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不思議の国のアリス
しおりを挟むあまーいお菓子に、あったかい紅茶
のんびりお昼寝をしたって、誰にも怒られない、夢のような毎日
でもね、それがずっと続いたら流石に飽きてきちゃって
どうしたらお家に帰れるんだろう
なんて言ったって、ここは不思議の国
訳が分からないのは、頭が狂ってない証拠
いっそ、おかしくなれた方が良かったのかもね
喋る白兎の事、お母さんに教えてあげるの
透明な猫の事、お父さんに教えてあげるの
怒りんぼな女王の事、お姉ちゃんに教えてあげるの
いっぱい、いーっぱい、教えてあげたい事ばっかり
それなのに、いつまで経っても目が覚めないものだから
あんまりに退屈で、他にもいっぱい遊んじゃった!
あのね、怒りんぼな女王を倒したの
それからね、ついにあのお茶会を終わらせたの
口煩い動物達も、みんなみんな居なくなっちゃった
だって私が新しい女王様だから!
これは私の夢なんでしょう?
それなら、どんな我儘だって許されるわ
「えっとね、この者の首を刎ねてしまいなさい!
なんちゃって♪」
ねえ見て、私こんなに凄い人になれたんだよ
早くみんなに教えてあげないと
だって此処には、もう誰も
誰も、話し相手なんて居なくなっちゃったから
ふぅ、私遊び疲れちゃった
早くお家に帰りたいな
今日の夕食は確かスープだって言ってたっけ
急がなきゃ、全部お姉ちゃんに取られちゃうわ
お家に着いたら、居眠りしないで難しい話もちゃんと聞いてあげる
戸棚に隠して置いた、とっておきのクッキーもみんなに分けてあげる
それから、えっと、そう!
寝る前にはおやすみって言わなきゃ
今更かも知れないけど、この世界、私には荷が重過ぎるの
女王様なんて柄じゃないし
私はアリス、普通の女の子
私はアリス、道を外れてもう戻れない
気付かないふり、子供のふりで、みっともなく物語にしがみ付いて来た
こんな結末は嫌だもの
それなら、ハッピーエンドが来るまで終わらせなければ良いと思ったから
でも最近ね、少し考えてみたの
あんまりに欲張り過ぎたんじゃないかって
ふふっ、それもそうよね
もう御伽噺を信じるような歳でもないし
私はこの悪夢から抜け出せればそれで良い
もう楽になりたいの
お母さん、お父さん、お姉ちゃん
みんなはちゃんと私の事を愛してくれていたのに
最後まで我儘でごめんなさい
なんて言ったって、此処は不思議の国
王も国民も居なければお終いなんだから
さあ、これが最後の一人
「この首を刎ねてしまいなさい」
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