗戦国から見れば、英雄などではなく…ただの侵略者である事を
知る由も無かった彼女は、破滅への道を駆け抜けました
敵国全てを制圧し、首を刈る必要が無くなると、彼女は国内の悪人の首を刈りました
悪人さえ居なくなると、対立貴族の首を刈りました
怖い怖い、粛清人の完成です
さあ、こうなってしまうと、もう何処にも居場所はありません
刈る首が無くなると、彼女は自らの首を『逆賊』として国に差し出しました
地位も首も失い、彼女を表すものは何一つ無くなってしまいました
こんなに空虚で報われない者が、天国とやらに行ける筈もありませんね
故に、死して尚彼女は自らの存在意義を求め、唯一上り詰めた…首刈りの将軍で在り続けているのです
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