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第1話 異世界転移 1日目

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 「いってー。 ??……なんだよここ。」

 周囲を見渡す。そこにあるのは、木、木、木。軽く見た感じでも高さ20メートル、太さは大人が二人で手を繋げるくらいの太さの木。それが車の通れるくらいの間隔をあけて育っている。巨人の森と言われても納得してしまうほどだ。
 地面のほとんどは足首ほどの草がはえていて、ところどころに土がみえる。特に木の周りには、人が屈んでギリギリ隠れるくらいの草が育っている。
 周りを観察し終えると、頭に声が聞こえる。

 『&%%#**完了。これよりステータスを出し、説明を開始します。』

 「うおっ!なんだこれ?ステータス?それに説明?………って返事はないのか。取り敢えず周りに危険はないっぽいから聞くしかないか。」

 『涼川 氷魔 (すずかわ ひょうま)  様。
 今、目の前にあるのがステータスです。
 このお力をどう使うかは、貴方の自由です。
 貴方が死む寸前だったことを思い出してください。 
 これは、神が与えたもう一度の人生。
 貴方がこの異世界に転移、転生して生き残ることを。
 そして貴方の道を、神が楽しまれることを願って。』

 「 はっ?!説明になってねーじゃねーか!それに……なにが…どうなって………」

 氷魔が混乱している現在から少し前。
 氷魔が転移する前、氷魔は学校の行事で、クラスごとにバスで移動していた。バスは何事もなく道路を走っていたが、トンネルを抜ける瞬間 <ドォーーン>となにかが激突する音とともにバスに振動がおき、気を失ったのだ。そのあと何故か、バスの外に氷魔が倒れていて、起きあがると変な説明がされ、今にいたる。

 「ふぅーー……確かに、すごい音と振動があったことは覚えているけど。 なにがおきて俺はバスの外にいるんだ?  バスのままだとなにか危ないから、転移するときに全員バスから一人一人とばされたのか?  ……そんなことはまずいいか。よくないけど。取り敢えず異世界にとばされて 、ここで生きていかないといけないわけか。神様がたのしめるようにね~。とんだ遊びだな。
異世界ものの本は見てたけど、少しは混乱するよな。……よし。ステータスを確認するか。」

 完全に状況をのみこめたわけではないが、氷魔は生きるために、異世界ものの重要なものとして定番のステータスを確認する。

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  涼川 氷魔 (すずかわ ひょうま)
 種族:人族 年齢:17歳 性別:男
ジョブ
 1:錬金術士(異) Lv.1 2:テイマー Lv.1 3:条件を満たしていません。
能力値
 体力 150/150
 魔力 300/300
 物攻 10
 物防 10
 魔攻 7
 魔防 7
 素早さ 15  

保有スキルポイント :0

スキル
 錬金術 Lv.1 テイムLv.1 
称号
 神の遊戯者  神の少しの加護

          Ⅹ
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 「ん~能力値が高いかは、わからないな。
 ジョブが3つで多いのかわからないし、3つ目はまだ条件を達成してないってことと、錬金術士の(異)がよくわからないしな~。
 タップしてもジョブの説明はないけど、スキルツリーとスキルツリーの説明は出るんだな。ええと、」

 *スキルツリーは木のような形をしており、根本にある最初のスキルから枝分かれするスキルをスキルポイントで獲得、レベル上げをし、さらに枝分かれするスキルを獲得していきます。
 ただし、ある程度の所で成長の選定をしなければいけません。選定をするとより強力なスキルを獲得できますが、他の成長で獲得できる予定のスキルは、獲得できなくなります。

 「なるほど。スキルツリーの選定をして、いかないとダメなのか。ここは、スキルポイントをゲットしてからだな。……他は、スキルに称号か。」

 氷魔はジョブと同じようにスキルから順にタップしていく。

 *錬金術:魔力を使い、物をつくるスキル。〈錬金術〉と言い、スキルレベルでつくれるレシピがステータスのようにパネルで表示され、作ることができる。スキル所有者の想像で材料があれば〈錬成〉と言い、物をつくることも可能。レベルアップで錬金術のレシピが増える。錬金術士の基礎スキル。

 *テイム:魔物や動物、生き物を自分の配下として契約するスキル。確率は、スキル保有者とテイムする相手の能力や状態によって変わる。〈テイム〉と声に出さなければ発動しない。レベルアップでテイム成功率が上昇をし、新たなスキルに生まれ変わる。テイマーの基礎スキル。

 *神の遊戯者:神様の遊戯に参加させられたもの。言語理解 のスキルが付く。

 *神の少しの加護:異世界から神の力で呼んだことでついた加護。わざわざ加護をつけたわけではない。アイテムボックスと鑑定のスキルが付く。


 「スキルは説明で、全部はわからないから、これから検証していくしかないかな。……はぁーー、なんだよこの称号。神の遊戯者はまだいいよ。神の少しの加護ってなに!アイテムボックスと鑑定はうれしいよ。異世界もののあったらうれしい定番だけど、わざわざつけたわけではないって。つけろよ!ちゃんと加護をつけろ!これですぐ死んだらどうすんだよ!……はぁ。神様的には、それでもいいってことかぁー。」

 氷魔はステータスをとじて、近くの木に体をあずける。ここで起きた最初のように、もう一度周りを観察する。特に変わったことがないのを確認して、空を見る。木によってしっかりと空は見えないが、隙間から太陽があるのを確認。そして、木の影を確認する。木の影が横にのびていないのを確認し、目を閉じ、数分ほど今後について考える。そして、目を開ける。

 「まずお昼なのを確認できたから、夕方までには寝る場所を確保しないとな。……優先順位としては、まず寝る場所を確保。次に獣やテイムのスキル説明にあった魔物に対抗する手段の確保。最後に飲み物と食い物の確保。…あとは、臨機応変にかな?かなり雑だけど。やることが多すぎてこうするしかないからな。取り敢えず右の方が明るそうだから、右に行くか。最後に服と持ち物を確認しておくか。」

 氷魔は自分の格好を確認する。服装は、学生服。スマホなどの貴重品は、バスの座席の前のネットにいれ、その他の持ち物もカバンに入れ、下に置いていたためなにも持っていない。
 氷魔は最後の確認をして、生きるために行動を開始した。
 それから30分程歩くと、少し大きめの石を見つけ、手に取る。

 「これはちょうどいいかもな。周りを見た感じ危険は無さそうだからいまのうちだな!…〈錬金術!〉レシピは回復ポーション(初級)だけか、でも材料の中でも重要な薬になる草がないからな~。
 なら、想像力で形をイメージ。石が圧縮されるイメージ。〈錬成!〉……おおっ!なんかお腹の中心部から両手に何か流れてくるなぁ。これが魔力か?……取り敢えず短剣の形になったな。これで少しは対抗できそうだな。よし!もっと大きい石で武器や拠点をつくろう。」

 氷魔はとりあえず刃渡り15センチメートルの短剣を確保し、自分のステータスを表示する。すると、魔力が最大値から5減っていたため、これが魔力の感覚なのかと氷魔は考えた。
 それから1時間ほど歩きながら、焚き火に必要な枯れ木などを集めつつ、小さい石でまきびし?のようなものを錬金術でつくり、アイテムボックスにいれておく。
 すると、前方でかすかに物音と声が聞こえる。氷魔は警戒しながら、木や周囲の草に隠れながら接近する。少し進むと、物音をたてている生き物らしきものが視界に入る。すかさず氷魔は生き物らしきものに鑑定を使う。

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 ゴブリン
 Lv.2  男
能力値
体力 28/50
魔力 0/0
物攻 5
物防 5
魔攻 0
魔防 2
素早さ 5
スキル
 悪食
 棍棒術Lv.1 
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 氷魔は鑑定を素早く確認し、ゴブリンの周りにも鑑定を使いながら見渡す。すると、ゴブリンの死体と、ホーンラビットの死体を鑑定で確認する。鑑定の説明はただ、ゴブリンの死体、ホーンラビットの死体としか表示されなかった。

 (ゴブリンとホーンラビットっていう魔物同士が戦ったのか。死体は少し遠いから鑑定の説明が少ないのか?……取り敢えずはいいとして、生きているゴブリンは1体のみだ。どうする?体力が減っている今のうちにゴブリンを倒して経験値をためるか、テイムを試してみるか。………よし、1体しかいない今のうちにちゃんと殺せるかどうかを確認しないとな。やらなきゃやられるのは俺だ、行くぞ!)

 氷魔はゴブリンが反対の方を向いているうちに走り出す。ゴブリンのすぐ後ろまで行き石の短剣を振りかぶる。

 「うおーーっ!」

 「グギャギャ!グブッ……フッ」

 氷魔は無我夢中でゴブリンに短剣を刺す。初めの一撃を心臓にむけて刺し、押し倒す。そのあとに首や心臓付近に何回も刺す。石の短剣は特に刃がたっているわけではないのだが、氷魔とゴブリンのステータス差によるものなのかとりあえず刺すことができた。そしてゴブリンは動かなくなり、鑑定でしっかりとゴブリンの死体になったのを確認する。

 氷魔は初めて生き物を殺したことと、短剣で生きている肉を刺す感触をもろに感じたため、近くの木に向かい胃の中の物を吐いてしまう。吐いてしまった氷魔は、数分ほど休憩をしていた。

 「まだ気持ち悪いな。自分で殺す……刺す感触と生の血はくるものがあるな。……ふぅーー。これから生きるためにも魔物を殺さないと俺がしぬからな。」

 自分に言い聞かせるように呟いて、少し気分が落ち着いてきた氷魔は、休憩をしていた場所から動きだし、殺したゴブリンを鑑定する。すると戦闘開始前に少し遠くで見たゴブリンの死体よりも詳しい説明が表示される。

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ゴブリンの死体
 ゴブリンの死体。ゴブリンの心臓の中に魔石がある。素材として使える部位はない。肉は食用として、てきさない。

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 氷魔は気持ちが悪いの我慢して、自分で倒したゴブリンと少し離れた所のゴブリンの魔石をとり出し、ホーンラビットの死体の近くに行き鑑定する。

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ホーンラビットの死体
 ホーンラビットの死体。ホーンラビットの心臓に魔石がある。素材として毛皮が使える。肉は、食用として食べられる。保有魔力量は低いが美味しい。

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 「へぇ~。ゴブリンは、魔石しか取るところがないけど、ホーンラビットは毛皮を素材として使えるし、肉は美味しいのか。……この説明だと、保有魔力量が多いほど美味しいってことなのか?以外に異世界ものの本は、あってるのか。もしかしたら異世界に行って、帰ってきた人が書いてるのかもな。……ホーンラビットは解体せずにアイテムボックスに入れよう。血の臭いで魔物が来るかもしれない。」

 氷魔は確認を終えるとすぐにこの場所を離れる。お昼頃から森を歩き、戦闘、魔石取りといろんなことをしてそろそろ午後4時頃になるとき、やっとひらけた場所が見えた。





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