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マッシリア②
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次に二人は市場に顔を出した。食材から嗜好品、武具や奴隷など、プブリウスにはこの世のすべてのものがマッシリアの市場に集まるのではないかと思えた。商売をしているのはグラエキア人だけでなく、ガリア人やヒスパニアの原住民であるイベリア人、そのイベリア人とケルト人の混血であるケルティベリア人、アフリカ系原住民、ローマ人もいる。ここには民族同士の血を流す抗争はなく、お互いに切磋琢磨する商売敵がいるだけだった。彼らは商売において持ちつ持たれつの関係にもなっているようで、時には協力し、時には競い合いながらこの活気ある市場を形成しているのだ。
「すごいな」
市場に一歩足を踏み入れると、その熱気にプブリウスは思わずそう呟いた。これほどの民族を同じ場所で見たことはなかったし、一見しても全く何に使うのかわからない品が山ほどある。名門貴族の家に生まれ、下町風情の商売とは無縁に生きてきたプブリウスにとって、ここには想像したことのない世界が広がっていた。
情報収集をするにしても、まずはその情報収集する対象の情報を得なければならない。そう都合よく考えたプブリウスは、
「任務を忘れないでくださいね」
というラエリウスの苦言を聞き流し、市場を見て回ることにした。小さな子供のようにはしゃぎながら回るプブリウスの横で、ラエリウスもだんだんとお硬い表情を崩していく。
「どうですか、案内はいりませんか。ここはローマ兵士にはなかなか物騒なところですよ。兵役中で時間も限られているでしょ。貴重な時間を有意義に過ごすために、案内役を承りますが」
と、店先で目を輝かせている二人の若者の後ろから、一人の中年の男がローマの公用語であるラテン語で声を掛けてきた。流暢であるがどこか訛りがある。中肉中背、これといって特徴のない顔立ちだが、容姿や身なりからおそらくグラエキア人であろう。人懐っこい表情と柔らかい物腰はいかにも商売人のそれである。
「案内ですか」
とのプブリウスの反応に、男は目尻の皺をいっそう刻みながらすり寄ってきた。
「マッシリアは初めてでしょう。特にこの市場はマッシリアで一番活気ある場所なんですがね、何せ広いですし道は入り組んでいますし、観光しようにも買い物しようにも、不慣れな方にはそれはそれは大変なんですよ。それに、久々の大軍のご到着ですからね。ローマ兵士がお金を持っているのは我々には常識。中にはそんなローマ兵士を騙してひと稼ぎしようというよからぬ輩もいますからね。どうですか。お安くしておきますよ。因みに私はラテン語はもちろんフェニキア語、ガリア語やアフリカ諸国の現地語にも精通していますので、どこでも安心してお買い物ができますよ」
「なぜ、マッシリアが初めてだと思ったんですか」
この男には外見に溢れる柔らかさとは裏腹に、何か内に秘める剛毅がある。プブリウスはその人の目や振る舞い、声や口調などが、その人の本質を必ず映し出すと思っている。
プブリウスはこの男に興味を覚え、少し話がしたくなった。胡散臭そうに男を眺め、蚊を手で払いのけるかのごとくあしらおうとするラエリウスとは対照的である。男は標的を完全にプブリウスに定めたようで、プブリウスだけを見て答えた。
「見ればわかりますよ。ここを訪れるローマ人は軍役か商売のためかのどちらかですが、その若さならどちらにしてもマッシリアは初めてでしょう。それに、あなたの目の輝きを見れば、ここが初めてだということは一目瞭然でございます」
なるほど。商売人はよく相手を観察する、とプブリウスは感心した。
「今までにローマ人を案内したことはありますか」
「もちろんですとも。数え切れないほどです。それに周りをよく見てください。あなたたち以外にも多くのローマ兵士がこの市場にやってきていますが、皆大勢に囲まれていますでしょう。囲んでいるのは私の同業者なんですがね、ローマ兵士は上客ですから、ああやって競い合って自分の客にしたいんです。ところがですよ、あなたたちには私以外誰も声を掛けてこない。なぜだかわかりますか」
プブリウスがかぶりを振ると、男は満面の笑みで答えた。
「それは私がこの町でかなりの有力者だからなんです。私に対抗しようとは誰も思わないんですよ」
今まで黙っていたラエリウスがここで初めて口を入れる。
「では、あなたはなぜ私たちに声を掛けたんですか。こんな年端もいかぬ私たちでは稼ぎも少ないのではないですか。どう考えてもあそこに見えるローマ兵士らのほうがお金を持っていそうですが」
男は黙ったまま、冷ややかな目をラエリウスに向けた。それがまた癇に障ったようで、ラエリウスは一層声を荒らげた。
「一番騙しやすく見えたということですか。他の者たちが私たちに案内を買って出ないのは、私たちに客としての魅力がないからではないですか。何と言っても私たちはお金をあまり持っていない。騙す相手を間違えたな。わかったら、さっさと他を当たれ。今こうしている間にもどんどん上客を獲られるぞ。それとも、銅貨一枚で案内を引き受けてくれるのか。まあ、二人なので銅貨二枚――」
「ラエリウス、やめないか」
プブリウスは怒った顔をラエリウスに向けた。
「せっかく声を掛けてくれたんだ。そんな言い方はないだろう」
「声を掛けてくれたですって。別にこちらが頼んだわけはありません。この者は私たちを若いからといって侮り、騙そうとしているに違いありません。何で町の有力者ともあろう者が私たちに声を掛けてくるんですか。それに、今は休暇ではなく任務中です。こんなところで道草を食わず、さっさと行きましょう」
「ラエリウス……」
言葉を詰まらせたプブリウスの顔は、怒りから悲しみの様相に変わっていた。プブリウスは親友の正面に立ち、
「人と人との出会いをそんなふうに素直に考えられないのは寂しいことだよ」
と、気持ちを込めた口調で言い、親友の目を真っ直ぐに見た。ラエリウスは反論しかけたが、
「申しわけありませんでした」
と、プブリウスの視線を受け止められずに俯いた。
私を思ってのことだろう。プブリウスにはラエリウスの考えていることがよくわかる。名門貴族として生まれ育った自分とは違ったものの見方ができることも承知している。でも、ラエリウスには会ったばかりの人間を初めから疑うようなことはしてほしくない。
しかし、プブリウスはラエリウスの感情を押し殺した態度を見るうちに、自分の考えをラエリウスに押し付け過ぎているのではないか、という思いが押し寄せてきて、
「すまなかった。私が少し浮かれ過ぎていたのだろう。ラエリウスの忠告はいつも正しい。私に欠けているものを君は持っているのだから」
と言ってラエリウスの両肩に手を乗せ、彼の顔を上げさせた。ラエリウスの顔に赤味が差した。
「いえ、初めての出征で浮かれていたのは私の方です。必要以上に警戒することはかえって機会を逸することになります。どうか気になさらないでください」
今度は真っ直ぐにプブリウスの目を見た。
案内を申し出た男は間が悪そうな顔をしながらも、
「では、市場をご案内しましょう。お代は銅貨二枚で結構です。さあ、さあ、ご覧ください。あそこの店で売られているのは、アフリカに生息するラクダという珍しい生き物ですよ。このラクダには諸説がいくつもありましてね――」
男は慣れた手つきで二人の若者を誘導していった。
「すごいな」
市場に一歩足を踏み入れると、その熱気にプブリウスは思わずそう呟いた。これほどの民族を同じ場所で見たことはなかったし、一見しても全く何に使うのかわからない品が山ほどある。名門貴族の家に生まれ、下町風情の商売とは無縁に生きてきたプブリウスにとって、ここには想像したことのない世界が広がっていた。
情報収集をするにしても、まずはその情報収集する対象の情報を得なければならない。そう都合よく考えたプブリウスは、
「任務を忘れないでくださいね」
というラエリウスの苦言を聞き流し、市場を見て回ることにした。小さな子供のようにはしゃぎながら回るプブリウスの横で、ラエリウスもだんだんとお硬い表情を崩していく。
「どうですか、案内はいりませんか。ここはローマ兵士にはなかなか物騒なところですよ。兵役中で時間も限られているでしょ。貴重な時間を有意義に過ごすために、案内役を承りますが」
と、店先で目を輝かせている二人の若者の後ろから、一人の中年の男がローマの公用語であるラテン語で声を掛けてきた。流暢であるがどこか訛りがある。中肉中背、これといって特徴のない顔立ちだが、容姿や身なりからおそらくグラエキア人であろう。人懐っこい表情と柔らかい物腰はいかにも商売人のそれである。
「案内ですか」
とのプブリウスの反応に、男は目尻の皺をいっそう刻みながらすり寄ってきた。
「マッシリアは初めてでしょう。特にこの市場はマッシリアで一番活気ある場所なんですがね、何せ広いですし道は入り組んでいますし、観光しようにも買い物しようにも、不慣れな方にはそれはそれは大変なんですよ。それに、久々の大軍のご到着ですからね。ローマ兵士がお金を持っているのは我々には常識。中にはそんなローマ兵士を騙してひと稼ぎしようというよからぬ輩もいますからね。どうですか。お安くしておきますよ。因みに私はラテン語はもちろんフェニキア語、ガリア語やアフリカ諸国の現地語にも精通していますので、どこでも安心してお買い物ができますよ」
「なぜ、マッシリアが初めてだと思ったんですか」
この男には外見に溢れる柔らかさとは裏腹に、何か内に秘める剛毅がある。プブリウスはその人の目や振る舞い、声や口調などが、その人の本質を必ず映し出すと思っている。
プブリウスはこの男に興味を覚え、少し話がしたくなった。胡散臭そうに男を眺め、蚊を手で払いのけるかのごとくあしらおうとするラエリウスとは対照的である。男は標的を完全にプブリウスに定めたようで、プブリウスだけを見て答えた。
「見ればわかりますよ。ここを訪れるローマ人は軍役か商売のためかのどちらかですが、その若さならどちらにしてもマッシリアは初めてでしょう。それに、あなたの目の輝きを見れば、ここが初めてだということは一目瞭然でございます」
なるほど。商売人はよく相手を観察する、とプブリウスは感心した。
「今までにローマ人を案内したことはありますか」
「もちろんですとも。数え切れないほどです。それに周りをよく見てください。あなたたち以外にも多くのローマ兵士がこの市場にやってきていますが、皆大勢に囲まれていますでしょう。囲んでいるのは私の同業者なんですがね、ローマ兵士は上客ですから、ああやって競い合って自分の客にしたいんです。ところがですよ、あなたたちには私以外誰も声を掛けてこない。なぜだかわかりますか」
プブリウスがかぶりを振ると、男は満面の笑みで答えた。
「それは私がこの町でかなりの有力者だからなんです。私に対抗しようとは誰も思わないんですよ」
今まで黙っていたラエリウスがここで初めて口を入れる。
「では、あなたはなぜ私たちに声を掛けたんですか。こんな年端もいかぬ私たちでは稼ぎも少ないのではないですか。どう考えてもあそこに見えるローマ兵士らのほうがお金を持っていそうですが」
男は黙ったまま、冷ややかな目をラエリウスに向けた。それがまた癇に障ったようで、ラエリウスは一層声を荒らげた。
「一番騙しやすく見えたということですか。他の者たちが私たちに案内を買って出ないのは、私たちに客としての魅力がないからではないですか。何と言っても私たちはお金をあまり持っていない。騙す相手を間違えたな。わかったら、さっさと他を当たれ。今こうしている間にもどんどん上客を獲られるぞ。それとも、銅貨一枚で案内を引き受けてくれるのか。まあ、二人なので銅貨二枚――」
「ラエリウス、やめないか」
プブリウスは怒った顔をラエリウスに向けた。
「せっかく声を掛けてくれたんだ。そんな言い方はないだろう」
「声を掛けてくれたですって。別にこちらが頼んだわけはありません。この者は私たちを若いからといって侮り、騙そうとしているに違いありません。何で町の有力者ともあろう者が私たちに声を掛けてくるんですか。それに、今は休暇ではなく任務中です。こんなところで道草を食わず、さっさと行きましょう」
「ラエリウス……」
言葉を詰まらせたプブリウスの顔は、怒りから悲しみの様相に変わっていた。プブリウスは親友の正面に立ち、
「人と人との出会いをそんなふうに素直に考えられないのは寂しいことだよ」
と、気持ちを込めた口調で言い、親友の目を真っ直ぐに見た。ラエリウスは反論しかけたが、
「申しわけありませんでした」
と、プブリウスの視線を受け止められずに俯いた。
私を思ってのことだろう。プブリウスにはラエリウスの考えていることがよくわかる。名門貴族として生まれ育った自分とは違ったものの見方ができることも承知している。でも、ラエリウスには会ったばかりの人間を初めから疑うようなことはしてほしくない。
しかし、プブリウスはラエリウスの感情を押し殺した態度を見るうちに、自分の考えをラエリウスに押し付け過ぎているのではないか、という思いが押し寄せてきて、
「すまなかった。私が少し浮かれ過ぎていたのだろう。ラエリウスの忠告はいつも正しい。私に欠けているものを君は持っているのだから」
と言ってラエリウスの両肩に手を乗せ、彼の顔を上げさせた。ラエリウスの顔に赤味が差した。
「いえ、初めての出征で浮かれていたのは私の方です。必要以上に警戒することはかえって機会を逸することになります。どうか気になさらないでください」
今度は真っ直ぐにプブリウスの目を見た。
案内を申し出た男は間が悪そうな顔をしながらも、
「では、市場をご案内しましょう。お代は銅貨二枚で結構です。さあ、さあ、ご覧ください。あそこの店で売られているのは、アフリカに生息するラクダという珍しい生き物ですよ。このラクダには諸説がいくつもありましてね――」
男は慣れた手つきで二人の若者を誘導していった。
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