SCRAP

都槻郁稀

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本編 18.12 - 19.03

コピペ/353/現代文芸

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 外でキジバトが鳴いている。
 また、朝が始まる。

 朝日の次に起こしに来るキジバトに、心地よかった夢の中から乱雑に現実に引き戻される。
 目を開け、朝日のせいで夢に戻る意欲が減る。気持ちよかったはずの、まだ暖かい寝床の誘惑を振り切って、部屋から出る。
 報道番組の司会の声を聞き流しながら朝食を食べる。
 雑に積まれた書物の山から、塾のテキストとノートを引っ張り出して、バッグに突っ込む。

 自転車のペダルを足の裏で押し下げながらハンドルでバランスをとる。同じ動作の繰り返しを40分続ける。
 授業を受け、授業を受け、授業を受け……。

 夕方、釣瓶落としよりも早く沈む太陽と競走しながら家へと急ぐ。

 何もかも昨日と同じ1日。全てが昨日のリプレイ。

  昨日、昨日、今日、そして明日。

 コピーし、ペーストされた1日を、今日も僕は送っていく。
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