SCRAP

都槻郁稀

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本編 18.12 - 19.03

特別/523/随筆・詩

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もう、何もしたくなくなってきて。

けど、何もしないと、何もできなくなりそうで。

何もできないまま一生を終えてしまいそうで。

怖くて。



何もできないまま一生を終えて。

誰にも知られないまま消えて。

何もなかったことになって。

いなかったことにされて。

悲しくて。



でも、なにかするほどの気力はなくて。

何ができるような勇気もなくて。

勇気とか、上澄みの言葉に踊らされている自分がいて。

呆れて。 苦しくて。 寂しくて。



何もしないまま今日を過ごして。

明日から頑張るとか言ってる自分がいて。

でも、何もできないまま、しないまま明日も終わって。

何も為さないまま、消えてゆく。



誰かみたいに何かして、目立ったり名を残したりとかしてみたいけど。

自分の天井も、底も知れていて。

どうせ無理だ、と嘆く。

この狭い箱の中で、じっと籠もっているのが妙に安心感を与えてくれて。

そんな巣を壊すのが、安息地を捨てるのが怖くて。

でも捨てたくて。



何かしたいけど、何もできない。



為せない自分に腹は立たないけど。

為す勇気を持たない自分に腹は立つ。

七十億人が一度に目立つ方法なんてないから。

上を見たらキリがないから。

だから。



平穏な、単調の、普通が欲しい。

特別なんていらない。



特別になるなんて

そんな努力、どうせできない。
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