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第1章 勇者の誕生
第二話
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俺とシエルが館で過ごしていると、館の外で地響きがした。
本を読んでいたシエルはびっくりして、俺のいる部屋に来る。シエルは俺に尋ねた。
「アルバ様、今の音はなんですか?」
俺は別に驚かなかった。
俺はいつも、もう少し静かにしろと言っているが、ラルフは気にしていないらしい。
俺は少しため息をついて答えた。
「ラルフが、倒したイノシシを雑に飛ばしてきたんだよ。『テレポート』っていう魔法を使ってな。」
『テレポート』は、その名の通り指定した場所に物や人などを瞬間移動できる魔法だ。
魔法が使える者が修得したい魔法ベスト10に入っているのだが、一般的な魔法使いには一日に1,2回しか使うことができない。
便利なのか、便利じゃないのか、魔法が使えない俺にはよくわからない。
俺とシエルは館から出て、玄関近くに飛ばされてきたイノシシを見た。
体長は3メートルほどで、とても大きい。イノシシが大きくなり暴れイノシシになることは、この辺りでは珍しいことだ。
ラルフによって生成されたであろう魔法の矢は、イノシシの体から塵のように消えた。
「アルバ様。このイノシシは一体、どうなさるのですか?」
シエルは不思議そうに首を傾げた。
「一応、俺が解体するよ。」
ラルフも魔物の解体はできるはずだが、テレポートしてきたということはやっておいてということなのだろう。
もうすぐ帰ってきてもおかしくないが帰ってこない。あいつのことだから何か衛兵にでも絡まれているのだろう。
シエルは俺が解体すると聞いて納得したようだ。
「何か持って来ましょうか。」
「じゃあ、大きめのナイフか短剣を頼む。」
「承知しました。」
そう言って、シエルは館の中へと入っていった。
シエルがナイフを探している間、俺はこのイノシシを観察することにした。
俺がイノシシをしばらく観察していると、シエルよりも先にラルフが森の方から帰ってきた。無傷みたいだが、心底疲れたといった雰囲気を放っている。
「どうした、ラルフ。疲れているみたいだが。」
「イノシシの討伐に派遣された衛兵に、いろいろ問い詰められた。」
「やっぱりそうだったか。」
まさか、シエルと会話をしていたときに考えた予想が的中するとは。
ラルフは口を尖らせていて少し機嫌が悪そうだ。やっぱりと言って苦笑いした俺にも、少しイラついている。
「わかってたなら、助けにきてよ。訝しんだ目で見られたり、キラキラした憧れの目で見られたり、大変だったんだからね。」
そう言って、ラルフは軽くため息をついた。ごめんと軽く謝ると、気持ちがこもっていないのがバレたらしい。ラルフに少し睨まれた。そして、もう一度、今度は深いため息をつくと、館の中へ入っていく。
すると、ふと思い出したようにこちらに振り返る。その様子はさっきとは違い、とても笑顔だ。
「あ、晩御飯のときはちゃんと呼んでね。」
どんなに疲れていても飯のことを忘れないとは。
はいはいと適当に返事をすると、その答えに満足したらしく、笑顔のまま改めて館の中へと入っていった。
ラルフとすれ違うように、少し経ってからシエルが帰ってきた。
シエルの手には、一つの短剣が握られている。俺が頼んだものをちゃんと持ってきたようだ。
「アルバ様。これでよろしいでしょうか。」
「あぁ、充分だ。」
そう言って、シエルから短剣を受け取り、鞘に入った剣を眺めた。これは確か、あまり使うことがなかったから、倉庫に置いてそのまま放置していたものだ。
鞘から剣を抜くと、きれいに磨かれていた。おそらくシエルが少し磨いたのだろう。
よく見つけてきたなという感心とともに、見つけるだけでなく磨いてくれるなんてすごいなと思った。剣の手入れの律義さに感心するのだが……。
「磨き方っていつどこで知ったんだ?」
「本に少し書かれていましたので、それを参考にいたしました。あと、わからないところはラルフ様に教わりました。」
ラルフはさっき帰ったところのはずだ。
シエルはなんて仕事が早いのだろう。
「そうか、わかった。」
シエルの方を向くのをやめ、さっきから放置されているイノシシの方を見る。
「今から解体を始めるから、シエルも館に戻るといい。」
「かしこまりました。」
そうして、シエルは館の中へと入っていった。
さて、二人とも館に入ったみたいだし、解体を始めるか。
解体を終えるころには、日が暮れかかっていた。
3メートルの大きなイノシシなだけあって、皮や肉がたくさんとることができた。館の厨房に置いてある野菜といっしょに振る舞えば、豪華な料理ができるだろう。
ラルフの話によれば、暴れイノシシの近くには衛兵がいたようだから、皮は王都に持っていくことにする。
そういえば、暴れイノシシの体の中から、ここらでは見かけない不思議なものを手に入れた。あとでラルフに聞いてみるか。
さて、暴れイノシシの肉を使ってどんな料理を作ろうか。いつもとは違い、3人分の料理を作らなければならない。
大量の肉と皮をどうやって運ぶのかについてだが、簡単だ。俺は魔法が使えないが、その分、力には自信がある。
大量の肉と皮を全て両手に持ち、館の厨房へと運んだのだった。
「このステーキ美味しいー。やっぱり、アルバの作る料理は絶品だね。」
結局、あれこれ料理を考えた結果、ステーキにすることにした。
ラルフはステーキに夢中になりながらも行儀よく食べている。シエルは無言だけどずっとおいしそうに食べているし、ご飯もよく進んでいる。
俺は料理がまあまあできるほうだと自負している。
なぜ俺は料理が上手かというと、小さい頃に必要に迫られてつくっていたら、いつの間にか上達していたからだ。
自分の知らない料理を見つけるために、よく王都にレシピ本を買いに行っている。
ちなみに、余った食材は冷蔵庫に入れてある。王都で人気の氷魔法が付与されている保管庫だ。魔力いらずだから、誰でも使うことができる便利商品だ。
「あ、そうだ。ラルフに見てもらいたいものがあるんだ。」
そこで俺は暴れイノシシの体の中からでてきたものを見せた。
それは、赤色の正八面体で10cmぐらいの石だった。おそらく魔法石だろう。
魔法石は魔力のこもった石のことで、鉱山でしか入手することのできない代物だ。
この石を使えば、魔力を持たない人でも簡単に魔法をつかうことができる。
色によってどの魔法が使えるかは違っていて、この石は赤色だから、おそらく炎属性の魔法が使えるだろう。
しかし現在、魔法石を採取できる鉱山は人間の領地にはなく、すべて魔族の領地になっているため、商売ではかなり高価なものとなっている。
ラルフは俺の手にある魔法石をしばらく見てから言った。
「イノシシが暴走した理由はこれだろうね。」
「イノシシが暴走、ですか?」
シエルがラルフの言葉を聞いて、疑問に思ったようなので俺がわかりやすく答えた。
そこらにいる生物はもともと人を襲うことはあまりない。そんな温厚な生物が人を襲うようになることを、暴走という。
暴走する理由は、いろいろな要因が挙げられる。今回の魔法石もその要因の一つだ。魔法石をたまたま飲み込んだか、何者かによって与えられたかしたのだろう。
暴走した生物を、温厚な生物と区別するために魔物と呼んでいる。
しかし最近は、暴走し凶暴化した生物ばかり見るようになり、暴走していない生物も魔物と呼ばれて恐れられ、退治されてしまうことも多い。
魔物の説明をしている間もラルフはずっと魔法石を眺めていた。
「どうした?」
「これ、もらっていい?」
「まあ、いいけど、どうしたんだ急に。」
「少し気になったことがあったから。」
俺がラルフに魔法石を渡すと、ありがとう、と笑顔で受け取った。
魔法石になにかあったのだろうか。ラルフには何かわかることがあったのかもしれない。重要なことが発覚すれば、ラルフの事だから、俺に伝えてくるだろう。
その後は、3人で談笑しながらご飯を食べ、皿を片付けた後、各々の部屋に戻り就寝した。
◇ ◇ ◇
「魔王様。リベルタ以外の四天王は、会議室に揃いました。」
会議室には、1つの長方形の机と5つの椅子があった。椅子の中で1つだけ、豪華なものがある。
魔王と呼ばれた男はその豪華な椅子に座っていて、残りの三人は他の椅子に座っており、1つだけ空席であった。
4人とも赤い目をしている。魔王以外の3人は、黒い服を着ていて、マントの内側は赤色をしていた。
魔王は3人と同じ黒い服を着ていたが、3人より豪華な服を着ていて、マントの内側は紫色をしている。
「また、リベルタの野郎はいないのか。」
「あの半端者、もう裏切ったんじゃないのかい。ねえ、魔王様。」
その二人の声を聞いて、不快に思ったらしく魔王は口を開いた。
「やめろ、二人とも。
リベルタは今、私の指示で人間の国へ潜入してもらっているから、ここに居なくても無理はない。この前、きちんとリベルタから報告をもらっているから裏切っていることもない。
リベルタも私たちと同じ魔族だ。その証拠に彼も赤い目を持っているだろう。なら、彼も私たちの大事な仲間だ。そうだろう? 仲間を侮辱することは、たとえ同じ仲間であっても許さない。」
「まあ、魔王様がそうおっしゃるなら。我はその言葉を信じましょう。」
「わっちも魔王様がそうおっしゃるのであれば。」
魔王はその言葉を聞き、安堵したようだった。
「皆、覚悟はできているな。」
三人は同時に、はい、と答えた。
「リベルタには先ほど合図を送っておいたから、思う存分暴れてくれて構わない。」
そう言って、魔王は一息おいた。
「さあ、侵略開始だ。」
本を読んでいたシエルはびっくりして、俺のいる部屋に来る。シエルは俺に尋ねた。
「アルバ様、今の音はなんですか?」
俺は別に驚かなかった。
俺はいつも、もう少し静かにしろと言っているが、ラルフは気にしていないらしい。
俺は少しため息をついて答えた。
「ラルフが、倒したイノシシを雑に飛ばしてきたんだよ。『テレポート』っていう魔法を使ってな。」
『テレポート』は、その名の通り指定した場所に物や人などを瞬間移動できる魔法だ。
魔法が使える者が修得したい魔法ベスト10に入っているのだが、一般的な魔法使いには一日に1,2回しか使うことができない。
便利なのか、便利じゃないのか、魔法が使えない俺にはよくわからない。
俺とシエルは館から出て、玄関近くに飛ばされてきたイノシシを見た。
体長は3メートルほどで、とても大きい。イノシシが大きくなり暴れイノシシになることは、この辺りでは珍しいことだ。
ラルフによって生成されたであろう魔法の矢は、イノシシの体から塵のように消えた。
「アルバ様。このイノシシは一体、どうなさるのですか?」
シエルは不思議そうに首を傾げた。
「一応、俺が解体するよ。」
ラルフも魔物の解体はできるはずだが、テレポートしてきたということはやっておいてということなのだろう。
もうすぐ帰ってきてもおかしくないが帰ってこない。あいつのことだから何か衛兵にでも絡まれているのだろう。
シエルは俺が解体すると聞いて納得したようだ。
「何か持って来ましょうか。」
「じゃあ、大きめのナイフか短剣を頼む。」
「承知しました。」
そう言って、シエルは館の中へと入っていった。
シエルがナイフを探している間、俺はこのイノシシを観察することにした。
俺がイノシシをしばらく観察していると、シエルよりも先にラルフが森の方から帰ってきた。無傷みたいだが、心底疲れたといった雰囲気を放っている。
「どうした、ラルフ。疲れているみたいだが。」
「イノシシの討伐に派遣された衛兵に、いろいろ問い詰められた。」
「やっぱりそうだったか。」
まさか、シエルと会話をしていたときに考えた予想が的中するとは。
ラルフは口を尖らせていて少し機嫌が悪そうだ。やっぱりと言って苦笑いした俺にも、少しイラついている。
「わかってたなら、助けにきてよ。訝しんだ目で見られたり、キラキラした憧れの目で見られたり、大変だったんだからね。」
そう言って、ラルフは軽くため息をついた。ごめんと軽く謝ると、気持ちがこもっていないのがバレたらしい。ラルフに少し睨まれた。そして、もう一度、今度は深いため息をつくと、館の中へ入っていく。
すると、ふと思い出したようにこちらに振り返る。その様子はさっきとは違い、とても笑顔だ。
「あ、晩御飯のときはちゃんと呼んでね。」
どんなに疲れていても飯のことを忘れないとは。
はいはいと適当に返事をすると、その答えに満足したらしく、笑顔のまま改めて館の中へと入っていった。
ラルフとすれ違うように、少し経ってからシエルが帰ってきた。
シエルの手には、一つの短剣が握られている。俺が頼んだものをちゃんと持ってきたようだ。
「アルバ様。これでよろしいでしょうか。」
「あぁ、充分だ。」
そう言って、シエルから短剣を受け取り、鞘に入った剣を眺めた。これは確か、あまり使うことがなかったから、倉庫に置いてそのまま放置していたものだ。
鞘から剣を抜くと、きれいに磨かれていた。おそらくシエルが少し磨いたのだろう。
よく見つけてきたなという感心とともに、見つけるだけでなく磨いてくれるなんてすごいなと思った。剣の手入れの律義さに感心するのだが……。
「磨き方っていつどこで知ったんだ?」
「本に少し書かれていましたので、それを参考にいたしました。あと、わからないところはラルフ様に教わりました。」
ラルフはさっき帰ったところのはずだ。
シエルはなんて仕事が早いのだろう。
「そうか、わかった。」
シエルの方を向くのをやめ、さっきから放置されているイノシシの方を見る。
「今から解体を始めるから、シエルも館に戻るといい。」
「かしこまりました。」
そうして、シエルは館の中へと入っていった。
さて、二人とも館に入ったみたいだし、解体を始めるか。
解体を終えるころには、日が暮れかかっていた。
3メートルの大きなイノシシなだけあって、皮や肉がたくさんとることができた。館の厨房に置いてある野菜といっしょに振る舞えば、豪華な料理ができるだろう。
ラルフの話によれば、暴れイノシシの近くには衛兵がいたようだから、皮は王都に持っていくことにする。
そういえば、暴れイノシシの体の中から、ここらでは見かけない不思議なものを手に入れた。あとでラルフに聞いてみるか。
さて、暴れイノシシの肉を使ってどんな料理を作ろうか。いつもとは違い、3人分の料理を作らなければならない。
大量の肉と皮をどうやって運ぶのかについてだが、簡単だ。俺は魔法が使えないが、その分、力には自信がある。
大量の肉と皮を全て両手に持ち、館の厨房へと運んだのだった。
「このステーキ美味しいー。やっぱり、アルバの作る料理は絶品だね。」
結局、あれこれ料理を考えた結果、ステーキにすることにした。
ラルフはステーキに夢中になりながらも行儀よく食べている。シエルは無言だけどずっとおいしそうに食べているし、ご飯もよく進んでいる。
俺は料理がまあまあできるほうだと自負している。
なぜ俺は料理が上手かというと、小さい頃に必要に迫られてつくっていたら、いつの間にか上達していたからだ。
自分の知らない料理を見つけるために、よく王都にレシピ本を買いに行っている。
ちなみに、余った食材は冷蔵庫に入れてある。王都で人気の氷魔法が付与されている保管庫だ。魔力いらずだから、誰でも使うことができる便利商品だ。
「あ、そうだ。ラルフに見てもらいたいものがあるんだ。」
そこで俺は暴れイノシシの体の中からでてきたものを見せた。
それは、赤色の正八面体で10cmぐらいの石だった。おそらく魔法石だろう。
魔法石は魔力のこもった石のことで、鉱山でしか入手することのできない代物だ。
この石を使えば、魔力を持たない人でも簡単に魔法をつかうことができる。
色によってどの魔法が使えるかは違っていて、この石は赤色だから、おそらく炎属性の魔法が使えるだろう。
しかし現在、魔法石を採取できる鉱山は人間の領地にはなく、すべて魔族の領地になっているため、商売ではかなり高価なものとなっている。
ラルフは俺の手にある魔法石をしばらく見てから言った。
「イノシシが暴走した理由はこれだろうね。」
「イノシシが暴走、ですか?」
シエルがラルフの言葉を聞いて、疑問に思ったようなので俺がわかりやすく答えた。
そこらにいる生物はもともと人を襲うことはあまりない。そんな温厚な生物が人を襲うようになることを、暴走という。
暴走する理由は、いろいろな要因が挙げられる。今回の魔法石もその要因の一つだ。魔法石をたまたま飲み込んだか、何者かによって与えられたかしたのだろう。
暴走した生物を、温厚な生物と区別するために魔物と呼んでいる。
しかし最近は、暴走し凶暴化した生物ばかり見るようになり、暴走していない生物も魔物と呼ばれて恐れられ、退治されてしまうことも多い。
魔物の説明をしている間もラルフはずっと魔法石を眺めていた。
「どうした?」
「これ、もらっていい?」
「まあ、いいけど、どうしたんだ急に。」
「少し気になったことがあったから。」
俺がラルフに魔法石を渡すと、ありがとう、と笑顔で受け取った。
魔法石になにかあったのだろうか。ラルフには何かわかることがあったのかもしれない。重要なことが発覚すれば、ラルフの事だから、俺に伝えてくるだろう。
その後は、3人で談笑しながらご飯を食べ、皿を片付けた後、各々の部屋に戻り就寝した。
◇ ◇ ◇
「魔王様。リベルタ以外の四天王は、会議室に揃いました。」
会議室には、1つの長方形の机と5つの椅子があった。椅子の中で1つだけ、豪華なものがある。
魔王と呼ばれた男はその豪華な椅子に座っていて、残りの三人は他の椅子に座っており、1つだけ空席であった。
4人とも赤い目をしている。魔王以外の3人は、黒い服を着ていて、マントの内側は赤色をしていた。
魔王は3人と同じ黒い服を着ていたが、3人より豪華な服を着ていて、マントの内側は紫色をしている。
「また、リベルタの野郎はいないのか。」
「あの半端者、もう裏切ったんじゃないのかい。ねえ、魔王様。」
その二人の声を聞いて、不快に思ったらしく魔王は口を開いた。
「やめろ、二人とも。
リベルタは今、私の指示で人間の国へ潜入してもらっているから、ここに居なくても無理はない。この前、きちんとリベルタから報告をもらっているから裏切っていることもない。
リベルタも私たちと同じ魔族だ。その証拠に彼も赤い目を持っているだろう。なら、彼も私たちの大事な仲間だ。そうだろう? 仲間を侮辱することは、たとえ同じ仲間であっても許さない。」
「まあ、魔王様がそうおっしゃるなら。我はその言葉を信じましょう。」
「わっちも魔王様がそうおっしゃるのであれば。」
魔王はその言葉を聞き、安堵したようだった。
「皆、覚悟はできているな。」
三人は同時に、はい、と答えた。
「リベルタには先ほど合図を送っておいたから、思う存分暴れてくれて構わない。」
そう言って、魔王は一息おいた。
「さあ、侵略開始だ。」
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