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21話目:銀の矢
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銀の矢が急所へと突き刺さった戦闘員たちは糸の切れた人形のように硬い床へと崩れ落ちる。そして額に深々と銀の一矢が突き刺さった巨体の牛型怪人は立ったまま硬直し、動きを止める。
「倒せたっ!?」
(…あのリリの矢の一発で死んだのか?)
リリは壁走りで戦闘員や牛型怪人の元へと走り、先程戦闘員に拉致されそうになっていた女の子を助け起こす。
「大丈ぶっ…に、二宮さん」
「っ…あっ。 …だ、だれ?」
助け起こされた二宮は意識が朦朧としているのか、助け起こしたリリにされるがままになっていた。リリは二宮が自分が『同級生の天野リリ』だとバレていないことにホッとすると、弓を袈裟懸けで背負って二宮の肩を支えて歩き出そうとする。
「今、安全な場所に連れて行くから! (でもなんで急に矢が4つに分かれたんだろう)」
「うっ…ありがと…ござい…す」
リリは疑問を覚えるが、ひとまず目の前ことを最優先にする。床に転がって動かなくなった戦闘員の脇を通り、立ったまま固まった牛型怪人の横を通ろうとしたときにリリはふと頭の上に影が差すのを感じた。そして視線を向けると、リリに向かって振り下ろされる巨大な拳、それが牛型怪人の拳だと気がつく前にリリは二宮の肩を掴んで一緒に前へと突っ込む。
ブォンッ。
矢の風切り音とはまったく違う、質量を伴った音がリリの頭スレスレを通っていく。リリの髪先に拳がぶつかり、数本の髪の毛ごと空をえぐっていく。
「二宮さん、逃げてっ!」
「え、なんでアタシの名前」
「早くっ! 走って!」
リリはつんのめった二宮を押すと、弓を背から下ろして臨戦体制を取る。そして間合いを取るために後ろへと飛び退く。リリは牛型怪人の追撃を警戒するが、肝心の牛型怪人は両の手をだらりと下ろしたまま、その場から一歩も動いていなかった。
(…なんで動かないんだろう)
牛型怪人は床に転がる3人の手下を無言で見ていた。3人とも胸や首元などの致命的な場所に銀に輝く矢が突き刺さり、ぴくりとも動かない。そして銀の矢が突き刺さった場所が融解して、床に黒い粘液が広がっていく。そしておもむろに牛型怪人は自身の額に突き刺さった銀の矢に手を掛ける。
「うおおぉオオオ!!」
牛型怪人は雄叫びを上げながら、矢を自らの額から引き抜いていく。真っ黒な体液が額から滴り落ち、真っ黒に染まった銀の矢がゆっくりと摘出されていく。矢をつがえた状態でリリはあまりの異様さに体を硬直させてしまう。
(リリ、何をしているの!? 今が攻撃のチャンスだよ!)
「う、うんっ!」
奏矢に頭の中で指示を出す。
リリは再度矢を構え直すと、今度は牛型怪人の心臓の辺りに狙いをつけて銀の矢を放つ。だが。
「えっ」
ちょうど矢が牛型怪人に突き刺さるその瞬間、そして牛型怪人の額から矢が抜けきったその瞬間に牛型怪人の姿が視界から消えた。リリはキョロキョロと左右を見る、だがあの巨体の牛型怪人の姿はどこにもいなかった。
ドンっ。
突如、リリの左脇腹に後ろから衝撃が走る。まるで肘打ちを食らったかのような感覚であったが、リリは自分の脇腹から突き抜けたその"角先"を見てようやく理解する。『後ろから刺された』、と。
「…あっ、あっ」
「さっき刺してくれたくれたお礼ダ。ほら、もっと太いのが欲しいだロ?」
牛型怪人はリリの後ろからしゃがんだ体勢で角をリリへと突き刺していた。最初は手先ほどしか頭を出していなかった角先が、段々と腹腔を通ってさらに突き出してくる。そしてリリを串刺しにしたまま、牛型怪人は勝ち誇ったかのように立ち上がると苦しめるために、そして痛みを与えるためにゆっくりと頭を揺らすのであった。
「倒せたっ!?」
(…あのリリの矢の一発で死んだのか?)
リリは壁走りで戦闘員や牛型怪人の元へと走り、先程戦闘員に拉致されそうになっていた女の子を助け起こす。
「大丈ぶっ…に、二宮さん」
「っ…あっ。 …だ、だれ?」
助け起こされた二宮は意識が朦朧としているのか、助け起こしたリリにされるがままになっていた。リリは二宮が自分が『同級生の天野リリ』だとバレていないことにホッとすると、弓を袈裟懸けで背負って二宮の肩を支えて歩き出そうとする。
「今、安全な場所に連れて行くから! (でもなんで急に矢が4つに分かれたんだろう)」
「うっ…ありがと…ござい…す」
リリは疑問を覚えるが、ひとまず目の前ことを最優先にする。床に転がって動かなくなった戦闘員の脇を通り、立ったまま固まった牛型怪人の横を通ろうとしたときにリリはふと頭の上に影が差すのを感じた。そして視線を向けると、リリに向かって振り下ろされる巨大な拳、それが牛型怪人の拳だと気がつく前にリリは二宮の肩を掴んで一緒に前へと突っ込む。
ブォンッ。
矢の風切り音とはまったく違う、質量を伴った音がリリの頭スレスレを通っていく。リリの髪先に拳がぶつかり、数本の髪の毛ごと空をえぐっていく。
「二宮さん、逃げてっ!」
「え、なんでアタシの名前」
「早くっ! 走って!」
リリはつんのめった二宮を押すと、弓を背から下ろして臨戦体制を取る。そして間合いを取るために後ろへと飛び退く。リリは牛型怪人の追撃を警戒するが、肝心の牛型怪人は両の手をだらりと下ろしたまま、その場から一歩も動いていなかった。
(…なんで動かないんだろう)
牛型怪人は床に転がる3人の手下を無言で見ていた。3人とも胸や首元などの致命的な場所に銀に輝く矢が突き刺さり、ぴくりとも動かない。そして銀の矢が突き刺さった場所が融解して、床に黒い粘液が広がっていく。そしておもむろに牛型怪人は自身の額に突き刺さった銀の矢に手を掛ける。
「うおおぉオオオ!!」
牛型怪人は雄叫びを上げながら、矢を自らの額から引き抜いていく。真っ黒な体液が額から滴り落ち、真っ黒に染まった銀の矢がゆっくりと摘出されていく。矢をつがえた状態でリリはあまりの異様さに体を硬直させてしまう。
(リリ、何をしているの!? 今が攻撃のチャンスだよ!)
「う、うんっ!」
奏矢に頭の中で指示を出す。
リリは再度矢を構え直すと、今度は牛型怪人の心臓の辺りに狙いをつけて銀の矢を放つ。だが。
「えっ」
ちょうど矢が牛型怪人に突き刺さるその瞬間、そして牛型怪人の額から矢が抜けきったその瞬間に牛型怪人の姿が視界から消えた。リリはキョロキョロと左右を見る、だがあの巨体の牛型怪人の姿はどこにもいなかった。
ドンっ。
突如、リリの左脇腹に後ろから衝撃が走る。まるで肘打ちを食らったかのような感覚であったが、リリは自分の脇腹から突き抜けたその"角先"を見てようやく理解する。『後ろから刺された』、と。
「…あっ、あっ」
「さっき刺してくれたくれたお礼ダ。ほら、もっと太いのが欲しいだロ?」
牛型怪人はリリの後ろからしゃがんだ体勢で角をリリへと突き刺していた。最初は手先ほどしか頭を出していなかった角先が、段々と腹腔を通ってさらに突き出してくる。そしてリリを串刺しにしたまま、牛型怪人は勝ち誇ったかのように立ち上がると苦しめるために、そして痛みを与えるためにゆっくりと頭を揺らすのであった。
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