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第19話 協力の約束
しおりを挟む「奴隷は今、世界法で違法ってことになってる。そんなことをやってる奴らが約束を守るのか?」
例えフリーダが奴隷商に五万枚の金貨を渡したとして、本当に彼女の妹たちが解放されるという保証はない。妹たちを守るために結んだという魔法の契約には売買のことが盛り込まれていないというのが問題だった。
「それくらいは私も考えている。大丈夫だ、何とかしてみせるさ」
フリーダの目には不安が見られなかった。
それが余計に俺の中の懸念を大きくする。
まもなく目標が達成できるということで、彼女は浮足立っているんじゃないだろうか? いつもの冷静なフリーダではなくなっている可能性がある。
俺がそんなことを言っても、今の彼女には受け入れてもらえないと思う。
「ちなみにフリーダはこれだけの金貨を集めるのに、どれくらいかかったんだ?」
「十年だ。十年かかった」
「じゅ、十年も!?」
「私たちエルフの感覚からすればたった十年だ。しかしそれだけの期間を狭い牢の中で過ごしている妹たちのことを想うと、十年はあまりにも長い」
普通に過ごしている一日と、不快な空間で過ごす一日では後者の方が体感時間が長くなる。それが十年……。
ここで俺は、あることを思い出した。
「フリーダが俺を仲間にしたかったのは、少しでも早く妹たちを解放したかったから?」
俺をしつこく勧誘してきた彼女は、俺の能力があればもっと早くお金を稼げると考えていたんだろう。もし俺がフリーダに協力していれば、既に双子を救い出せていたかもしれない。
「そう。君の収納魔法があれば一度に大量の商品を運べる。転移なんて能力もあるとは知らなかったが……。例えそれが使えなくても、大量の商品が運べるってだけでケイトの存在は流通の常識を変える。金貨五万枚なんて一年、いや、半年で稼げるだろう」
「そう思ってるならどうして俺に事情を話さなかった!? 俺の性格を把握していたんだろ? 俺がそれを知ったら、絶対に力を貸すって分かっていたはずだ」
もちろん俺がルークスたちにも協力を頼む。そうしたら、お金を稼ぐ必要すらなかったかもしれない。
「確かに妹たちのことを話せば、ケイトなら助けてくれるって分かっていた。だけど私は商人だ。養母の教えもあって、情に訴えかけて交渉するのはどうしてもできなかった」
一刻も早く妹たちを助けたいという気持ちと、他人に助けを求めたくないという気持ちで揺れていたんだと思う。フリーダはひどく複雑そうな顔をしていた。
「でももう大丈夫。あと少しで……。再来月には妹たちを助け出せる」
「それは俺も協力していいんだよな? い、一応、俺はフリーダの彼氏なんだし。彼女の妹たちを助けるためなら、出来る限り協力したい」
「あぁ。私もその方が助かるよ。もしかしたら奴隷商との交渉を来月にできるかもしれないからな。だからケイト、私に協力してほしい」
正式にフリーダから協力要請があった。
ということは、ヤっちゃって良いってこと。
「もちろんだ! 可能な限り早くふたりを助けよう!!」
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