SCRAP

都槻郁稀

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本編 18.12 - 19.03

drama/196/

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静まり返った会場が暗くなる。透き通った緊張感の中、次に差す光はセピア調で、目の前の空間は、途端にスクリーンの向こう側へ、液晶の奥の世界へと変貌する。

カメラを通したようなステージに、人が立ち、動き、話す。知らない誰かの人生の切り抜きが広がる。

ダイブした先の世界は感動的なものもあれば喜劇性に満たされたものもある。

演劇より面白いものを、私は知らない。

そして、この感動を言い表せない自分に絶望する。
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